事業承継
Business Succession
Business Succession
2016年、角屋食品を創業した角谷悦郎の逝去に伴いKAXの講師を務める角谷直樹への事業承継が行われました。全国の後継者不在率は2020年時点で65.1% と非常に高い割合で推移しており、事業承継は日本経済にとって喫緊の課題だといえます。KAXは講師の経験を踏まえ、事業承継にフォーカスした講義を実施します。
昨今では事業承継を支援する機関や組織が増え、様々な研究も発表されています。事業承継をどのように見るかによって表現は変わってきますが、少なくとも以下の4つのステップが円滑な承継に大きな影響を与えます。
まずは事業を継続させる/売却する/廃業するを決めるところから始まります。継続させるのであれば後継者候補は親族内か、親族外か、親族外であれば生え抜きか、招聘かなど、選択肢を整理し後継者候補を決めていきます。
後継者候補が決まれば、次は経営者としての育成です。社外を経験させたのち、社内で現場を経験させるなど、段階を踏んで経営者としてのスキル、リーダーシップを、覚悟を身につけていきます。
段階を踏んで育成すると同時に権限移譲を進めていきます。現経営者が意思決定をしていた領域を後継者候補に任せ、その結果を見守ります。順調に経営が回っていれば、さらなる権限を委譲していきます。
株式や現金、不動産に加え、地位や役職、名声、信用など経営者にはこれまで蓄積してきた有形/無形の資産があります。これらを整理しどの段階でどれだけ受け渡していくか計画を立て実行していく必要があります。
KAXでは一般的なコンサルタントや税理士/会計士などがアドバイスするような、事業承継の「手順」や「税制優遇」に特化した講義は行っていません。
KAXは現経営者と後継者候補がそれぞれ暗黙的に負っている道徳的責任にフォーカスしてカリキュラムや、事業承継を好機とした変革/経営改善を中心に構成しています。例えば、前者については憲法によって職業選択の自由が保障されている近代社会において、創業家に生まれた現経営者と後継者候補には、それぞれ事業を存続させていく道徳的義務があるかどうかを考えてきます。仮にあるとすれば、それはどこから生じているのでしょうか?またその義務は、後継者候補の自由の権利を制限してしまうことにならないでしょうか。
事業承継の講義では、ケースメソッドを通じ、普段は言語にして考えることのない領域まで考えを深め、事業を継いでいくことの意味と価値を考えていきます。