プロダクティビティ
周囲の環境で作業効率が変化する?
ープロダクティビティ向上を目指してー
周囲の環境で作業効率が変化する?
ープロダクティビティ向上を目指してー
プロダクティビティ(productivity)とは生産性という意味です。簡単に言うと仕事をバリバリこなすための快適な環境をどうしたら構築できるかを考える実験です。
この実験テーマは今までの実験とは少し違い、人の感じ方を直接調べます。普段の生活のなかで「周囲の音がうるさくて集中できない」、「ジメジメした感じがしてこの部屋で作業したくない」といった経験はありませんか?そういった周囲環境の人の感じ方を実験によって調べます。
建築環境分野における環境要素は一方を良くすると、他方が悪くなるという関係にあることが多いといえます。例えば断熱を重視しすぎると、冬は暖かいかもしれないが夏は風が通らないといったような関係ですね。しかしだからこそ、建築の周囲条件をよく見てバランスの良い環境を設計することが要求されます。実験では快適性だけではなく、なぜそういう環境が構築されているのかにも注目しましょう。
プロダクティビティへ影響しそうな条件例 ブラインドの開閉・空調の有無・空間の大きさと反響・建物の構造 …etc
この実験では温度計・風速計・照度計を利用する事が出来ます。特に風速計は微弱な気流も測定することが出来る熱線式の風速計を利用しましょう。また温度計は直射光が当たらない所で利用し、放射の影響による誤差がないように測りましょう。
測定機器で測ることの出来るものを右にまとめたので、どんな環境を測定できるかを参考にしながら計測データの客観的値とヒトの感覚値のギャップを正しく考察できる実験計画を立てましょう。
ある教室の中にいる人、つまり同じ空間にいる集団全員を満足させる温熱環境はないことがわかっています(参考『新版 快適な温熱環境のメカニズム』―空気調和・衛生工学会 丸善)。
これはある環境に対して寒い不快と涼しい快適、もしくは暑い不快と暖かい快適を感じる微妙な境界は個人差があるということを示しています。
設計者なら誰しもが一度は「心地よい風が吹き抜ける」といった表現をしたことがあるのではないでしょうか?でも実際には1年の中で本当に心地よい風が吹き抜けるのは中間期(夏と冬以外の季節のこと)の数日間だけです。
日本は特に湿度が高い気候にあり、単純に空気温度の高低だけで快適性を決めることはできません。同じ24℃でも相対湿度80%はやはりジメっとして気持ち悪い感じがするでしょう。つまり快適かどうかの評価は温度や湿度の複数の指標を同時に評価しなければいけません。これを簡単に示すことができるのが空気線図です。
しかしこれだけの客観的アプローチを試みても実際はこのとおりにはいきません。すでに、良好と思われる温熱環境だとしても、「与えられた」環境だと不満な人が現れることがわかっています。またその逆で過酷な環境でも自分から選んだ場合には不満な人は少なくなります。これは人の自己効力感(自分で選んだんだという気持ち)の差だと考えられています。
レポートでは次のような点に着目するとよいと思います。
アンケートによる被験者の快適感とPMVやOTなどを用いた客観的指標による快適感のずれ
あまり快適ではない結果が出た場合には、改善するための方法はなにか?
自分が普段作業するときにどのような空間であれば、やる気やモチベーションにつながるか?