狭魔亭の炎上祭り 冒頭
狭魔亭の炎上祭り 冒頭
始まりはバスの中から…
時刻は日が傾き始めている午後。
おだやかな陽の光を浴びながら、探索者はバスに乗車していた。
バスの中には他にも複数人の乗客がいる。
探索者が目指している駅は「狭間 (ハザマ)」という山間部にある停留所だ。
その停留所の周辺に何があるのか、どのような目的でそこに向かっているのかは自由に設定していい。
[強制]〈聞き耳〉
こんな噂話が聞こえてくる。
「聞きました?また『行方不明者』が出たんですって。」
「ええっ、また!? 確かこの前も近くの小学校で行方不明の子が出たって言ってたわよね?」
「ええ。何でもその居なくなった子を探しに行った近所の方までも、行方が分からなくなってしまったそうよ。」
「みんな『神隠しだ』なんて言ってるけど、この時代に神隠しだなんて…。ありえないとは思っていても不穏だわ…。」
「不穏と言えば…最近『不審死』もこの辺で立て続けに起こっているそうよ。」
「あ、聞きました聞きました!」
「実は……。私の主人の友人もつい先日…。」
「あら、そうでしたの?!それは残念ですわね…。でも、本当に不審死でしたの?」
「はい…。お医者さんに診てもらっても特に原因が分からなかったそうです。ついこの間主人と楽しく飲みに行かれてたのに、ですよ。」
「一体何なのでしょう…。不気味ですね…。」
バスに揺られ、静かな田舎道を走っていく。
すると突然、前方に座っていた女子高生が大声を上げた。
「え~~~!今年はお祭りやんないの!? 何で何でー!!聞いてないんですけどー!」
「や〜ごめん!ちょっと今ウチんとこバタバタしちゃっててさ~!
急遽出来なくなっちゃったというか何というか…」
「だからってギリッギリに伝えてんじゃねーよ!
あたし昨日新しい彼氏と一緒に行くって約束したばっかだったんだけど!」
「マジでごめん!来年は多分やると思うからさ!」
「来年じゃ遅いっつーの!」
「まーまー、落ち着きなって。
てかこの前まで出店の準備とかしてたじゃん。何でまた急に?」
「ん〜何て説明したらいいかな…。
ま、ハプニングだよ!ハプニング!
対処しなきゃいけない問題が出来ちゃったからしょうがないんだよね…。」
JKたちは周りの乗客のことなどお構いなしに大声でやいのやいの言い合っているようだ。
そんなこんなで時間が経過していくと、次第にばらばらと乗客は降りて行き、残ったのはあなたと先ほどたむろっていた女子高生のうちの一人になった。
(もしお助けNPCであるススキ君を参加させている場合は、彼も同様に乗車している。
「もうすぐだ……ヒヒヒ……。」などと不気味に笑ったりしている。)
間もなくしてアナウンスが聞こえてくる。
「次は狭間〜、狭間〜。」
しかし探索者が呼び鈴を押すよりも先にベルの音が鳴り響く。
前方を見やると、残ったJKがまだ停留所に着いていないのにも関わらず、さっと席を立ち上がるのが目についた。
そこで探索者は奇妙な光景を目撃することになる。
出口の前に立ったJKが何か小声でぶつぶつと呟きながら奇妙な踊りをし始めたのだ。
ゆっくりと手や足を動かし、揺れるバスの中バランスを崩すこともなく怪しく踊っている。
※これはバスの中から『あの世とこの世の狭間』である次元を繋げるための儀式。
この時点でKPは津々楽つくしのMPを1点減らさなければならない。
そして駅に着くやいなや、JKは足早にバスを降りて行った。
(一人プレイだった場合:不気味な男も続け様に降りていくだろう。)
探索者は降りる寸前、何か縦長の紙切れが落ちていることに気がつき足を止める。
それは所々茶色く煤(すす)けていて、真ん中に存在感のある達者な文字がびっしりと書かれた縦長の紙切れだった。
何と書かれているのかは判別がつかない。
※この札を所持するか否かでこの先の展開が少し変わる。
KPはしっかりPLに確認しておくように。