環境モデリング
環境シミュレーションしてみよう!
ー解析を設計に活かすフローを体験してみようー
環境シミュレーションしてみよう!
ー解析を設計に活かすフローを体験してみようー
コンピュータが発達して「なんでもシミュレーション」できると思ったりしていませんか?このテーマでは設計にシミュレーションをどう生かすことができるのかを考えてみましょう。
環境分野におけるシミュレーションとは建物と周辺状況のデータをコンピュータに入力し、温度や光・風の動きを解析・設計にフィードバックすることでより良い空間をつくることが目的で行われることが多いと言えます。またコンピュータはこの30年で爆発的に性能が上がり、一般家庭にも普及したため、いまや誰でも数値解析を行うことができる時代になりました。
また熱や風のうごきを解析するほかにも下のような目的でシミュレーションを使うことがあります。
建物全体でどのくらいエネルギーが必要か?⇒ 環境構築に必要なエネルギーや設備を計算する
設計した建物と従来の建物をPC上で比較する ⇒ どのくらい省エネ可能か試算する
しかしコンピュータを用いた検討であるシミュレーションは、手軽に予測・検討できるツールだからこそ、何を明らかにしたいのかを事前にはっきりさせておく必要があります。なんとなく見栄えがするからといった理由で安易にシミュレーションを用いると、逆に設計の信頼性を揺らがす可能性もあります。
シミュレーションで算出される答えは絶対的なものではないし、コンピュータも万能ではありません。計算するときに無理のない範囲で現実世界をモデル化するため、結果の妥当性はある範囲内でしか保障されないのです。だからその結果が正しいか最後に判断するのは人間です。そういった意味では昔よりも今の設計者の方が高度な知識を要求されているとも言えるでしょう。
また正確な解析結果を求めれば求めるほど、精度の高い入力データが必要となります。東京における換気量を解析したいときにはまず、東京の風向データがなければ計算もできないということです。つまり計算方法の精度が高ければ良い結果が常に得られるとは限らないのです。
シミュレーションで必要となる主なデータ 気候データ・地形データ・建物モデル・物性値・在室者の動き …etc
CFDは略さずに言うとComputational Fluid Dynamicsの略で、「数値流体解析」というシミュレーション方法です。この実験テーマで扱うアドバンスドナレッジ社のFlow DesignerもCFD解析のためのソフトウェアになります。CFD解析は室内の空気の流れや熱の拡散に関する基礎方程式を解くことで詳細な気流や温度、濃度を計算することができます。
CFD解析のためには必ず入力したモデルを計算出来るようにするために、空間を小さく分割するメッシュ化の作業が必要になります。もちろんこのメッシュを細かくすれば細かくするほど詳しい結果が得られることになりますが、それだけ解かなければいけない方程式も増えるので要求されるマシンスペックや必要時間も長くなってしまいます。
現実の世界はどこまでも無限に広がっていますが、私たちが解析モデルとしてコンピュータに入力できる世界は限りがあります。するとコンピュータのモデルでは入力モデルの「端っこ」は一体どうなっているのでしょうか?
この「端っこ」に相当する条件を入力する条件を境界条件といい、シミュレーションスタート時の条件を初期条件と呼びます。初期条件は非定常解析の時にはとても重要な役割をもっています。
レポートでは次のような点に着目するとよいと思います。
シミュレーションを行う前に想定していた結果と比較してどうだったか?
どんな設定条件が今回のシミュレーション結果に影響を及ぼしたと思うか?
今回の結果は設計にどのようにフィードバックできるか?