プロローグ2

ガンプラダイバーズのフィールド内。

夕焼け空を2機のモビルスーツが飛んでいた。

一方はストライクフリーダムガンダムをベースに黒と赤で塗装され、両手にレーザー対艦刀を装備した機体。

しかし、ストライクフリーダムガンダムの特徴である翼が片側だけとなっている。

機体名は"ロストフリーダム"

もう1機は、ガンダムエクシアダークマターをベースに、赤色の部分を紫色に塗装。

背面のダークマターブースターの翼をストライクフリーダムガンダムの翼に変更した"ガンダムイブリース"という機体。

2機は相手を倒そうと手にした剣を振るう。

ガンダムイブリースは右手に装備したビームライフル/ビームサーベル兼用のユニットからビーム刃を展開し切りかかるが、ロストフリーダムはそれを容易く交わし流れる様な動きでガンダムイブリースにレーザー対艦刀を振り下ろす。

振り下ろされたレーザー対艦刀をビームサーベルで受け止めたガンダムイブリースは、空いていた左手で左足のつけ根に備えてあった実体剣を逆手に引き抜き、ロストフリーダムを両断しようと真一文字に振るう。

しかしロストフリーダムはそれをバク宙するかのような動きでひらりと交わすと距離をとる。

ロストフリーダムとガンダムイブリースが睨み合う。

どちらも大きな損傷は無いが、ガンダムイブリースの各部にはロストフリーダムによって数多の傷が付けられていた。

しかしロストフリーダムはほぼ無傷。

どうやらガンダムイブリースの方が劣勢のようだった。

「あなたは私に勝てない」

ガンダムイブリースにロストフリーダムのパイロットから通信が入る。

ガンダムイブリースのコクピットに座った少女は目の前で滞空するロストフリーダムから目を離さないようにしつつ、開いた通信ウィンドウに少しだけ視線を向ける。

通信ウィンドウに映るのはガンダムイブリースを操る少女と瓜二つの少女の顔。

ただ一つ、瞳の色だけは違っていた。

ガンダムイブリースを操るのは紫色の瞳を持った少女。

その少女は、ロストフリーダムを操る少女に

「悪いけど、私はあなた達のやろうとしてる事に賛同出来ない。

あんな非道な行為に手を貸せない。」

と言うとレバーを操作する。

睨み合っていた2機だが、ガンダムイブリースが左手に持った実体剣を持ち直すと一気にロストフリーダムに接近。

そのまま斬りかかる。

ロストフリーダムはガンダムイブリースが振り下ろした剣を手にしたレーザー対艦刀で受け止め、弾き返し再び距離を取った。

ロストフリーダムを操る少女は、ガンダムイブリースを操る紫色の瞳の少女へ告げる。

「それが離反の理由・・・。

協力しないなら、この場で死になさい「あのお方」のために。」

その声は感情の起伏が感じられない程、冷たい声だった。

少女が喋り終わると同時にロストフリーダムの全身が黒く発光し始めていた。

「ロストラグナロク!!」

それを見た紫色の瞳の少女は、慌てて機体を操作しガンダムイブリースに回避行動を取らせる。

が遅かった。

ガンダムイブリースのコクピットが激しく揺れる。

紫色の瞳の少女が反応した時には、黒く発光し、ヴォワチュール・リュミエールの残光を残したロストフリーダムがガンダムイブリースの脇を通り抜けた後だった。

紫色の瞳の少女はモニターに表示される被害状況を確認する。

ガンダムイブリースの左手足はつけ根から切断されていた。

反応が更に遅れていたら今頃真っ二つになっていたかも知れない・・・。

「くっ・・・」

紫色の瞳の少女は唇を噛むとレバーを操作しガンダムイブリースを反転させると、ロストフリーダムから逃げようとする。

「逃がさない」

とロストフリーダムを操る少女は追撃を行う。

ロストフリーダムがガンダムイブリースに迫り、背中をレーザー対艦刀で斬ろうとした時、ガンダムイブリースのコクピット内で少女が呟いた。

「トランザム・・・」

瞬時にガンダムイブリースが赤く染まり背中に迫っていたレーザー対艦刀を素早く避けるとロストフリーダムに蹴りを繰りだす。

ガンダムイブリースの放った蹴りはロストフリーダムに直撃、ロストフリーダムは弾き飛ばされ、ガンダムイブリースとの距離が大きく開く。

その隙にトランザム状態のガンダムイブリースは逃亡する。

ロストフリーダムも追いつけないと思ったのか追撃を諦めた様だった。


ロストフリーダムから逃げ切り、トランザム状態が解除されたガンダムイブリースのコクピット内で、少女は1人呟く。

「やっぱり身体があると反応が鈍いな・・・とりあえず腕と足を治さなきゃ」

損害をもう1度確認した少女は新たに一つのウィンドウを開く。

そこには何人かの少年、少女の顔が映し出されていた。

「エス・ブラックベイ、ハジメ・アルファインス、エイラ・シャドウ、アイカ・ライト・・・この4人が能力発動候補のトップか・・・この内の誰か・・・」

少女は映し出されるた顔に向けて小さく呟いた。

「助けて・・・」と。


夕焼け空の中、1機滞空していたロストフリーダムのコクピット内、少女はガンダムイブリースの飛び立った方向を眺めていた。

「離反確認、追撃は失敗。

ナンバー設定前の離反のため彼女をNo.NO。「ノーナンバー」と命名する。」

少女はロストフリーダムを操りどこかへ飛び去っていった。