神の子との邂逅
神の子の空間は探索者たちから感覚をもらったユメと探索者の本体が同じ空間にあるため、全ての感覚が一旦元に戻ります。
ようやく辿り着いたのは、白く透き通った広い部屋でした。
壁や床はところどころ淡い虹色に輝き、その天井は屋根がなく星空が瞬いています。
そして、目の前にいたのは真っ白なピアノを弾く化け物でした。
その手はアンバランスに大きく、足は触手のように細かく分かれ、頭からはツノのような羽のようなものが生えており、皮膚がうろこのように重なった背中からは歪な羽根が生えていました。
見たことのない生命体にあなたは驚きます。SAN値チェックです。0/1d5
(ここでの発狂はありません)
この神の子はクトゥルフ神話生物ではありません。作者の創作生物と言っても差し支えはないでしょう。
このシナリオの根幹に座する邪神は「ヒュプノス」なのですが、その説明【彼は気に入った者をふさわしい形に変える。その犠牲者は永久的に彼と一緒に住まなければならず地球に帰ってくることはできない】という点にに着目しました。
なのでこの神の子はヒュプノスのお気に入りであり、彼の息子なのです。元は地球に住まうただの少年でした。
化け物じみた姿になれはて、知識・感情・感覚といったものの大部分を忘れてしまっています。
あなたが声をかけると、その化け物は演奏をやめ、ゆっくりと振り返ります。
「みんなひさしぶり!あそびにきてくれたの?」
「何かこまったことでもあった?」
「ねぇねぇ、いっしょにあそぼーよ」
神の子はもちろん探索者全員のことを知っています。PLが放置している間に『探索者たち』が彼に助けを求めてきたからです。
なのでPLが操っている探索者が敵意を向けたり、知らないそぶりを見せると不思議がります。
探索者のことは下の名前を呼び捨てでカタカナっぽく呼びます。
「みんなどうしちゃったの?」
「どうして【怒る】をしているの?」
「ねぇ。君は本当に【タンサクシャ】? 」
「どうして『ハジメマシテ』のふりをするの?」
無知の化け物が疑問をたくさん投げかけたり、困惑する描写が大好きなんですよね。
みんな、『GÜRIGÜRI(作:sasakure.UK)』 を聴こう!!
「みんな忘れちゃったの…? なんで? おかおは変わってないのに……。」
「ねぇ、もしかしてそこにちがう子いる?」
「ユメがね、言ってたんだ。自分以外にもうひとりのダレかがいることがあるヒトもいるんだって。」
「だから、ちがう君たちだったら『ハジメマシテ』なのかな。」
【違うヒト】というのは中に入り、RPをしている【PL自身】のことを指しています。
神の子に名前はありません。
色々質問したら素直に教えてくれますが、大抵のことは分からないでしょう。
絵本のかけらを見せてくれたら「ユメが見せてくれたやつだ!さがしてたんだ!ユメ〜、あったよ絵本!」と言って奥の部屋へ消えていくでしょう。
「ボク? ユメはボクのことを『カミサマ』って呼んでたよ。」
「ユメはボクのお友だち!」
「ここは父さんがつくった場所だよ。」
あなたはさらに奥へと続く空間を発見します。
「そっちには『みんな』がいるよ。」
真実の間
踏み込んだ部屋を見てあなたたちは言葉を失った。
大量の根っこが集約し、その樹とまるで一体化しているように根っこの中で眠る少女が一人。
そしてその足元……根っこはそれぞれ4つに分かれ、4人の人間と繋がっていました。
それは一目見て分かった。繋がれていたのはあなた自身だったのだから。
その身体はひどくボロボロでした。
理解の追いつかない状況にSAN値チェックです。1d3/1d10
(ここでも狂気に陥ることはありません)
横たわっているのは探索者自身の本体です。
今まで探索していた探索者は、本体から離れた【生きた魂】となります。
しかし神の子は【魂】そのものを知らないため、なぜ探索者たちが二人いるのかは分かっていません。
「ヒトって不思議だね!」
「『みんな』のおかげで、もう少しでユメが起きるよ。」
「『どういうこと』…って、みんながボクに『たすけて』ってお願いしにきたんだよ。」
「ボクもあの時はこまってたんだ。ユメがね、急にねちゃって何回呼んでも起きなくなっちゃったから。」
「ずっとずっと起きるのを待ってたんだ。でも、絵本をよんでも、お歌を歌っても起きなかった。」
「そしたらね、君たちがここに来たんだよ。みんなすごく困ってるようだった。」
「だからボクは言ったの。『ボクのおねがいを叶えてくれるなら、君たちのおねがいを叶えてあげるよ』って。」
「そしたら君たちはくれた。
【HO1探索者】は味がわかる部分を。
【HO2探索者】は音がわかる部分を。
【HO3探索者】は色がわかる部分を。
【HO4探索者】はさわってわかる部分を。」
「ユメがねちゃったのは、たぶん『楽しい』が分からなくなっちゃったからだよ。」
「ボクはヒトの体がよくわからないからすごく助かったの、ありがとう!」
「みんなからもらったもののおかげでユメももう少しで起きると思うんだ!早くおきないかなぁ。ボクおしゃべりしたいことがたくさんあるんだ!」
神の子は【死】をよく理解していません。【死】とは夜空のお星さまになることだと教えてもらいました。
なので体がここにあるユメのことは【死んだ】とは思っていません。
この時点で【死】に対して詳しく説明しても「よくわからないや」と返します。