総角・大袖の緒の結び

総角・大袖の緒の結び

法隆寺旧蔵沢潟縅鎧雛形(伝聖徳太子玩具鎧)や『伴大納言絵詞』に描かれている大袖の裏には韋(矢摺韋)を当てておらず、古くは矢摺韋はなかったものと思われます。

厳島神社所蔵紺絲縅鎧(平重盛鎧)の右大袖裏の後方に細長く、冠板に覆った絵韋の下端から5段目の小札板下部まで絵韋がつけられています。縦29.9cm、横幅7.8cmで小縁韋をめぐらし伏縫されています。これは箙を着用する矢束が大袖の各段に引っかかるのを防ぐために張った韋で矢摺韋といい、平安時代後期から見られます。

大袖の水呑の緒は屈んで水を飲もうとするときに大袖がずれて水に浸かるのを防ぐため、背の総角に結んで吊っておくことから水呑の緒といい、水呑の鐶は平安時代後期までは大袖の裏に打たれていましたが、鎌倉時代以降には表に打たれるようになっていきます。

大袖

(笹目良彦『日本の甲冑武具事典』)

大袖

(笹目良彦『日本の甲冑武具事典』)

矢摺韋

(笹目良彦『日本の甲冑武具事典』)

大袖の緒の結び方

(笹目良彦『日本の甲冑武具事典』)

水呑の鐶

(笹目良彦『日本の甲冑武具事典』)

水呑の鐶

(笹目良彦『日本の甲冑武具事典』)

水呑の鐶

(笹目良彦『日本の甲冑武具事典』)

水呑の鐶

(笹目良彦『日本の甲冑武具事典』)

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