〜放課後のRabbit Houseにて〜
チノ「みなさん、地学オリンピックは申し込みましたか?」
ココア「いっけなーい!まだだまだだ!」
シャロ「もうココアったら……早くしないと申込期間終わっちゃうわよ!」
マヤ「申込期間は11月15日までだな!」
千夜「今年も一次試験はオンライン試験だから、みんな気軽に受けられるわね〜」
メグ「詳しくは地学オリンピックのWebサイト(jeso.jp)を見ればいいんだよね〜」
リゼ「それにしても、このペースだと地学オリンピックに間に合う気がしないな…」
シャロ「私達はまだ1年ありますし、先輩は今年こそきっと本選いけますよ!気にしないでください!」
リゼ「それもそうだな、ありがとうシャロ。さて、今日も授業をするぞー。」
千夜「よろしくね、リゼちゃん!」
シャロ「どうしたの?千夜、今日はやけに前のめりじゃない。」
千夜「この前映画を見たじゃない?その映画を観る前に見た天使の梯子を、気象の用語で「薄明光線」って言うってことをあの後ココアちゃんに教えてもらって……。」
千夜「まだ学んでない分野とはいえ、遅れを取るとは不覚……!なんとしても地質では勝たせてもらうわ!」
チノ「なんだか千夜さんから本気のオーラが……!」
ココア「ふふん!地学で勝つのは私だよ!」
メグ「どうしよう〜2人の熱量でコーヒーが沸騰しそうだよ〜」
マヤ「いざとなったら私がCQCで止める!」
リゼ「ま、まぁ、みんなやる気あるのはいいことだしな!さて、今日もビシバシ行くぞ!!」
一同「サー、イエッサー!」
リゼの地学基礎講座 -岩石・鉱物②-
リゼ「前回、前々回は火山についてや火成岩についてを扱ったが、今回は主に地表の岩石がどのように移ろっていくかを学ぶぞ!」
メグ「堆積岩って、砂とか礫とかが積もってできるアレだよね〜」
チノ「最近理科の授業でやりました。」
リゼ「おっ、それは心強いな。じゃあまず堆積岩とは何か、マヤに説明してもらおうか。」
マヤ「いろんなものが積もって固まった岩だよな!」
リゼ「そうだなマヤ、その理解であってるぞ。生物の死骸や火山噴出物、『砕屑物』などが固まった岩石のことを堆積岩と言うんだ。それじゃあ堆積岩について説明するための説明を始めようか。」
リゼ「まずは『風化』という現象について説明するぞ。」
ココア「えーっと、学校の授業でやったはずなんだけど……。なんだっけ?」
シャロ「地表の岩石が太陽や水、生物などの作用によって細かくなることね。」
ココア「思い出した!水が溶けたり凍ったりするやつだね!」
千夜「そうそう、水は凍ると体積が約1.1倍になるから、隙間に入り込んで溶けたり凍ったりすると岩を割っちゃうのよね。」
リゼ「今の氷が岩を割る話は『物理的風化』と言われる風化の一種だな。他には『化学的風化』というものがあっt」
チノ「カルスト地形の原因ですね。」
メグ「社会の時間にやったよね~」
リゼ「そうだな!地理と地学は密接なつながりがあるから!」
リゼ「箇条書きにするとこんな感じだ!」
物理的風化(機械的風化)
- 物理的な働きにより岩石が壊される作用
- 岩石自体の温度による体積変化
- 岩石の隙間に入り込んだ水の体積変化
- 流水や風で削られる「侵食」
- 植物の根の成長(根が岩石の隙間で成長するなど)
化学的風化
- 化学反応によって岩石が分解したり溶けたりする作用
- 二酸化炭素を含む水と炭酸カルシウムを主成分とする岩石の反応
リゼ「それで、この風化によって地表の岩石が削られた欠片のことを『砕屑物』と言うんだ。」
メグ「礫、砂、泥とかだよね〜」
シャロ「泥の中の分類で「シルト」と「粘土」なんていうのもあるのよ。」
リゼ「そうだな。それじゃあそれぞれどのようにして分類されてるかは知ってるか?」
マヤ「粒子の大きさだよなー!」
千夜「具体的にはこんな感じね(サラサラー」
ココア「ち、千夜ちゃんどこから筆を!?」
千夜「えへへ~、すずりもあるのよ~♪」
メグ「わー、和服の袖って書道バッグにもなるんだねー(棒)」
ココア「-8乗、-4乗、1乗……」
千夜「大変だわ!私の記憶力が良すぎてココアちゃんが数学の傀儡(かいらい)に……!」
マヤ「ココア、計算早いもんなー!」
ココア「チノちゃんすごいよ!粒子の大きさ、全部2の乗数になってる!」
チノ「マイナス乗ってなんですか……」
リゼ「高校数学で詳しく習うが、数xは-n乗されると分母がxのn乗、分子が1の分数で表されるんだ。例えば3の-4乗(3⁻⁴、3^(-4)と表せる)は1/3⁴、1/(3^4)なので、1/81だ!」
シャロ「詳しい話は高校数学の範囲で色々するから今は気にしなくていいわ」
メグ「わぁ〜、本当に2の乗数になってる~、覚えやすいね〜」
リゼ「堆積するものについての解説が終わったら、次は『河川の作用』というものについて話すぞ!河川には3つの作用があるんだ!」
ココア「ええと、侵sy……」
千夜「侵食・運搬・堆積ね。(ドヤァ」
リゼ「そうだな千夜。それじゃあそれぞれについて説明してもらえるか?」
千夜「侵食作用っていうのは、川を流れる水が通り道にある岩石などを削り取るはたらきのことね。そして、運搬作用は侵食で削り取ったものを水に乗せて下流に運ぶ作用のこと。堆積作用は水の流れが弱くなった時に、運搬していたものが川底などに積もること……であってるかしら?」
リゼ「完璧だ!」
メグ「水が硬い岩石を削るってどういうこと?」
千夜「こっ、硬水なんじゃないかしら……」
リゼ「違うぞ〜」
リゼ「砂場遊びとかを想像するとわかりやすいな。砂場で水路を作って水を流すと、水路の周りの砂がどんどん削られて落ちていく。これがもっと時間的にも空間的にも大きいスケールで起こっていると思ってくれ!」
チノ「ちなみに硬水とはミネラルを多く含む水のことです。一般にコーヒーなどはミネラルの少ない軟水で淹れると甘味やコクが、硬水だと苦みが強くなるといわれています。」
リゼ「さて、ここまで河川の作用について解説したが、この作用によって作られる地形、というものがあるんだ。地学基礎の範囲で覚えるべきものは3つ。V字谷と扇状地と三角州だな。」
ココア「V字谷は知ってるよ!!私の家の近くにあったもん!」
メグ「地理の授業でも習うよね〜」
ココア「えっ……そうなんだっけ?」
シャロ「先輩の講義始まった時からわかってたけど、ココアったら学校の授業中……」
リゼ「それじゃあ、それぞれの地形の説明は中学生組にやってもらうか!チマメ隊!」
マヤ「V字谷は侵食によって川の上流の方でできる地形だよなー。急な斜面に川が挟まれてる感じのヤツ。」
チノ「扇状地は川が山から平地に移る時に流れが遅くなって、比較的粒子径が大きい礫や砂が、扇状に積もってできる地形ですね。」
メグ「三角州は河口付近で見られる地形だねー。川が海へ出るときに流速が遅くなって、そこに砂や泥が堆積してできる地形なんだよねー。」
リゼ「3人とも正解だ!」
チノ(フンス)
千夜(あら……?チノちゃんが結構わかりやすく喜んでる)
リゼ「さて、ここら辺から少しだけ難しくなるぞ!まずはこの図を見てくれ。」
図:ユールストロームダイアグラム
出典: Wikimedia Commons 「Hjulströms diagram en.PNG」Author: Karrockを当団体で改変
(https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Hjulstr%C3%B6ms_diagram_en.PNG)
ライセンス: Creative Commons 表示-継承 3.0 非移植
リゼ「この二本の曲線で区切られた3つの領域のうち、1番上では水中の粒子は動いているんだ。逆に1番下ではずっと止まったまま。真ん中はだな……えっと……」
ココア「止まってるならそのまま、動いてるなら動く、だよね!」
リゼ「そうそう、うまい具合に表現する方法がわからなくてな、ありがとう。」
メグ「この曲線ってどんな意味なの~?」
シャロ「上の曲線は移動開始速度、下の曲線は移動停止速度をあらわすのよ。例えば移動開始速度の曲線が最も小さい値を取っているのは砂のところだから、一番砂が動き始めやすいの。」
リゼ「まさにその通りだな!下の曲線の沈殿とは違って、ちょっと直観とはずれてるから注意をしておくように!お勧めの方法は図を形で覚えて、その場でさっと読み取ることだ!」
リゼ「それじゃあ一通りの前提知識は説明したし、そろそろ今日の本題、堆積岩について話していくか!まず、堆積岩とはなにかについてだな。」
マヤ「今日の最初にメグも言っていたけど、いろいろなものが積もって固まってできた岩なんだよな!」
シャロ「もう少し詳しく言うと、砕屑物や火山砕屑物、生物の死がいが堆積したもののことを堆積物っていうのよね。」
リゼ「二人ともその通りだ!えらいぞ~」
マヤ「えへへ~」
シャロ「ヒュッ」
メグ「でも砕屑物って水含んでいたりするけど、サラサラだよね~、どうやって固まるの~?」
チノ「泥だんごみたいな感じじゃないでしょうか。」
ココア「へ~、チノちゃんも泥だんごをつくってるような時期があったんだね~」(ニヤニヤ)
ティッピー「そうそうその頃のチノh……」
チノ「ココアさんもティッピーもうるさいです。」
千夜(チノちゃん腹話術で自爆しているわ……)
リゼ「実は今のチノの話はあながち間違いではないんだ。水を多く含む堆積物は、その上の堆積物の重みによって脱水されて緻密になっていく。これがまさに泥だんごと同じだな!これを圧密作用なんて言う。次にこうやって緻密になった後、炭酸カルシウム(CaCO₃)や二酸化ケイ素(SiO₂)などの鉱物が粒子の間にでてきて、粒子と粒子を強く結びつける。つまり、接着剤の役割をするわけだ。これは膠結(こうけつ)作用やセメント化作用と呼ばれる。この一連の堆積物が堆積岩になる流れのことを続成作用と言うんだぞ!」
ココア「泥だんごをつくってたら勝手に接着剤が出てきて固くなったって感じだね!」
リゼ「勝手に接着剤が出てきたというよりは、泥だんごの砂や泥団子に含まれる水に接着剤の成分が溶けていたと考えるほうが自然だな!自然界でも、堆積物の粒子の中の鉱物や粒子の間の間隙水からこれらの成分が出てくるんだ!」
チノ(泥だんごの話で顔を真っ赤にしているが誰にも気づかれない)
リゼ「さて、堆積岩のでき方の次は堆積岩の分類について話していくぞ!」
千夜「こうね!」(サラサラ~……バァン!)
チマメ「!?」
リゼ&シャロ「すごい……この表完璧だ(わ)……」
リゼ「それじゃあ、これを参考に説明していくぞ!表のとおり、まず堆積岩を大きく分けると『砕屑岩』『化学岩』『生物岩』『火山砕屑岩』の四つに分かれるんだ。」
ココア「砕屑岩は簡単だね!礫が堆積したら礫岩、砂が堆積したら砂岩、泥岩が堆積したら泥岩!」
千夜「生物岩は生物の死がいに含まれる炭酸カルシウムや二酸化ケイ素、炭素などによってできた堆積岩ね。フズリナ・サンゴ・有孔虫・貝殻は炭酸カルシウムの石灰岩、放散虫や珪藻は二酸化ケイ素のチャート、植物は炭素の石炭といった感じかしら。」
シャロ「火山砕屑岩は火砕岩ともいうわね。火山灰が堆積したものが凝灰岩、そこに火山礫や火山岩塊が混じったものが凝灰角礫岩と呼ばれているのよ。」
リゼ「火山砕屑物の大きさによる分類は大丈夫か~?ダメな人は復習しておくように!→第7羽」
マヤ「化学岩ってなんなんだー?」
コ千シ「……」
リゼ「これの成因はほかの三つと異なるからなー、説明が必要だな。化学岩というのは、水が蒸発したり海水中の成分が沈殿したりしてできる堆積岩のことだ!石灰岩は炭酸カルシウム、チャートは二酸化ケイ素、岩塩は塩化ナトリウム(NaCl)、石膏は硫酸カルシウム(CaSO₄)といった感じだな。」
メグ「種類が多くて頭がこんがらがりそう~」
チノ「こればかりは覚えるしかないですね……千夜さんみたいにそらで書けるようにならないと……」
マヤ「がんばるぞー!」
リゼ「さて、今日の授業はこんなところかな!お前ら!しっかりと復習しておくように!」
一同「サー、イエッサー!」
~授業後~
ココア「チノちゃん!今日は徹夜で勉強するよ!」
チノ「ココアさんここ最近いつも珈琲の飲みすぎで寝れていないじゃないですか……」
ココア「これで珈琲を沢山飲めばバリスタになる将来も夢じゃないね!」
リゼ「ココアがバリスタに!ラビットハウスで働くのか!?」
千夜「ココアちゃんが喫茶店で働き続けるなんて、将来の夢まで私と勝負するのね……!!」
シャロ「千夜は何に燃えているのよ!」
チノ「あの〜……」
ココア「な〜に?」
チノ「ココアさん、この前コロンビアをブルーマウンテンって言ってましたよね……」
ココア「……」
チノ「ブルーマウンテンをキリマンジャロと言ってましたね」
ココア「うぐっ……」
チノ「うちのオリジナルブレンドをインスタントと言ってましたね」
ココア「うぐぐっ……」