体を返してほしい…
「【タンサクシャ】は夢の世界に帰っちゃうの?」
神の子にとってはここが【現実】。ユメや探索者がやってきた外の世界が【夢】。
【夢の世界】はたくさんのヒトがいて、色んなものが溢れていて、みんなが自由に色んなことをできる、それはそれは飽きることのない世界だと教えてもらいました。
逆にここでの【何でも叶う夢の世界】は神の子にとって【探索者が作った願いの世界】です。
「いいよ!
……あ、でもツナガリを結んじゃったんだった。それをほどかなきゃ。」
「みんなの『強い想い』を見せてー」
神の子があなたに向かって両手を伸ばしてきます。
その両手が虹色に輝き、あなたの額を貫通する。
痛みはなく、ただズブズブと神の子の腕が頭に入ってきます。
「これかな? じゃあこれをつくるには……」
神の子が腕を引き抜き、ごそごそと何かを探し出す。
「あった!」という言葉と共に握っていたのは大きめの刃物らしきものでした。
「もってて。」
そう言って神の子は自分の左手をあなたに握らせます。
「いくよ、せーの」
ズブン、という鈍い音と共にあなたの目の前で神の子の大きな翼が切り落とされた。
その断面から、どくどくと赤い鮮血が溢れ出す。
「あっ…! ああぁぁあ!!」
影響された元ネタ)惜しくないそす。/キルア、スキー。
神の子は探索者たちが好きです。だから彼らの力になれるのだったらどんなことでも惜しみません。
前も今も純粋に探索者たちを助けてあげたいと思っている優しい化け物なのです。
神の子は決して痛みが分からない訳ではありません。
1回目のお願い(大切な人を助けてほしい)で片翼をもぎ取ってます。その時に初めて『痛い』を知りました。
神の子はあなたたちの言葉を聞いているのかいないのか、そのまま進めていきます。
切り落とした翼を拾い、ぎこちない動きで4等分に切り分けていく。
「ほどく、もの……。ほどくもの……!」
やがて翼だったものは形を成した。それは……
NPCとの魂の結び目を断つための『武器』です。一人一つずつ。
形状はバラバラで大丈夫です。できれば夢に関係のあるものだとグーですね。
もしくは【NPCが探索者にプレゼントしたもの】、それをモチーフとした武器など。
武器でなくても「これで人殺せそうだな〜」という判定のものであればOK!
どこか淡い虹色に輝く凶器です。
「これを使って、『ツナガリ』をこわしてね。」
「え? だから、これを使って大切なヒトをこわすの。
そしたら『結目(ゆめ)』もとけて『ツナガリ』が切れるから。」
「みんなに結んじゃったから、みんながちゃんとほどかないと帰れないよ。」
「でも、本当に帰りたいの? みんなあんなに必死にボクにお願いしてきたのに。
あんなに苦しい、苦しいって泣いていたのに。」
物語の真実へ……
唐突にあなたに突きつけられた選択肢。
まるで残酷な選択肢しかないゲームのようです。どこで間違えたのでしょう。何を間違えたのでしょう。
今までの人生と、この場所と一体どちらがフィクションなのでしょう。
もしかしたらどちらもフィクションだったかもしれません。
”あなた”の目には何が映っていますか。”あなた”は何を信じていますか。
[強制]<幸運>
ぐるぐると考えている中で、あなたはまたあの虹色に輝く蝶を見かけました。
その蝶はこの部屋の外をふわふわと飛んでおり、あなたが気づくと先ほど登ってきた螺旋階段の下に消えていきます。
ユメは神の子にバレないよう形を変えて動き回っています。
彼女はこの空間(物語)からの全ての解放を望んでいるため、頼みの綱である探索者(PL)たちだけにアプローチしていたのです。