斐伊川水系水鳥プロジェクトの活動

2024/3/28【報告】出雲市稗原町に田んぼビオトープが作られました。


今年、出雲市稗原(ひえばら)町に新たに作られた「田んぼビオトープ」について、簡単に報告いたします。


こちらの水田は昨年までコメが作られていたのですが、生産者がリタイアされることになりました。地元の農業者さんも引き継いでコメを作るには人手が足りず、かといって放っておくと、将来のトキの餌場が失われてしまうということで、「サントリー世界愛鳥基金」の支援も得つつ、田んぼビオトープとして維持・活用していくこととなりました。

田んぼビオトープ(出雲市稗原町)

ビオトープとして生まれ変わった水田。曇り空で時折寒い風が吹いていましたが、早くもアカガエルのオタマジャクシがあちこちで泳いでいました(2024/3/19撮影)。 

田んぼダムとしての機能を持たせました

今回の整備にあたって工夫した点。最下流側の田んぼの「あぜ」を補強し、排水口からゆっくり水が流れ出るよう、V字型の板堰(いたぜき)と呼ばれる板をはめ込み、「田んぼダム」と呼ばれる構造としました。

地元新聞社の取材を受けました。

こちらのビオトープを作ったことに関心を持ってくださった地元新聞社より、記者さんが取材に来てくださいました(画面右から2番目)。

地元農業者のみどり営農組合(左のお二人)と水鳥プロジェクトスタッフ(右)が、同地をつくったいきさつとねらいを紹介しました。

看板を立てました

この場所が水害をおさえ、カエルやドジョウ、さらにはコウノトリやトキまで、多様な田んぼにくらす生き物のすみかとなることを期待して、看板を立てました。

地元の子どもたちが「なんか楽しそう!」と思って足を止めてくれるといいですね。

なお、取材いただいた内容は3/20に記事になりました。

https://www.sanin-chuo.co.jp/articles/-/546114

(斐伊川水系 水鳥プロジェクト)


2024/2/7【報告】安来まちゼミ「知っているようで知らないハクチョウ講座」

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1月30日(火)。安来市の矢田醤油店×斐伊川水系 水鳥プロジェクトのコラボ企画として、安来まちゼミ「知っているようで知らないハクチョウ講座」を開催しました。

昨年実施したモニターツアーで、参加者の皆さんがハクチョウのねぐら入りに感動されていた姿に触れ、「毎年必ず安来を訪れてくれるハクチョウたちの魅力を、まずは地域の人たちに再認識してもらいたい!」という思いを益々強くした私たち。 

昨年のモニターツアー企画段階でご縁をいただいた矢田醤油店の若奥様が、大の生きもの好きであることを知り、更に矢田醤油店では安来市で毎年開催されている「安来まちゼミ」で色々な講座を開講されているという情報を得て、今回のコラボ企画をご提案させていただきました。ありがたいことにご快諾いただき、異色の講座実現となりました。

当日は、前の週に降った雪がまだ田んぼにも残る中でしたが、暖かな晴天に恵まれました。

夕方5時、宇賀荘交流センターに集合。まずは簡単なレクチャーから始めます。斐伊川流域が、大型水鳥5種群が一度に見られる稀な場所であることをお伝えすると、皆さん必ず驚かれます。そうです。素晴らしい場所なんです。さらに斐伊川流域にやってくるハクチョウのほとんどがこの安来を訪れることなどをお伝えすると「そうなんだ!」と、ちょっと嬉しそう…?

ハクチョウに会いたい気持ちになったところで、日も暮れてきました。ねぐら入りは暗くなり始める頃から見られます。みんなで双眼鏡を手にセンターを出発しました。ハクチョウがねぐらに使っている冬みず田んぼは、センターから歩いて5分ほどで見えてきます。水を張った田んぼが夕焼けの光で輝いています。まずは遠くから観察。少しずつハクチョウたちが田んぼに降りてきます。

ねぐらの近くまでそっと近づきます。暗くなるにつれて、ハクチョウたちが群れでこちらに向かってきます。みんなの頭の上で旋回して、優雅に着水。ハクチョウたちを待っていると、ハクチョウよりも小さな鳥の群れが飛んでいく姿も見えます。こちらはカモたち。ハクチョウがねぐらに戻ってくる頃、彼らは逆にご飯を食べに出勤です。面白いなあ、という参加者の声が聞こえてきます。

どんどん暗くなってきて、ハクチョウたちの姿が見えづらくなってきました。暗い中どんどん戻ってくるハクチョウたち。名残惜しい気持ちを抑えながら、すっかり暗くなった田んぼを後にしてセンターに戻ります。

センターに戻ったら、矢田醤油店のお味噌で作ったお味噌汁と、マコモ(ハクチョウの食べ物でもあります)のお茶が振舞われました。冷えた身体が温まったところで講座も終了です。

参加者の皆さんからは、「地元の人にもっと知ってほしい」「羽の音や着水する音もよく聞こえた」「こんなに素晴らしいところを大切に守っていきたい」といった声をいただきました。

ご参加いただいた皆さま、そして矢田醤油店の皆さま、ありがとうございました。

2024/2/6【報告】米子市の公民館連絡会議に参加し、環境学習プログラムの活用の働きかけを行いました。 


日時 令和6年1月12日(金)15時より

場所 米子市明道公民館


 斐伊川の流域には、地域の自然の素晴らしさや面白さを伝える施設が複数あります。

 そうした施設や環境学習を担う団体の提供するプログラムを、少しでも多くの人に活用してもらいたく、米子市内の公民館で働く職員が集まる会議にて、アピールのお時間をいただきました。


 今回はいつものスタッフにくわえ、斐伊川水系水鳥プロジェクトに長年ご協力いただいている、米子水鳥公園の神谷館長にもご同行いただきました。これは心強い。


米子市明道公民館

本日はよろしくお願いいたします。 

斐伊川水系の流域の自然の特徴
斐伊川水系の流域の自然の特徴

米子市を含む斐伊川水系の流域は、全国的に見てもまれにみる素晴らしい自然であること、農業や製鉄業といった人々のいとなみによって、奇跡的にこの自然を形作ってきたことをご紹介いたしました。

私たちは『環境学習』と呼んでいますが、実は私たちのくらしと密接に関わりのある「ふるさとの自然や歴史」について知ってもらうこと、その自然をこれからも守っていくため、私たちに何ができるのか考えていただくことも、プロジェクトの目的の一つとしております。


斐伊川水系の流域の自然について学べる施設
斐伊川水系の流域の自然について学べる施設

そうした自然の面白さ、大切さを「伝える」施設や団体を紹介し、公民館の事業の中でぜひとも使ってほしいことをアピールしました。


米子水鳥公園神谷氏の講演

その後、神谷さんから米子水鳥公園の活用事例、環境学習プログラム集に掲載されている他の施設や団体についてもご紹介いただきました。

貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。

 公演中に使用した資料「環境学習プログラム集(リンク)には、圏域の施設や団体の連絡先を掲載しております。施設やプログラムにご関心がありましたら、ぜひともご一報ください。

よろしくお願いいたします。

(斐伊川水系水鳥プロジェクト)


2023/11/20【報告】松江市立乃木小学校の校外学習で、水鳥の暮らしぶりや、湿地・田んぼを守ることの大切さについて特別授業を行いました。~その2 


11月1日(水)、宍道湖グリーンパークで行った授業の続きとなります。

宍道湖・中海の自然について学んだほか、宍道湖では実際にどんな野鳥が観られるのか、バードウォッチングを行いました。

バードウォッチングは初めてという子も多い中、双眼鏡やスコープを使って、先生が指さすものをなんとか視界に収めようと悪戦苦闘。あれはカワウかな? 

コハクチョウのぬいぐるみ。実はこれ、本物のコハクチョウと同じ重さなんです。意外と重くて、両手で抱えないと持ち上がらない? 重い身体だとハクチョウも飛ぶのが大変かもしれませんね。

にわかに宍道湖に面した窓に駆け寄る子どもたち。あれは何?! 

なんとラッキー! 沖合からコハクチョウがこちらに向かって飛んできました。最初は3羽だけだったのが、10羽、20羽、30羽と次々とやってきます。

コハクチョウは一度田んぼの上をぐるりと回りましたが、田んぼには降りず、宍道湖に降りました。

思わぬ幸運に先生もちょっと興奮気味。 

宍道湖グリーンパークの岩西先生によれば、秋のお昼にグリーンパークからコハクチョウが観察できることは中々ないそうです。観られたみんな、ラッキーでしたね!


(2023/11/20 斐伊川水系水鳥プロジェクト)

2023/11/13【報告】松江市立乃木小学校の校外学習で、水鳥の暮らしぶりや、湿地・田んぼを守ることの大切さについて特別授業を行いました。~その1 


日時 令和5年11月1日(水)

場所 宍道湖グリーンパーク ほか


雲一つない快晴の、暑いくらいの一日でした。


松江市立乃木小学校の5年生のみなさんが、地域の自然環境の特徴や、自然を守ることの大切さについて学びを深めるため、総合学習の時間を活用し、宍道湖グリーンパーク、および、宍道湖自然館ゴビウスを訪れました。


一日、よろしくお願いします!

教室でのレクチャーでは、まず、宍道湖グリーンパークの岩西先生から「クイズで知ろう 宍道湖・中海の自然」という題で、宍道湖と中海にくらす野生の生き物について、また、「ラムサール条約」に登録されていることの意義について、クイズに答えながら学びを深めてもらいました。

一方、こうした自然の素晴らしさが世界レベルで認められている宍道湖・中海も、ゴミや外来生物などといった問題を抱えています。子どもたちには、湿地を守るために必要な行動についても考えてもらいました。

岩西先生からの宍道湖、中海にまつわるクイズ。まずは軽く小手調べ。宍道湖はどれかな?

圧倒的に2(正解)が多い! 子どもたちは夏休みに「宍道湖について調べる」宿題が出ていたそうです。この後宍道湖の大きさが日本では何番目かというクイズでも正解続出。予習もばっちりのようですね。

そのクイズも、宍道湖や中海にくらす生き物のことになってくると、だんだんと答えが割れていきます。みんなはどれだけ正解できたかな?

宍道湖や中海にはたくさんの野生の生き物がくらしていること。たくさんの野生の生き物がくらせるのは豊かな自然があるからだということを、ていねいに教えてくださいました。

宍道湖や中海といった湿地は、野生の生き物のくらす場所としてだけでなく、魚介類といった食べ物を提供したり、洪水をふせいだり、学びの場を提供したりなど、私たち人間にもめぐみをもたらしてくれることも、学びました。

後半は斐伊川水系水鳥プロジェクトより、斐伊川流域にくらす5種群の大型水鳥について紹介したのち、大型水鳥がこれからも元気にくらしていくために重要な「田んぼ」に焦点をあて、流域の自然を守るために子どもたちができることについて学びを深めてもらいました。


また、ディスカッションタイムとして、田んぼを守るために考えられる取組の一つとして「どうすればお米がたくさん売れるか?」について、みんなと意見交換を行いました。

宍道湖、中海を含む斐伊川流域には、ハクチョウやガン類といった希少な大型水鳥が一堂にみられる素晴らしい自然があること、その中で「田んぼ」が重要な役割を担っていることを、みなさんに知ってもらいました。 

日本ではお米の消費量が右肩下がりで、その原因の一つが食生活の洋風化と言われています。

お米をたくさん食べる、売るためにはどうすればいいか? 子どもたちの、「なるほど!」というものから、周りから笑い声のあがるユニークなものまで、いろいろなアイディアが飛び出しました。

たくさんの素敵なアイディア、ありがとうございます。

コハクチョウと同じ大きさの針金の翼で、みんなにコハクチョウになってもらいました。シベリアから何日もかけて飛んでくるハクチョウファミリーの大変さ、少しはわかったかな?

「お米をたくさん食べる、売るためにはどうすればいいか?」

子どもたちのアイディアを一部ご紹介します。



大型水鳥にとって重要な環境になっている「田んぼ」を守るためにどうすればいいのかという問題に対し、たくさんのアイディアが出ました。

子どもたちのくらすふるさとの自然への新たな気付きを与えてくれた今回の授業が、地域への誇りを高め、環境を守る行動につながっていくことを願います。

 

会議室での報告はここまでです。次は宍道湖グリーンパークにおけるバードウォッチングの様子を、ちょっとだけお伝えします。


(2023/11/13 斐伊川水系水鳥プロジェクト) 

2023/8/8【報告】水鳥から学ぶ自然豊かな斐伊川水系に関するワークショップを開催しました ! 


日時 令和5年85日(

場所 出雲中央図書館


出雲中央図書館にて、たくさんの水鳥が飛来する豊かな斐伊川水系を学ぶワークショップを開催しました(島根県環境政策課との共同開催)。


子どもたちと一緒に、大型水鳥5種群が生息できる斐伊川流域について勉強した後、水鳥プロジェクトの缶バッチやトキの折り紙をつくって理解を深めていただきました。

2023/8/8 斐伊川水系水鳥プロジェクト)