「結果」の書き方

 「3.結果」では、測定した結果を説明します。理解してもらいやすくするためにグラフや表なども使いますが、文章での説明が主となります。「3.結果」では以下がポイントとなります。

文章で説明する

 文章による説明が無く、図や表が載っているだけのレポートは、「図・表を載せたから十分でしょ。あとは勝手に解釈してちょうだい。」と読み手に言っているようなものです。

 図や表のどの部分を見ればよいのか、どの部分にどんな意味があると解釈しているのかなど、結果から言えることを読み手に文章で丁寧に伝えてください。「言わなくても分かるでしょ」ではなく、「言わなきゃ何も伝わらない」です。

単位を書く

 例えばグラフの縦軸に0~100の数値のみが書かれていて単位が書かれていないレポートがあったとします。そのレポートの読み手は、その値が「℃」なのか「mm」なのかを解釈するために、文章の中からヒントを発掘しなければなりません。レポートの役割は意思決定の材料となることであり、皆さんの役割は意思決定の材料となり得るレポートを書くことです。

図・表を描く

 基本的に、数値はグラフでまとめます

 「結果」に出てくる数字で、グラフで表さず表を用いるいのは、統計関連の数値くらいです。

事実だけを述べる

 測定結果の社会的な価値の説明は、「4.考察」に任せます。「3.結果」では、結果のみ、数値のみ、差のみ、つまり事実のみを述べます。

統計的に分析する 

 測定結果で実験条件間に差があった場合に、その差が本当の差なのか、差があるように見えているだけの見せかけの差なのかを分析してください。

 数学として習う確率・統計はややこしかったかもしれません。ここでは、統計は道具と考え、複雑でややこしい計算をエクセルやRに任せて、皆さんは統計分析の結果も使って実験結果を説明することに専念するのがまずは取り組みやすいように思います。

 メンバー全員の評価結果を平均して、実験条件ごとの評価を比較してみたところ、実験条件間で差があったとします。その結果をもって一方の条件の方が他方の条件より優れていると判断しても良いでしょうか?

 実は、平均値の差を比較するだけでは優劣を判断しきれないのです。優劣は、以下の2つの着目点で検討します。

 一つ目は統計的に意味のある差なのか、という視点です。例えば、人数がそれぞれ25人の小学1年生の二クラスで、国語のテストを行った結果、平均点に0.1点の差があったとします。その差が統計的にみても意味のある差なのか、それともバラつきにより偶然差があるように見えているだけなのかは、統計分析を行うことで判断できます。統計分析のためのツールがExcelアドインの「分析ツール」や無料でオープンソースの統計解析ソフトRです。

 二つ目は価値のある差なのか、という視点です。例えば、窓の開け方による室内の風速の違いから、夏の室温低下に効率的な窓の開け方を検討することを目的とした実験の場合、二つの条件間の室温がそれぞれ34.5℃と34.6℃であったとします。人の快適性を高めようと考えた場合、その程度の差では人の快適性に影響を及ぼさなさそうなのでその差の価値は小さいと考えることができます。また、エネルギー消費量を少しでも削減しようと考えた場合は、室温の低下はエアコンによる消費エネルギー量に直結するので、削減量は小さいでしょうがその差には価値があると考えることができます。

統計分析の参考になるサイト