組織における人の職務に強い満足を促すのは経済的報酬などの外的な動機づけよりも内的な動機づけである達成欲求や成長動機に根差した主体的な行動による場合がある。
ワークモチベーションは外的な動機づけ、内的な動機づけによって説明される。
外的な動機づけとは報酬や処遇によって動機づけれらる側面であり、内的な動機づけとは自我欲求である達成欲求や成長動機によって形成される動機の側面である(動機付けの項参照)。
内的な動機を生み出す人の根底にある欲求 (A.マズローの欲求5段階説)
1、生理的欲求→生理的動機
その欲求がみたっていると
2、安全欲求→安全の動機がうまれ、
その欲求もみたっていると
3、愛情、所属の欲求(社会的欲求)→愛情、所属への動機(社会的動機)がうまれ、
その欲求もみたっていると
4、承認と尊重の欲求→承認と尊重への動機がうまれ、
その欲求がみたっていると
5、自己実現欲求→自己実現動機がうまれるとされる。
1、生理的欲求とは食欲や睡眠の欲求などであり生物としての本能に近い欲求ということになる。ちなみに人の本能的な3大欲求とは食欲、睡眠欲、性欲であり、生命の維持のための根本的な欲求でもある欲求という事ができる。
2、安全欲求とは1、生理的欲求がみたされると生じる欲求でありそれは、安全に生活したいという欲求。
1、生理的欲求、2、安全欲求 がみたされると次に社会的な欲求である3、愛情、所属の欲求(社会的欲求)である「仲間」や「恋人」がほしいという愛情と所属の欲求がうまれる。
1、生理的欲求、2、安全欲求、3、愛情、所属の欲求(社会的欲求)がみたされると欲求はより高次になり4、承認と尊重の欲求がうまれます。たとえば人に認められたい、ほめられたい、尊重されたいという欲求。
1、生理的欲求、2、安全欲求、3、愛情、所属の欲求(社会的欲求)、4、承認と尊重の欲求がみたされるとさらに欲求は高まり5、自己実現欲求がうまれます。自己実現欲求は自分の能力や可能性を最大限に発揮し自分固有の生き方をするための欲求。
欲求がマズローのいう順で発生すると考えると1、生理的動機、2、安全の動機、3、愛情、所属への動機(社会的動機)4、承認と尊重への動機、5、自己実現動機の順で動機が生まれると考えられる。
当然ながら人の欲求が完全にみたされることや常にみたされる事は実際は少なく誰しも大なり小なり何らかの欲求不満を抱えて生活しているのが現実である。あまりに大きい欲求不満は葛藤を引き起こし精神病理へと繋がる場合もあり危険であるが欲求不満は防衛機制という手段によって一定程度解決する。防衛機制とはフロイトの精神分析的アプローチによるもので抑圧、逃避、退行、置き換え、投射、昇華、反動形成などの事をさす。防衛機制には大まかに次のようなものである。
抑圧→考え、感情を意識の外に置く。
逃避→空想、病気に逃げる。
退行→精神発達の未熟な段階に逆戻りする。
置換え→特定の人物や物への感情を他の対象に向ける。
投射→自分の感情は相手から起こったものだとする。
昇華→反社会的な欲求を社会的欲求(芸術、など)にする。
反動形成→欲求や感情と逆の行動をとる。
このような手段で完全にまた常に欲求が達成されないことに対し調整を行い葛藤を調整することで現実的な社会を生きている。
また欲求が複数ある場合欲求と欲求の間に非親和性がある場合もありその場合欲求間の葛藤が起こる。
合理的、論理的に組織を捉える反面、こうした個々の人としての存在がある事も看過してはならない。