採光
室は明るいほど過ごしやすいのか?
ー自然光と照明ではどのくらい照度が違う?ー
室は明るいほど過ごしやすいのか?
ー自然光と照明ではどのくらい照度が違う?ー
LEDなど高性能な照明があっても、やはり私たちは太陽の光を心地よいと感じます。そんな太陽光と人工照明による明るさはどのくらい違うのか照度を元に比較してみましょう。
採光とは、室内の光環境を調整するため、外部から自然光を採り入れることです。太陽の光はその時間によって明るさの変動は大きいものの、ひとにとって心理的な解放感やバイオリズムにも大きな影響を与えている点から私たちの生活には必要不可欠であり、自然光を活かしながら人工照明でサポートするような照明設計が必要です。
窓を開け放ったまま照度計で室内の明るさを測ってしまっては、その明るさが自然光によるものなのか人工照明によるものなのかわからなくなってしまいます。実験方法を工夫しましょう。
また光環境は単に照度だけでは評価できません。十分に明るくてもまぶしくては意味がないためです。照度が高い空間で実験をする場合には、まぶしさについても班内でアンケートしてみても面白いです。
光環境へ影響しそうな条件例 実験時刻・ブラインドの開閉状態・室内の素材や色・室内の家具配置 …etc
学習スペースの光環境は、作業効率に大きく影響しているが、明るすぎても暗すぎても学習しづらく、講義にも集中できない。室内の明るさ、手元の明るさは天候や人、建物の影響等いろいろなものが影響する。
講義で使用する823を対象として、環境を測り、把握する。
廊下の明るさは適切なのか?蛍光灯が間引かれている場所もあるぞ!
実測を行い、JIS規格と照らし合わせてみよう!
開口部の位置(方位)で比較したら?
方位tの違う823と824を比較してみる。
季節、時期の違いで採光にも違いが現れるのでは?
7月に行った結果と11月に行う結果の比較
本実験では主に照度計を使用して実測を行います。機器の操作は比較的簡単ですが、表示された照度の読み取りを誤る人が多いので注意してください。右の図中の表示照度は「19000」ルクスです。
キャップをかぶせた状態が照度0[lx]になるように設定してから使用すること。
測定時に人の影が照度計に入らないようにすること。
測定は作業面位置で測定すること。(椅子作業は750mm・廊下は床面等)
部屋の明るさはその時の太陽の状況によっていつも刻々と変化していますが、実は全天空照度と室内の明るさは常に一定の比になることが知られています。これが昼光率です(もちろん実際にはこれに加えて直射光の影響もあります)。
(ただし、D:昼光率、E:室内の照度、ES:全天空照度とする。)
昼光率は主にその点から天空が望める量、立体角投射率により決定されるので、開口部の大きさ・形・位置などにより決定します。
均斉度とは室内の明るさのムラの程度を表す指標です。またどうしても壁の近くは照明が届かず暗くなりがちなので室内の壁側1mを除いた範囲について求めます。均斉度は人工照明では1/3、昼光照明では1/10、人口・昼光照明では1/5に収まるの望ましいとされています。
室内の測定した照度をすべて平均して求めます。しかし、均斉度が評価しているような光環境のムラは評価できないので他の指標と併せて検討することが必要です。
ちなみに室の人口照明使用時の最小照度と平均照度の比は0.6以上が望ましいとされています。
レポートでは次のような点に着目するとよいと思います。
自然光による明るさと人工照明による明るさの比較
ブラインド使用の有無や、庇・ライトシェルフなどはあったか?
現状の光環境は十分だろうか?不足している点があるとしたらどのように改善できるだろうか?
この実験では照度分布を描画してレポートに掲載することも多いかと思います。Excelでも等高線図は描けなくはありませんが、操作が面倒なのでGraph-RやQuick Graphを使うとよいでしょう。
また光環境は周囲の壁や床・天井の反射率などにも大きく影響を受けます。反射率も考慮したい場合にはマンセル標準色標を借りて、反射率を概算するとよいでしょう。