地盤の動きがひと目でわかる … 斜面変状の「見える化」
ヘンイミエール(簡易伸縮計)のご紹介
(株)藤井基礎設計事務所グループ 株式会社シンク・フジイ
地盤計測 事故防止 簡易 伸縮計 法面 監視 斜面 崩壊 安全 モニタリング 見える化 擁壁 掘削 斜面崩壊 ぬき板 抜き丁張 重機 安価 避難 退避
作画;ChatGPT
簡易伸縮計「ヘンイミエール(両面タイプ)」設置例
地盤の動き(変位)を目盛り上の針の位置で見えるようにした
「簡易的な地盤伸縮計」です。
特徴(シンプルで使い易い)
・設置が簡単に行え、維持管理や移設が容易に行えます。
2本の単管を2本立て、クランプで本体と金具を固定、ワイヤーを張って針を合わせるだけ。
・大きな目盛り板と針で10m離れた場所から視認できます。
もちろん現場状況や目視する人の視力にも依存しますが、大抵の現場で斜面の斜め下から針の動きを見ることが出来ます。
・機械式(滑車とばね)で動作するため電源や電池は不要です。
完全に機械式で電気回路などはありません。構造が単純で故障しにくくメンテナンスも容易です。インバー線に何かが引っ掛かったら取り除くぐらいでしょうか。
・本体はアルミ合金で軽量(本体約1.5kg+取付金具0.8㎏)
目盛り板を見えやすいよう大きくしたため、本体ケース自体は大きめですがアルミ合金製なのでそれほど重くはありません。
このような現場にお勧めします。
斜面崩壊の可能性がある現場の安全管理に使用します。
・擁壁施工で背後の斜面の崩壊が危惧される場合
・道路拡張や側溝のため斜面下で地山掘削や床掘を行う場合。
・管路埋設のため斜面下で掘削を行う場合
・堤防補強工事で堤防斜面の監視
斜面(地盤)の状態を監視しながら施工を行いたい。
それほど危険度は高くないので安価な抜き丁張(ぬき板)にしようか?しかし、抜き丁張では定期的に誰かがノギスで測りにいかなければならない。
また、その時の値しか分からない。動いたかどうかは計算しなければならない。もし危険があればすぐに皆に知らせなければならない。
かといって、リアルタイムで計測を続ける本格的なモニタリング・警報システムを導入するほど費用はかけられない。
もっと手軽に地盤の状態が簡単にわかるものはないだろうか。
このような場合にヘンイミエールをお勧めします。
例えば、以下のような事故例があります。
斜面にヘンイミエールを設置し、掘削工事中に背面土砂の状態を監視していれば、崩壊前に作業員を避難させることができたのではないでしょうか。
擁壁施工中に背面土砂が崩壊した事例
災害事例;自然災害復旧工事中、コンクリート擁壁の型枠を支える型枠パイプの撤去作業中に法面が崩壊
1名死亡,1名骨折
ヘンイミエールを設置するなら
想定されるすべり面をまたいで(図内のAとBの間に)杭を打っておき、ヘンイミエールを設置してインバー線(ワイヤー)を張ります。
ヘンイミエールの針に動きが見られた時点で作業員を避難させ、人身事故を防ぐことが出来ます。
ご注意
ヘンイミエールは簡易的な伸縮計です。
最小目盛は1mm単位となっており、本格的な伸縮計(一般的に精度0.1㎜以上)と比べると精度では劣ります。
簡易的な計測装置であることをご了解の上、お使いください。
災害復旧工事現場など、直ちに崩壊の恐れがあり命に関わる危険が予想される場所では精度の高い伸縮計と本格的な通信・警報システムをご使用ください。
危険度が高い場合、シンク・フジイでは本格的な地盤WEBモニタリング・警報発令システム
「LoRaのび太安全管理システム」をご提案できます。(クリックするとLoRaのび太のWEBページにジャンプします)
問い合わせフォームでお気軽にご相談ください。
ヘンイミエール 本体各部名称
移動杭とヘンイミエールとの間に張るワイヤーには付属の インバー線 を使用します。
インバー線とは温度変化による体積変化が小さいインバー合金でできたワイヤー です。
インバー線
30m巻(別売り)
ヘンイミエール 測定原理
ヘンイミエール 測定原理
簡易伸縮計「ヘンイミエール」の内部にはワイヤーを巻き取る糸巻き(プーリー)があります。
糸巻きには常にワイヤーを巻き取る方向に力をかけてあり、ワイヤーが引き出された分だけ糸巻きは回転します。
この糸巻きと同じ軸に指示針が取り付けられており、糸巻きの回転によって巻き取られたワイヤーの長さを目盛板の上で表示する仕組みになっています。
ヘンイミエール 設置方法 (3ステップで簡単に設置)
設置作業の前に
既に斜面に変状(クラックや孕み)が見られるような現場でヘンイミエールをお使いになられる場合、設置作業は危険が伴うということをお忘れの無いようお願いいたします。杭打ちなど作業中に地盤が崩壊するという最悪の事態を想定し、その場合でも作業員が助かるように必ず安全具・保安具、命綱、安全帯などをご着用していただきますようお願いいたします。
何よりも作業員の安全確保を最優先で作業を行っていただきますようお願いいたします。
STEP-1 … 計測したい場所に杭(単管)を打つ
動点杭・不動点杭の打設
地表面の観測したい2点間の両端に単管杭を打ちます。
(動点杭側のみ木杭でも可)
杭設置位置が岩盤など単管杭が打てない場合は(岩盤への設置 参照)
STEP-2 … 杭(単管)にヘンイミエールや金具を取り付ける
機器の取り付け
動点杭側にはインバー線を固定するワイヤー固定金具(垂木クランプなど)を取り付け、ヘンイミエールは背面の取付金具で単管に固定します。
この時、ヘンイミエールの指示針の固定ネジは緩めておきます。
(STEP3 インバー線の取り付け参照)
STEP-3 … インバー線を張って指示針を固定する。
指示針の固定
(初期値のゼロ合わせ)
ヘンイミエールの指示針は、ヘンイミエールと動点杭の間のワイヤーを張った後、指示針固定ネジを締めて固定します。
ワイヤーを張る前は固定ネジを緩めておき、ワイヤーを張ってから両面の指示針を目盛りの「0㎜」※)の位置に合わせながら固定ネジを締めて指示針を固定します。
完成
※) 指示針を最初に0mmに合わせる場合、ワイヤーが伸長方向(ヘンイミエールからワイヤーが引き出される方向)に動く場合のみの観測となります。
もしも不動点側が下に移動する(または動点杭が上方向に移動する)などインバー線が圧縮方向(ワイヤーがヘンイミエールに引き込まれる方向)に移動することが予想される場合は、最初にヘンイミエールからワイヤーを5㎝以上引き出した状態でインバー線を張り、支持針を目盛り板の5㎝の位置に合わせ、以後、針の動きをマイナス方向で見る(例えば1㎝圧縮なら指示針は4㎝の位置に移動)ということになります。
伸縮・圧縮のどちらに動くかわからない場合、ワイヤーを3㎝程度引き出して初期の指示針の位置を目盛り板の3㎝に合わせておき、そこから伸縮方向・圧縮方向のどちらに動いても分かるように(この場合、伸縮・圧縮それぞれ片側3㎝までの動きしか測れません)しておくなど、使い方に工夫が必要です。
ヘンイミエールとその他の監視方法【ぬき板(丁張)や本格的な地盤観測]
・ぬき板(丁張)による測定
地盤にクラックや孕みなどの変状が起きた場合、変位を監視する簡易的な方法として「ぬき板(丁張・ぬき丁張)」があります。
不動点と動点に各2本打った杭に横木を渡して固定した後、横木の中央をノコギリで切っておきます。この切断面の間の幅をノギスなどで測って不動点と動点の間の地盤の動きを計測するという方法です。
この方法は杭と横木だけで手軽に安価にできる方法ですが、地盤の変位をその(危険な)場所で測り、以前の値と比較してはじめて変位を知ることができます。また、計測値が危険を示す場合、計測者はそれを作業員に速やかに伝えなければなりません。
木杭と横木でできるため、早く、安価に設置でき、精密な伸縮計による観測までのつなぎとして、また、危険度がそれほど高くない場所での監視に多く使われています。
地すべり防止技術指針及び同解説
国土交通省砂防部 独立行政法人土木研究所 より
・本格的な地盤観測(WEBモニタリング)
危険度の高い(斜面崩壊が直ちに作業員や住民、通行する人や車両に深刻な被害を及ぼす恐れのある)現場では精度の高い(分解能0.1㎜以上の伸縮計でリアルタイムに計測を行い、出来るだけ早く斜面崩壊の予兆を捉える必要があります。弊社の地盤観測システム「LoRaのび太安全管理システム」では10分間隔でWEB上のデータグラフ更新し、10分あたり0.4㎜以上の変位で警戒メール配信、0.8㎜以上で警報発令(現場警報機作動、警報メール配信)としています。
このため現場には、精度の高い伸縮計(インバー線が外部の影響を受けないよう保護管も設置する)、自動的にデータをWEB経由で送る通信システム、すぐに避難を促すためにサイレンや回転灯を備えた警報機などを現場に設置します。商用電源が無いことも多いのでソーラー電源もよく使用します。
通信システムを導入すれば計測の度に伸縮計の設置場所(危険エリア)に行かなくても、データを安全な事務所内や遠隔地でも見ることができ、雨量など他の気象データとの相関からAIによる崩壊予測(以後の動きの予測や警報の解除判定など)も可能になります。
しかし、当然のことですが機器損料、設置・保守・データ管理など人件費、通信費などの費用がそれなりにかかり、インターネット回線の開設や関係者のメールアドレス収集などにある程度の時間もかかります。
(株)シンク・フジイ
WEB観測システム
・ヘンイミエールの位置付けとメリット
ヘンイミエールは「ぬき板」と「WEBモニタリング」との間に位置づけられると考えられます。
ぬき板では確認のため誰かが計測に行って計測値を皆に知らせる必要があるのに対し、ヘンイミエールは誰もが目盛りを見ることでいつでも地盤の状態を直接、確認できます。
一方、本格的な地盤監視システムに対しては、計測の精度や遠隔地への一斉通報といった面では劣りますが、かかる手間と時間、費用といった面では大きなメリットがあります。
危険度は現場により様々です。すぐに大きな危険が迫る恐れがあるのなら費用をかけてでも人の身を守る必要がありますが、「それほど危険ではないと思われるが、念のため地盤の状態を確認しながら作業を行いたい」「計測しておいた方が安心だが、本格的なシステムを導入するほどの予算はない」と言った声も多く聞かれます。
施工時のある時点のみ集中的に監視が必要となる(例えば斜面下を掘削する時だけ、その上の斜面の動きを監視したい)という場合もあります。また、地すべりが予想される場合、ある程度の時間をかけて(数日から数カ月)地盤が動くことになるため、一刻を争う警報発令システムは必要ありません。そもそも、心配ではあるが、実際にその地盤が動くかどうかも分からない、といった状況で多額の費用をかけて計測システムを導入するというのは困難でしょう。
上の斜面、大丈夫とは思うが、不安も感じる…ヘンイミエールはその不安を「見える化」で解消します。
このWEBページで紹介しているような擁壁背後が崩れるという事故は、実際、数多くあります。擁壁を作るために斜面を掘削するというのは危険な作業です。完成した擁壁が押さえるはずの力がかかっていない不安定な斜面を作ることになるからです。また、実際の背後の地盤構造(すべり面の有無など)までは調べないまま施工を行うことも多いのです。または、いくつかの地点で調べていたとしても、長い擁壁の背後の地質構造がどこでも同じとは限りません。こんな時、安価で設置も移設も簡単なヘンイミエールで、次々と変わる掘削場所の上の斜面をその都度、場所を変えて監視していくということもできます。
住民(地域防災組織)による擁壁の監視(写真撮影によるデータ収集)
某市の公園は高台にあり、公園端部にある側溝と擁壁上部の間に隙間が見つかりました。擁壁が傾いていると考えられ、敷地端部と擁壁上部の間の距離をヘンイミエールで長期的に監視しています。
この場所では写真のように付近住民のご協力により定期的にヘンイミエールを撮影してもらい、その写真を弊社グループに送って頂きました。その写真を弊社グループ(藤井基礎設計事務所)でAIによる画像解析を行い、自動的に地盤変位グラフが作製されるようにしています。
ヘンイミエールの取付金具は単管に取り付けるようになっているため、岩盤・コンクリート上に設置する場合、単管を岩盤やコンクリート上に立てることになります。ヘンイミエール本体側(不動点側)は岩盤・コンクリートの上に単管ベース(固定ベース)を置き、これをボルトで固定し、その上に単管を立てます。単管ベースはベースとなる板の四隅にM12mmの穴があり、そこにドリルで削孔してアンカー(10㎜)を打ち込んでボルトで固定します。
単管ベースは単管との間に少し隙間があるため、ただ単管を差すとガタつきますので、単管と単管ベースを溶接で固定したものを使用するか、単管ベースの突起部分に隙間を埋めるビニールテープなどを巻く、または隙間を埋める楔となる物を挟んで単管を通してヘンイミエールがぐらつかないようにします。
移動杭側はアンカーボルトにインバー線を直接締結するか、鉄筋杭などを立ててそこにインバー線を結びます。
単管ベースを使用せず、単管を鉄筋杭などで固定することもできます。先ず鉄筋杭を打って単管を鉄筋に沿わせて番線などで縛り、さらに鉄筋杭を打って単管がぐらつかないよう支えます。