TEAとは文化心理学に依拠し、時間を捨象せずに個人の人生を理解しようとする方法論であり、調査対象者の行動や選択、意識変容などを探るのに適した質的研究手法である。発表者は、これまでに研究者としてTEAを用いて複数の調査協力者の人生径路を描き出してきたが、その都度、協力者から「人生が可視化され、良い振り返りができた」、「目標が明確になった」といったフィードバックを受けていた。その経験から、TEA理論を自己分析ツールとして活用すれば当人の省察が円滑に行われ、自律学習が促進されるのはないかと考えた。そこで、本発表ではTEAを活用した過去の実践研究をレビューし、その知見を踏まえて考案した「TEAを用いた省察活動案」を紹介する。そして、今後の実装の可能性や課題についても検討する。