HO3の空間
遠くに見える建物に向かって船を漕ぐ。
やがて、その建物が見えてきます。
※HO1、2、4の探索者は直近まで目指していた夢の記憶が濃いため、向かう道中に何らかのアイテムを見つけることができますが、HO3のみ夢は遠い昔に忘れたままなので何もありません。
また、この場所でもHO3の視界はずっとモノクロです。
やがて足の踏み場がある場所にたどり着きます。
そこにはぽつんとした小さい正方形の建物がありました。
窓はなく、一つの扉が付いているだけです。
扉を開けると、どこまで続いているか分からない階段が現れました。
点々と小さい明かりが灯され、足元は確認しながら降りることができそうです。
※HO3のテーマにちなんで忘却の象徴である「地下」です。
ある程度下ってみると、廊下が現れました。
地下なので薄暗く不気味です。軽く歩いてみると、
休憩スペース/シャッター/シンプルな扉/暗い地下へと続く階段/上へ続くエスカレーター
を発見します。
休憩スペース
廊下の端には、自動販売機とベンチがいくつか設置されていました。
そしてそのベンチの上に、一つの古いゲーム機が置かれていることに気がつきます。
ゲーム機を起動してみると、一本のゲームが入っていることに気がつきました。
タイトルは『私とあなたの夢手帳』
どういったゲームなのか知るには<知識-30>が必要ですが、HO3のみそのまま<知識>で振ることが可能です。
ここはHO3の空間なので、過去に見たことがあったものが反映されています。
私とあなたの夢手帳
これは少女育成シミュレーションゲームです。
日常生活のシーンと少女が見る夢のシーンを交互にプレイしていき、少女の人生を決めていきます。
数ある選択肢を選び、他キャラクターとの仲をこじらせることのないまま進めることができると優しい夢を見続けることができ、ハッピーエンドに辿り着きます。
しかし、少しでも選択肢を間違えてしまうとキャラの関係は悪化してしまい、それが悪夢となって夢に反映されてしまいます。そしてそのバッドエンドは……。
このゲームはプレイヤーの手によって主人公である女の子の人生が大きく左右されるタイプのものです。
イベント・分岐量の豊富さ、少女が見る夢の独特な表現の仕方、あまりのバッドエンドの後味の悪さが当時話題になっていたことを思い出します。
元ネタは作者が大好きなゲーム第1位のゆめにっき、そして第3位のドキドキ文芸部です。
ゆめにっきのパロ描写をしようと思いましたが、まんますぎるのでやめました。
書いといてなんですが普通に面白そうだから遊びたいんですけど。似たようなゲームありませんかね?
そしてこれは唯一のダイレクトヒント情報です。
「他キャラクターとの仲をこじらせることのないまま」
というのが大大大ヒントですね。ハッピーエンドへの道筋は「友達になること」なので。
シャッター
大きなシャッターが降りています。
開けてみると、そこには意外な場所がありました。
現れたのはHO3探索者が秘匿導入で【家族と出かけた場所】です。
ですが人っ子ひとりいません。動物や虫などの生き物すら一匹もいません。
とても寂しい場所です。
もし秘匿導入で思い出のある物があった場合、目星を振って壊れた状態で発見させてもいいかもしれません。
例)
・記念に買ったグッズ
・入場チケット
・ビデオカメラ
秘匿情報:HO3
何故か胸がぞわぞわする感覚に襲われます。
あまりここに長居したくないと思いました。
シンプルな扉
扉をゆっくりと開く。
すると、そこは誰かの部屋のようでした。
ここに現れるのは【現在のHO3探索者の部屋】または【HO3の職業に関する場所】となります。
秘匿情報:HO3
部屋の大きさ、並べられた家具、使い慣れた仕事道具。
ここはあなたの部屋で間違いありません。
<目星>
あなたは隠されたように挟まれた手紙を発見しました。
『何をするのが正しかったんだろう。
でもきっと、この選択自体が【私/俺】にとっての正解なんだ。
だから【私/俺】も【家族】ここにいる。そこに間違いなんてない。』
この手紙は、導入から本編開始の間までに放置された探索者自身の決意の手紙です。
キャラを乗っ取ったPLにとっては全く身に覚えがないでしょうね。
決して代償を払ったから記憶がないとかじゃないんですよ。
暗い地下へと続く階段
真っ暗で、足元がすくわれてしまいそうな地下へと続いています。
慎重に階段を降りていくと、可愛らしい色合いの扉が現れました。
扉にはプレートがかかっており【HO3探索者の下の名前】と書かれています。
その部屋の中には、様々なおもちゃが散りばめられていました。
どうやら子供部屋のようです。
秘匿情報:HO3
あなたはこの場所に見覚えがありました。
子供の頃の自室です。しかしその時よりおもちゃが多めに飾られているなと思いました。
まるで何かを隠しているかのようにぎゅうぎゅうだったのです。
おもちゃをどかしていくと、幼い頃のあなたと幸せそうな家族の集合写真を大量に見つけました。
その写真を見て、あなたは何故か心臓が痛みました。SAN値チェックです。1/1d4
上へ続くエスカレーター
それは一本のエスカレーターでした。上りのものしかないようです。
出口はかなり高い位置にあるようで、遠くに小さく光る出口が見えます。
[強制] <HO3の一番得意な技能>
エスカレーターに乗ろうとした途端、ふわりと虹色の蝶が鼻先をかすめました。
全てがモノクロに見える世界で、あの蝶だけがハッキリと色を持っていました。
その蝶はゆっくりと通路の向こう側へと飛んでいきます。
その蝶を追う。通路を曲がるとそこに蝶はおらず、一片の紙が落ちていることに気がつきます。
【絵本のかけら】はHO1〜4の探索者の空間全てに出現します。ただし、<一番得意な技能>に成功しないと開示されません。
探索場所の順番は卓によって異なると思うので、成功したら順番に2、3、4、5と公開していってください。
失敗したら飛ばしていってください。
※この技能は探索者が【自分】という個を象徴するものなので、それに呼応する形でユメが蝶となって出現します。
ひとりぼっちの王さま②
もし話しかけようとするものなら、大きな口でガブリ。
するどいツメでガリガリ。
だからみんなクマを怖がりました。
誰もクマに近づこうとはしませんでした。
ある夜、クマはお星さまを見上げてお願いしました。
「誰もいないところに行きたい。
みんなうるさいから、どこかへいなくなれ!」
ひとりぼっちの王さま③
つぎの日、クマが目を覚ますと、おうちの外から音がしなくなっていました。
不思議に思ったクマは町を歩いてみます。
すると、楽しげな小鳥たちの歌声が、追いかけっこするうさぎたちが、
キャンキャン吠え合う犬たちがいません。
あんなにうるさかったみんながいなくなっていたのです。
クマはとっても嬉しくなりました。
お星さまがボクの願いを叶えてくれたんだ!
ひとりぼっちの王さま④
ひとりだと、あんなに混んでいた公園であそび放題!
学校に行かなくたっていい!
お店のものを勝手に食べても怒られない!
みんなが使ってたおもちゃもひとりじめ!
ここではボクは王さまだ。何でもできる自由の王さま。
それはクマにとって天国でした。
誰もいない場所。何をしても怒られない。誰も文句を言わない。
クマはずっとずっと幸せな毎日を暮らしました。
ひとりぼっちの王さま⑤
しかしある時、クマは「さみしい」と思ってしまいました。
ボクだけの自由の国。ボクは王さまなのに。ボクは何でもできちゃうのに。
毎日同じことのくり返し。
ひとりぼっちのさみしい世界。
王さまの目からポタリと涙がこぼれます。
どうして? ボクはお願いが叶って嬉しいはずなのに。
夢の世界は幸せなはずなのに。
がまんできずに、ひとりぼっちの王さまはわんわんと泣きました。
けれど誰にもその声は届きません。誰も王さまをなぐさめてくれません。
長いエスカレーターを登っていく。
出口から見えた光景にあなたは驚いた。
HO3の未来電話
目の前に広がるのはどこまでも続く満点の星空。
キラキラと瞬く星が湖面いっぱいに反射し、美しい光景が広がっていました。
自分が目覚めたあの霧の場所にあったものと同じ白い花が辺り一面に咲き乱れています。
そしてそんな中にぽつんと置かれた白い電話ボックスが一つ。
リリリリ リリリリ
涼やかな音が鳴り響きます。どうやら電話がかかってきたようです。
この電話に出られるのはHO3探索者のみです。
あなたは意を決して受話器を取る。
「もしもし、【探索者】?」
そこから聞こえてきたのは、あなたにとって聞き馴染みのあるあの人の声ー。
瞬間、あなたたちは光に包まれた。