沢潟縅鎧(延喜鎧)大山祇神社所蔵
沢潟縅鎧(延喜鎧)大山祇神社所蔵
沢潟縅鎧(延喜鎧)大山祇神社所蔵
940年ころにつくられたとされる現存する最古の大鎧『延喜の鎧』(大山祇神社所蔵)について。愛知県大山祇神社所蔵の国宝沢潟縅鎧残欠は越智押領使好方(藤原好方)奉納と伝わる鎧です。延喜年間(901~923年)につくられたと伝えられてきたことから『延喜の鎧』と称されていますが、実際には天慶のころ(940年前後)につくられたとされています。
胸板、障子板、脇楯壺板、大袖冠板などの金具廻は欠失しており、弦走韋、肩上、蝙蝠付などの韋部分も欠失しています。また、化粧板、八双鋲、栴檀板、鳩尾板などもありません。
日本に現存する最古の大鎧の小札は、全てが革の小札(三目札)。三行孔(あな)の革札(かわざね)を3枚重ねに揺組に緘(てが)みます。小札の高さ6.3cm、幅は2.9cm、厚さ9~10mmです。
正倉院の挂甲残欠の縅毛の組絲と縅手法(縦取緘)と最も近似しており、そもそも縦取緘は挂甲の縅し手法であることからも古式のものと分かります。
特徴は、札頭の両角を無雑作に切り取った素朴な小札であることと、下緘(したがらみ)は揺ぎで塗固めていないことです。
(笹目良彦『日本の甲冑武具事典』)
逆板の一部
(笹目良彦『日本の甲冑武具事典』)
小札の一部
(笹目良彦『日本の甲冑武具事典』)
小札の一部
(笹目良彦『日本の甲冑武具事典』)
三目札(敷目札)
(笹目良彦『日本の甲冑武具事典』)
笹目良彦推定復原図
(笹目良彦『日本の甲冑武具事典』)