(最終更新:2026年9月9日)
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安達貴教
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初秋に出で座し青星々と紙風船@京都市上京区
分権的な市場経済において、企業側で生じる経営環境の良い変化・悪い変化は、どれだけ消費者側に還元/転嫁されるのであろうか? そして、そういった還元や転嫁はどのような要因によって規定されていると考えられるのであろうか?
という「学術的な問い」が研究関心の基層にあります。この論点は、生産・消費活動の効率性や分配(誰がどれだけを生産・消費するのか)、各種政策に伴うそれらへの影響、あるいはマクロ経済における物価推移といった「現実的な諸問題」を根源的に理解しようとする際には重要になると認識しています。こうした問いを中心に据える分野が「パススルーの経済学」です。
また、効率性と持続可能性を兼ね備えた市場のガヴァナンスを志向する「マーケット・マネジメント」という視点から、競争政策のあり方を考えています。
2026年9月9日:マーク・トレンブリィー氏との共同執筆の研究論文「追加手数料(サーチャージ)の禁止規定は、実質小売価格を引き上げるのか?」(Do No-Surcharge Rules Increase Effective Retail Prices?)が、学術雑誌Review of Network Economicsに掲載受理されました。本論文は、消費者がクレジットカードを利用する際、小売店舗に支払い方法別の価格設定を禁じられる「追加料金禁止ルール」が、ポイント還元等を差し引いた実質的な小売価格に与える影響を分析しています。分析の主要な結果と致しましては、このルールによって、カード加盟店手数料のコストが商品価格全体に転嫁(パススルー)され、カード利用者だけでなく現金利用者も含めた、全ての消費者にとっての実質価格が押し上げられることを示しています。そして、ポイントを目当てとするカード利用者が増えるほど、この転嫁効果によって、カード利用者自身もメリットを得られなくなる、すなわち、支払い方法に応じた価格設定を制限するルールが、かえって市場に「二重のマークアップ」を生み、消費者価格を押し上げている可能性があることを論じています。総じて、本論文は、支払い手段別の価格設定方法を支持する内容となっております。弊職が近年、焦点を当てている「パススルーの経済学」への一貢献であると同時に、「脱現金化」のデジタル経済を考える上で、示唆的な内容になっているかと思います。担当編集者のルカシュ・グジボフスキー先生、並びに匿名の査読者の方に深く感謝申し上げます。
2026年8月28日:ドイツ・マンハイム大学で開催されました、ヨーロッパ産業経済学研究学会の2026年年次大会におきまして、現在進行中の研究「不完全競争下における内生的品質を伴うパススルー」(土居直史氏・新海哲哉氏との共同;“Pass-Through with Endogenous Quality under Imperfect Competition”)について報告をさせていただきました。いただきましたコメントは、今後の改訂に活かさせていただければと思います。実にヨーロッパは、コロナ直前の2020年3月以来となりますが、デジタル時代、AI時代だからと言っても、やはり、対面の良さを改めて実感した次第でございます笑 マルティン・パイツ先生、二コラ・シュッツ先生を始めとして、開催のご尽力をいただきました全ての方々に感謝申し上げます。
2026年8月5日:【京都大学大学院経済学研究科大学院生向け情報提供】本年度秋・冬学期の「産業組織論B」は、アルフレッド・ガリション教授の新著Discrete Choice Models: Mathematical Methods, Econometrics, and Data Scienceにも依拠しながら進める予定です。出版社のウェブはこちら、著者によるギットハブはこちらです。