小桜韋縅鎧(武田楯無鎧)菅田天神社所蔵

小桜韋縅鎧(武田の楯無鎧)菅田天神社所蔵

小桜韋縅鎧(菅田天神社所蔵)は、新羅三郎義光(1045~1127年)より伝来の武田氏の家宝で、「楯無の鎧」と号されます。武田晴信(1521~1573年)が鬼門鎮護のため菅田天神社に奉納したと伝わります。江戸時代に大破し、寛政10年(1798年)に補修を受けて残念ながらかなり改変されてしまっています。小桜韋縅黄返大鎧とも称されます。

平札を黒漆塗で、要所は鉄札と革札を一枚交ぜ(交互)になります。2,066枚の小札のうち鉄札は225枚です。縅毛は小桜の文染韋・藍染韋(鹿鞣韋)。耳絲は紫韋。畦目と菱縫は紅猿鞣です。胴高65.1cm、兜鉢高10.0cm、大袖長42.4cm。胸板18cm、壺板は横31.4cm・縦27cm。冠板は通常の片山形ではなく、中央稜形の花先形になっています。

草摺は四間五段。兜は黒漆塗の鉄10枚張8間厳星で星一行6点。腰巻に1点ずつ打っています。

前九年の役(1051~1063年)・後三年の役(1083~1087年)の役ころにつくられたのではないかと推測されています。

𩊱(しころ)は一部鉄札ですがほぼ革札です。胴は左側に鉄が集中(一枚交ぜ)していますが右側はほぼ革札です。草摺は前は上段に鉄が多く、下段は革札のみ、草摺左右は一部鉄、草摺後は全て革札。しころ・立挙・長側の小札は短く、草摺・大袖は小札が長い傾向にあります。大袖は全て革札です。

絵韋は襷に獅子の丸霰紋であったのが『集古十種』に記されていますが修理によって藻獅子になってしまっています。

胸板

(笹間良彦『日本の甲冑武具事典』)

脇楯の壺板

(笹間良彦『日本の甲冑武具事典』)

脇楯

(笹間良彦『日本の甲冑武具事典』)

脇楯の草摺

笹間良彦推定復原

(笹間良彦『日本の甲冑武具事典』)

大袖の冠板

(笹間良彦『日本の甲冑武具事典』)

大袖の冠板

(笹間良彦『日本の甲冑武具事典』)

小札

(笹間良彦『日本の甲冑武具事典』)

笹間良彦推定復原

(笹間良彦『日本の甲冑武具事典』)

絵韋

(笹間良彦『日本の甲冑武具事典』)

障子板

笹間良彦推定復原

(笹間良彦『日本の甲冑武具事典』)

(笹間良彦『日本の甲冑武具事典』)

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