アナザーストーリー⑤

アナザーストーリー⑤ 自動販売機を思いつく

当初は弟のラーメン店の店内を想定していた。しかし、よくよく考えると、どこを売り場とするか、店内があまりにも狭いため、売り場を作るのが難しかった。スーパーに卸すことも考えたが、保存料を使わないことから賞味期限も短く、管理も難しいと思ったので、営業しなかった。インターネットで販売する方法も検討していた時、アマゾンは生鮮食品の取り扱いは関東地方に限定されていた。


ある日、ホリエモンがYoutubeで、決済機能を持つ倉庫を絶賛していた。多分。決済機能を持つ倉庫(・・?、自動販売機だとなった瞬間である。そこから、自動販売機で売ることを考えると、いろんなメリットがあった。店外に設置すれば、お店がお休みでも、販売できる。食品を保管する冷蔵庫も要らない。販売スタッフを常駐させることもないし、教育する手間も要らない。自動販売機で販売する生麺は、前例もなく、話題性もありそうだった。


自動販売機を調べると、意外といろんな食品がすでに陳列されていたが、自分が設置しようと思うまでには、全く気にも留めていなかった。面白い自動販売機は多々あったが、生麺は、話題性として、いいスタートダッシュを切れそうだった。唯一1つだけ不安があった。その不安とは、食品であるため、菌やにおいの発生が懸念されたことだった。以前漬物を販売していたとき、商品の外周が塩で汚れていることがあった。塩で汚れた商品を触ると、手が荒れるクレームにもなりかけた。商品の内部は製造者の責任だが、商品外周の衛生管理は販売者の責任だと思っていた。また、調べた自動販売機は、ただ自動販売機の中に陳列しているようだった。購入するお客様の気持ちを考えると、ただ生パスタを陳列しても売れないなと感じた。


自動販売機で検索すると、ゴキブリというサジェストキーワードが出てくる。紙コップのコービー自動販売機で、ゴキブリが混入していたなんて画像も見つかる。自動販売機の衛生管理は、補充時の清掃が主な手段であり、自動販売機の安全とは、転倒しないことだった。大切なのは、負担なく、恒常的に衛生管理できる方法である。時間や金銭的負担が大きければ導入しづらい、一時的ではなく恒常的な方法が不可欠と考えたところ、製麺所で称しているオゾン発生装置を自動販売機にも利用できないかと考えた。それから、オゾンのこと、特許のこと、自動販売機の安全を調べた。


じつは、弟のお店が移転オープンしてから、出前の問い合わせがときどきあった。そのたびにお断りしていた。ラーメン以外の料理はテイクアウトしているため、ラーメンを持ち帰りたいという要望があった。けっか、いまのように、ラーメンと生パスタを販売する自動販売機が出来上がった。