KAXでは全ての講義を「ケースメソッド」で進めていきます。ハーバード大学ビジネススクールを中心とした教育機関で作成された”ケース”を読み解き、経営者の立場で議論を繰り返します。多様な事例を元に経営者の意思決定を擬似体験することで、実践的なマネジメント力を高めていきます。
ケースメソッド(Case Method)は1920年代にハーバード大学のロー・スクールで始まった判例をもとに討議して学ぶ講義形式に起源をもつといわれており、その授業スタイルが同大学のビジネススクールに移植され発展していきました。
ケースメソッドは講師と受講生が対話しながら学びを深めていく手法であり、現在では世界中のMBA教育で一般的に採用されています。国内でも国際認証を取得している慶應義塾大学大学院経営管理研究科(KBS) や名古屋商科大学ビジネススクール(NUCB)などで積極的に使われています。
以下に同校が公開している講義の様子を紹介します。
慶應義塾大学大学院経営管理研究科
ビジネススクールで実践されているケースメソッドは、実際に企業で起こった出来事をもとに作られた事例(ケース)を読むところから始まります。教科書などには抽象度の高い理論、フレームワーク、概念が記述されているのに対し、ケースには「ある固有の状況下で実際に起こっている具体的な出来事」が事実としてそのまま記述されています。
ケースには主人公(経営者やマネージャー、従業員等)が設定されており、受講生はその主人公の立場で考え、直面する危機や迫られる選択に対し意思決定を繰り返していきます。講師が事前に提示した 質問や、講義の場での問いかけに対し「自分であればこうする」という意見とともに、その理由を整理・発言します。
時には講師から、時には受講生から質問や反対意見があることもありますが、その瞬間に自らの論理を組立て言葉にしていくことで、根拠としている理論を単なる知識ではなく、道具として使いこなせるようになっていきます。
ケースメソッドには事前に用意された”シナリオ”はありません。学びの場に集った受講生と講師の対話の内容はその日限りであって、全く同じ講義は二度と再現できません。したがって、講師は受講生の発言の瞬間、瞬間に即座に対応しながらも、講義の最終目的地に向かって全員を導いていく腕を磨く必要があり、経営学の知識だけでは受講生に気づきを与え、満足してもらえる講義はできないものです。
講義の中で受講生に気づかされ、学び、反省することを繰り返して、ケースメソッドを行うことができるようになります。KAXの講師はこれまで国際認証を取得した名古屋商科大学ビジネススクール(東京・大阪・名古屋キャンパス)で7年以上講師を務め、高いレベルでの講義を繰り返してきました。経営を行う傍ら、受講生に講義する立場の人間として日々、講師自身も学びを続け研鑽を積んでいます。
ケースメソッドでは以下の3つのステップを経て、学びを深めていきます。
講義の約2週間前に配布されるケース(教材)と指定された教科書をもとに、アサインメント(課題)に対する自分なりの回答を各自でまとめ、予習を行います。アサインメントの中にはレポート提出が求められているものがありますので、自分の考えを整理し、指定された日時までに提出していただきます。
「グループ討議」では事前に準備してきたアサインメントを数人のグループで共有していきます。受講者が6~8名に分けられ、事前課題に対する互いの意見を交換し合いながら授業に備えます。教員が立ち入る事はなく、参加者同士が自由に発言し「共に教えあう」時間です。
グループ討議の後、全員が再度集まり「クラス討議」を開始します。授業は講師が話すことを覚える場ではありません。講師からの問いかけに対する自分なりの「答え」を考え、それをまとめて言葉にし、発言する場です。 時には講師と、時には受講生と議論しながら、自分の考えを鮮明にしていくことで学びを深めていきます。