No.6 固体地球<震源推定>(★★★☆☆)
問1
観測点から震源までの距離をD(km)、初期微動継続時間をT(s)、P波の速度をVp(km/s)、S波の速度をVs(km/s)とおくとき、これらの要素の関係式として実際に成り立つものを次のア~オのうちから1つ選びなさい。
問2
以下の表に、とある地震の、3つの観測点A, B, CでのP波, S波到達時刻を示す。これらの値から、観測点A, B, Cと震源の距離(震源距離)Da, Db, Dcを求めよ。
ただし、以下の問題ではP波速度Vpを5.0(km/s)、S波速度Vsを3.0(km/s)とする。
問3
問2の地震で、震央の推定を行ったところ、C点から震央までの距離(震央距離)Xcが60kmであることが分かった。A, Bの震央距離Xa, Xbを求めよ。
ただし、√7=2.65を用いてよい。
問1
解答: エ
解説: 正解はエ。この式を変形すると
となり、初期微動継続時間から震源距離を求められる式、大森公式が導出されます。
今回は一般的に公式として覚えられている式の形とは異なる形で、正確な知識を問う問題を出題しました。
Step Up!
大森公式をP波の到達時刻、S波の到達時刻などを用いて導出・説明せよ。(解答例はページ最下部に掲載)
問2
解答: Da=4.5×10km, Db=6.0×10km, Dc=7.5×10km
解説: 大森公式より D=kT
kは問1より
よって
なお、それぞれ45km, 60km, 75kmで問題ありません。ただ、高校地学では10の1乗であっても指数表記を行う場合があるため、今回はそれに合わせて解答を作成しました。
問3
解答: Xa=0km, Xb=4.0×10km
解説: 三平方の定理(斜辺)²=(底辺)²+(高さ)²を用いて回答を導くことができます。まずは図を使って解き方を整理していきましょう。
なお、以下では震源の深さをdとします。
当たり前といえば当たり前ですが、震源距離・震央距離・震源の深さ・震源・震央はこの図のような関係になっています。
つまり、これらの関係は三平方の定理より D²=X²+d²と表すことができます。
この問いではXcが与えられ、また問2でDcを求めてあるので、これを図に当てはめると、この図のようになります。
これをD²=X²+d²に当てはめて考えると、
Dc²=Xc²+d²
よって75²=60²+d²となります。
これをd²の式にすると
これを変形して
今求めたdと、問2で求めたDaを図に当てはめると、この図のようになります。
ただ、もうお分かりの通り、この次の計算はDa²=Xa²+d²
つまりXa²=Da²-d²=45²-45²=0(km)
よってXa=0kmです
なんと観測点Aは震央にある観測点でした。
図に表すとd=45kmの1本の線になります。省略します。
観測点Bについても同様にして解いていきます。
Db²=Xb²+d²
つまりXb²=Db²-d²=60²-45²=3600-2025=1575
よってXb=15√7
今回は√7の近似値が与えられているので、これを利用します。
Xb=15√7≒15×2.65=39.75≒4.0×10(km)
※有効数字に注意が必要です。
(掛け算の答えの有効数字は、計算で出てきた数字(測定値)の中で有効数字の桁が最も小さいものに合わせるので、今回は2桁となります。)
Step Up! 解答例
大森公式は初期微動継続時間(=P波とS波の伝わる時間の差)から震源距離を求められる公式です。
まず、初期微動継続時間TをP波・S波の到達時間から表します。TはT=(S波到達時刻)-(P波到達時刻)と表せます。S波., P波の到達時刻をそれぞれts, tpとすると
よって
これをD=の式に変形すると
このように大森公式を求めることができます。