黄櫨匂縅鎧(佐々木高綱鎧)甘南備寺所蔵

黄櫨匂縅鎧(佐々木高綱鎧)甘南備寺所蔵

黄櫨匂縅大鎧残(はじにおいおどしおおよろいざん)は、島根県江津市桜江町坂本の甘南備寺が所蔵する国指定重要文化財です。平安末期の鎧です。残闕は部分的に残っているという意味です。

佐々木高綱が着用したとされます。戦国期に丸山城主小笠原長旌が天正17年(1589年)に武運長久を祈って先祖伝来の品を甘南備寺に奉納しました。

小札は多くが牛革で、一部鉄札(正面から射向側に鉄1枚革3枚)が用いられています。小札は全て三目札(敷目札)です。札足8cm、札幅上3.6cm・札幅下3.75cm、厚さ14mm。弦走韋の下は、赤韋で縦取緘です。

兜は欠、胴は前立挙2段、長側4段、草摺前後4段(後1段欠)、草摺左右欠、大袖六段(推定)・1段あたり小札30枚。前後草摺の菱縫板は中央で二分されていません。逆板の畦目は黄絲です。

絵韋は別で詳細を記しますが、白地に霰と撫子文(または襷霰地に撫子文・霰地花円文・霰文に撫子などとも)です。

縅毛は四ツ打で櫨・薄茜・濃茜で匂縅されています。耳絲は、白・萌葱・赤・紺の4色を組交ぜた鷹羽打風の亀甲打の組絲。赤絲を組交ぜているのは猿投神社・樫鳥縅大鎧の耳絲や畦目だけです。畦目と菱縫は紅韋です。栴檀板1段目10枚、2段目以下1枚増し幅広になっています

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