2016年より一般社団法人 地域創生連携活動コンソーシアムを歴史ある林業地と創業し、「山からのイノベーション」と題して、森林と林業を手掛かりとしながら、「西日本を軸に林業地と使い手をつなぐマッチング・コーディネート」に関する活動を行っています。この社会活動のきっかけは、エネルギー研究に携わっていたポスドク時代に遡ります。バイオマスエネルギーへの転換シナリオなどに関わりながら、科学的な推定と現実のフィールドとの乖離に疑問を持ち、休みの日には山に行って体当たりで山の人たちと話をし始めたのがきっかけでした。
問題意識の原点は、ポスドク以前の博士課程に遡ります。当時、千葉商科大学経済研究所において「21世紀の地方都市再開発」と題した共同研究をしていた時に、新潟県を中心とした中心市街地の問題分析を行っていました。その際に、中心市街地の問題を突き詰めていくと、その周辺圏域にある中小農村コミュニティとそれを支える山と森の荒廃という問題に直面しました。しかし、政策研究という社会科学的な知と方法しか持たなかった私は、眼前に展開される問題を分析し、解決策を提案していったとしても、実際に何も変えることはできませんでした。以後、大きな自然を相手にする時、ひとりの個人はあまりにも無力であり、何もできないことに対するある種の罪の意識を感じることが多くありました。それはまた、森と人に対する問題意識の醸成期間だったのだろうと今では思うところがあります。そのような情勢期間を経て、当時の所属機関であった立命館サステイナビリティ学研究センターにおいて、会議の際に理工学部の酒井達雄先生より「自然の木を活用する研究テーマ」に関する提案を聞いたことで知的なブレークスルーを得るに至り、その後「持続可能な森林経営プロジェクト」というものを提案し、メンバーを募って活動を展開しておりました。
このプロジェクトでは、「森林管理・山間地農業・木材利用・バイオエネルギーといった諸課題のコラボレーションによる持続可能な社会の実現」を掲げ、「木質バイオマス活用による中小農村コミュニティ再構築事業」を目指してコツコツと研究開発やフィールドワークを進めていました。