「21世紀のMBA生が知っておくべき」ビジネス・エコノミックス基礎の基礎

（引用者注：日本の銀行システムの救済のためには、アメリカがとったように、経営危機の金融機関を破綻させて、整理公社をつくって不良資産を処理すればよいのでは、とアラン・グリーンスパン連邦準備制度議長が、2000年1月、当時の宮澤喜一蔵相と東京の大臣室で語ったあと）わたしの話を辛抱強く聞いていた宮沢蔵相は、穏やかな笑みを浮かべながら、こういった。「アラン、日本の銀行の問題について、実に鋭い分析をしてくれた。対策についてだが、それは日本のやり方ではない」。債務不履行に陥った企業や個人を破綻させること、銀行の担保を処分することは、従業員を解雇することと同じように、避けるべきである。日本人が従う文明の慣例では、対面を失うような行動は、ほとんど考えられないことだった。（アラン・グリーンスパン（山岡洋一・高遠裕子訳）『波乱の時代　下』（2007年、日本経済新聞出版社）、p.56（強調は引用者））
金を稼いでいるときくらい、人が純真な気持ちで働いていられる道は滅多にない。（サミュエル・ジョンソン（小野寺健『心にのここる言葉ベストセレクション162』（2010年、ちくま学芸文庫）、p.250）（強調は引用者））
後藤（新平：引用者注）は、東京を立つ（ママ）前、私を近くに呼び「よく聞け、金を残して死ぬ者は下だ。仕事を残して死ぬ者は中だ。人を残して死ぬ者は上だ。よく覚えておけ」といったのを思い出した。私も後藤をだきつつ涙が流れた。（三島通陽「ボーイスカウト十話(3) 後藤新平最期のことば」『毎日新聞』1965年2月27日朝刊第5面（強調は引用者））
カーネギーは競争の結果としての経済的格差を社会全体の豊かさの実現という点から肯定すると共に、・・・（中略）・・・競争の勝者が私利私欲でなく社会的・公共的利益のためにその富を用いるからこそ、結果としての経済的格差が正当化されるとしていた。近年の日本でも、結果の平等でなく機会の平等を、という声が少なからず見られるが、アメリカ流の「競争社会」がこうした「倫理」の存在に支えられ肯定されていることを忘れ、「日本もアメリカ式の競争社会に・・・」との掛け声の元で「構造改革」と「格差社会」を肯定するだけでは、ことの一面を捉えたにすぎない。（佐藤方宣「第3章市場の倫理－カーネギー、クラーク、ナイトの論じ方」、経済学史学会／井上琢智／栗田啓子／田村信一／堂目卓生／新村聡／若田部昌澄編『古典から読み解く経済思想史』（2012年、ミネルヴァ書房）、pp.75-76（強調は引用者））

（最終更新：2024年4月4日）

21世紀のMBA生が知っておくべき「経済学の勘所」（最終更新：2023年4月21日）

Part 1　空を飛ぶ－経済活動に対する俯瞰的視点

1. 経済全体の循環構造（マクロ経済理解の基礎）

2. 不完全競争の経済学（競争政策理解の基礎）

21世紀のMBA生が知っておくべき「競争政策の意義」（最終更新：2023年4月5日）

Part 2　地を歩く―経済活動に対する当事者的視点

3. 価格戦略の考え方（マーケティング理解の基礎）

4. 交渉を分析的枠組みで考える（ビジネス交渉理解の基礎）

21世紀のMBA生が知っておくべき「交渉ゲーム理論のビジネス活用」（最終更新：2024年4月4日）

Google Sites

Report abuse