~放課後 帰路にて~
ココア「あれ、チノちゃんじゃん!おかえりなさ~い!」
チノ「ココアさん、ただいまです。ココアさんもお帰りなさいです。」
ココア「ありがと~!」
チノ「今日は千夜さんと一緒ではないんですね。」
ココア「うん、千夜ちゃんは一度甘兎に帰るみたい~。チノちゃんもマヤちゃんメグちゃんと一緒じゃないの?」
チノ「お二人もいったんお家に帰ってから来るそうです。ところで今日も地震についての話ですよね?」
ココア「そうだよ~、今日でおしまいにしたいね…」
チノ「ここ最近ずっと続いていますもんね。ココアさん、回を重ねるごとに授業が上手になって、先生らしさが少し出てきました。」
ココア「立派なお姉ちゃんになれているかな~」
チノ「それは上手な先生というのとはまた別の話の気が…」
~RabbitHouseにて~
リゼのココアの地学基礎講座 -固体地球⑤-
ココア「さあ、今日も授業を始めますよ!」
一同「はーい!」
シャロ「前回については、前回の議事録: 第5羽 参照と言うのかしら」
ココア「あっ、ばれた?今回は本当に時間がないから……(汗)」
ココア「前回はP波とS波の違いについて説明しましたが、一つだけ言い忘れていたことがありました。それぞれの波の伝わる速度の違いです。」
チノ「シャドーゾーンの説明の図で何気なくその差が書かれていましたけどね」
ココア「ウグッ」
ココア「ま、まあ気を取り直して、その図にもあるように、伝わる速度はP波のほうが速くS波のほうが遅いです。ではここで問題です。なぜこのような差が生まれるのでしょうか?はい、マヤちゃん!」
マヤ「こんなの楽勝だよ~。P波はPrimary wave、S波はSecondary waveだからだろ?」
ココア「おーっとマヤちゃん、その答えはずるいよ~、名称は現象に対してつけられるものだから。もっと別の視点で考えてみよう!」
チマメ「……」
千夜「チマメちゃんの思考がログアウトしたわ~」
シャロ「なによ、その言い方!正解はP波が波の振動方向と進行方向が同じなのに対して、S波が垂直だから、S波のほうがロスがあるということよね。いやなんて言えばわかりやすいかわからないけどーーーー!!!」
ココア「シャロちゃん正解!、あと落ち着いて!!」
マヤ「なんとなく」
メグ「わかったかも」
チノ「しれません」
ココア「ならオッケー!とりあえず詳しいことはいいから、速度と合わせて暗記してしまえばノープロブレム、だよっ!」
ココア「で、その速度というのが、地上付近でP波は約5~7km/s、S波が約3~4km/sとされています!覚えておいてね!」
一同「はーい」
リゼ「ところで、地震波は地震計でこのように記録されるんだ。これを見て何か気づくことはあるか?」
チノ「これは中学の理科でも勉強しましたね。最初に弱い波が来た後、強い波が来ています。」
ココア「そう!ということはこの弱い波到達から強い波到達までの時間の名前もみんな言えるね!」
チマメ「初期微動継続時間!」
チノ「です。」
ココア「はい!中学理科でもやっているということなので、図にまとめておしまいにします!」
リゼ(ココア、今日で終われるかどうかで結構焦っているな……)
ココア「次に震度について勉強します」
千夜「ニュースとかで聞いたことがあるわね」
ココア「震度は地震の揺れの大きさを表すために使われる指標です。日本の気象庁では気象庁震度階級というものを採用していて、震度0~7の10階級があります」
メグ「まってまって、0から7だと8階級じゃないの?」
ココア「メグちゃんniceなquestionだね!それを今説明しようとしていたんだよ~。気象庁震度階級は震度5と6それぞれに弱と強があるから、実際には0,1,2,3,4,5弱,5強,6弱,6強,7となって、10階級あるんだよ!間違いやすいから覚えておいてね!」
チノ(niceなquestion……ココアさんいつもよりテンションが高m……いや、いつもどおりですね。)
マヤ「でもなんで5, 6には強弱があるんだ?0から10で振り直すのはダメなのか?」
ココア「だめだよ〜」
メグ「なんでですか?」
ココア「だめだからだよ〜」
リゼ「おいココア、ちゃんと説明しろ!まさか、分からないとでも言うのか?」
ココア「えへへ〜」
シャロ「もうココアったら〜。強弱のある震度は元々あった、"計測震度を区切った8段階の震度階級"の一部を細分化しただけなのよ。新しく区切り直したわけではないの。この表を見て!」
マヤ「ほんとだ、強弱のある震度は計測震度だと0.5刻みなんだな!」
リゼ「ちなみに、なんで細分化しなければいけなかったかというと、元の区分での5, 6では見かけ上同じ震度であっても、計測震度の大小により被害の程度に大きな差があったからなんだ。この変更が加えられたのは1995年阪神淡路大震災の後、1996年10月のことなんだ!」
ココア「へー、つまり例えば計測震度4.6の地点と5.4の地点の被害には大きく差があったってことなんだね」
千夜「あの激しく揺れる大地の様子は強く頭裏に焼き付いて、決して忘れることはできないわ……」
ココア「千夜ちゃん経験したの?」
メグ「千夜さん何歳だっけ…?」
千夜「いいえ、私はきちんと高校生よ♪最近テレビで地震とか防災の番組を見たから忘れられなくなってて…」
チノ(今、高校生としか言わなかったですよね……)
リゼ「千夜、それは大事なことだぞ。災害はいつどこで起こるかわからない。だからこそ過去の事例を見て吸収しておくことは大事なんだ。幸い、今はインターネットも普及している。だからこそ積極的にそれを使って勉強してみてほしいんだ。」
一同「サー、イエッサー」
ココア「さーて、お次はマグニチュード!」
チノ「地震が起きたときにテレビで"地震の規模を示すマグニチュードは"とか言っていますよね」
ココア「そうそれ!まさにその一言で表されている通り、マグニチュードは地震の規模、言い換えるとエネルギーの大きさを表現するんだよ!」
千夜「中学校と高校で勉強したわ!マグニチュードは1増えるとエネルギーは32倍だから、2増えると〜1024b(ry」
ココア「待って千夜ちゃん、それは正しくないよ!」
千夜「ええええ!!!この前Twi○terで#マグニチュードは1増えると32倍なので2増えると当然1024倍 というタグを見たわよ?!」
リゼ(うそはうそであると見抜ける人でないと(SNSを使うのは)難しい……)
リゼ「それはTwi○terでのジョークタグなんだ。正しくはマグニチュードは1増えると約32倍、2増えると1000倍なんだ。」
ココア「"2増えると"のほうは約がついてないでしょ?、というのも2増えたときエネルギーが1000倍というのは正確な値なんだけど、1増えるときについてはこれの対数を取ってるから正確に32倍というわけではないんだよ!(つまり10√10≒32だよっ)」
千夜「ややこしいわね…」
リゼ「これについては基礎なし地学の講座で教えるつもりだから、とりあえずはこういうことなんだと覚えておいてな!」
マヤ「なあココア〜、マグニチュードってどうやって決めるんだ?」
ココア「これもいい質問だね!ただ、これも今回の範囲は少し外れているので、また今度扱わせてね、ごめん!」
マヤ「は〜い」
ココア「さて、まだ気は抜けませんが、なんとか今回で地震分野が終わりそうです。」
リゼ「おおっっ」
ココア「ということで次は最後の項目、震源の決定方法です。みんなで震源の決定の計算、やってみよう!」
一同(パチパチ)
チノ「し、震源の決定!!私達にもそんなことできるのですか…!」
ココア「私たちの知り合いに美景ちゃんって子がいるんだけど、妹の千景ちゃんと2人で地震の震源推定してみたら結構な精度で当たった、って喜んでたことあるよ!」
マヤ「それはその2人がすごいってことじゃないのか?」
シャロ「まあまあまあ、とりあえず一回やってみましょ!」
ココア「さっき、P波とS波の速度の差の話をしたよね!それが利用できそうじゃないかな?」
チマメ「うーん……」
マヤ「わかった!時間経過とともに一定量ずつP波とS波の到達距離の差が伸びてることを利用するのか!」
チノ「P波とS波の速度差の分ずつ、それぞれの到達距離がだんだん開いていくということですね。」
メグ「ある地点での初期微動継続時間を調べて、そこから何かしらの計算をして初期微動継続時間が0になる距離を求めれば良いのかも!」
ココア「そう、正解!みんな理解が早くて助かるよ〜!じゃあこの先の計算式の立て方を高校生でやってみよう!」
シャロ「分かったわ。まずはある地点でのP波とS波の到達時間(TpとTs)を求めるの。震源からその地点までの距離をD、P波の速度をVpとすると次のような式になるわ」
ココア「距離を速度で割ると時間がでるよね。S波についても同じことができるよ!だからこうなるよ!」
リゼ「この二つの式を合わせて初期微動継続時間Tを表す式をつくるとこうなるんだ!」
(Vs<Vpより、Ts>Tp)
リゼ「そしてこれを変形して、D=の式にする。」
チマメ「おー(パチパチ)」
ココア「ということで、これを使うと震源距離が求められそうなのわかったかな?」
チマメ「わかりました」
ココア「おっけー!」
千夜「ちなみにこの式のTの係数となる部分は、比例定数kとして次のように表現されることもあるのよ♪」
千夜「比例定数は大体6-8km/hだから、合わせて覚えておくといいわ♪」
ココア「ナイスフォロー、だよ!千夜ちゃん!」
マヤ「なあココアー、これでとある地点からの震源距離は求められるようになったが、ここからどうやって震源も求めるんだー?」
ココア「おーっと、忘れてなんかいないよ!(忘れてた)」
ココア「さっきの式をA, B, C地点それぞれで使ってみます。今回は途中を省略します(後日練習問題用意するので解いてみてね!)。ここでは震源距離を求めたあと、各地点を中心に震源距離を半径とする円を描きました。」
ココア「この図で震央はもう推定できるよ!ちなみに、震源と震央の違いはわかるかな?」
マヤ「震源は地震のときに岩石の破壊が始まった地点、震央はその真上の地点だよな!」
ココア「そのとおり!」
リゼ「震央はここだな」
ココア「そうだね!次に震源を求めてみよう!」
メグ「震央がその地点ということは震源はそこか、もしくはその地下ってことだねー」
チノ「メグさん、そうではありません。震央と同じ位置が震源ならばこのような図になるはずですよ」
メグ「あ、そっかー。震源が地上なら震源距離=震央距離になるね。」
ココア「チノちゃんナイスアシストだよ〜」
マヤ「つまり震央の地下に震源があることが確定したんだな!」
リゼ「そうだ!、ここからどうするかはわかるか?」
マヤ「今回は地震波はどの方向に対しても同心円状に伝わるって想定なんだよな?」
ココア「そうだね〜」
メグ「つまりそれは地震波が球状に広がるってことだね〜」
チノ「ということはその3つの球が重なった点が震源ですね」
ココア「そういうこと!ちょっとイメージ図を用意したから見てみよう!」
マヤ「各半球の円の中心部が観測点ということだな」
ココア「そうだよ~」
メグ「それで半球の球面の部分が、観測点から震源距離分だけ離れているところを表すんだね~」
チノ「その震源距離が重なったところが震源といえるということですね。」
シャロ「ちなみにこの図はどうやって作ったのかしら?」
ココア「3D Builderで作ったよ~」
リゼ「実際に自分で図を作ってみると、より実感しやすそうだな」
ココア「多分頭の中で想像してみたほうが早いよ~(実際に作ってみたら、見やすい図にするために意外と苦労した顔)」
リゼ「そ、その顔はなにかありそうだな……」
ココア「なんでもないよ~。ということで、話がそれてしまったので戻すけど、震源距離と震央距離がわかったら、あとは簡単な計算で震源の深さを求められます。ここで震源の深さを求める例題を一つ解いてみようか!」
Example
地震が発生したので、大森公式および3か所の地震観測点の記録を用いて震央・震源を求めた。その結果、A地点からの震央距離が60km, 震源距離が100kmであるということが分かった。この地震の震源の深さを求めなさい。
Answer
メグ「震央距離と震源が出ているから、深さをxkmとおくと、A地点・震央・震源の関係を次の図のように表せるね」
マヤ「これは震央と震源は垂直の位置にあるので、この三角形は直角三角形と言えるな!」
チノ「ということは次のような式が成り立ちますね」
ココア「三平方の定理だね!」
チノ「できました!答えは80kmですね。」
ココア「正解!」
ココア「ということで地震の分野は一通り終わったかな〜」
リゼ「そうだな」
ココア「リゼちゃん、明日からはなにを勉強するの?」
リゼ「そうだな〜、次は火山の分野だ」
シャロ「火山…!温泉〜♪!」
リゼ「シャロは温泉好きだな〜、じゃあ明日はいっそ温泉にでも行くか〜?」
一同「やったー!」
ティッピー「ナヌッ(ビクッ)」
リゼ「じゃあ決まりだな!」
ココア「では今日の授業はおしまいです!気をつけて、礼!」
一同「ありがとうございました!」