心理学は臨床心理学をはじめとして「社会科学」ではなく「人文科学」としての側面も持ち人は一人一人がそれぞれ異なった行動をするという当たり前の現実を前提にその行動様式を様々な側面から捉えている。では学問としての近代の心理学の様式が形成されるまでどの様な歴史的変遷を経てきたのであろうか
ギリシャ哲学
様々な観点から心のモデルが提示
アリストテレス:現在の心理学の源流を樹立
5、6世紀
中世哲学
キリスト教的なドグマの影響
トマスアキナス:アリストテレスの思想の復活
17世紀
近世哲学
ベーコン:科学の方法として実証主義を重視
デカルト:研究対象が意識であることを論理的に明確化
17世紀末
連合心理学
経験主義の考え方:心(意識)の内容は全て経験によって形成される
生理的な概念の存在を認めない
19世紀
自然科学の著しい発達
ヘルムホルツによる感覚知覚の実証実験
心的現象の科学的研究の可能性を示唆
フェヒナーの精神物理学
物理量と心理量の関係を研究
実験法数量化の方法の開発
ダーウィンの進化論
人間と動物の連続性個体差環境への適応
個体の発達という考え方が心理学に影響
ヴントの実験心理学
世界最初の心理学実験室の創設
実験法と内観法を採用
意識活動を心的要素で構成
ゲシュタルト心理学、行動主義心理学、精神分析学
ゲシュタルト心理学
要素主義を批判
心的過程の全体性を重視
主体の認知を重視
行動主義心理学
意識主義内観法を批判
客観的観察可能な行動を研究対象に
全ての行動は刺激のみの関数と考える
精神分析学
精神の無意識領域の発見
精神内界の構造や力動の研究
発達や障害の過程を理論化
動機を重視
新行動主義心理学
行動主義の極端な主張を修正
主体が能動的に行う自発的行動を研究
行動を刺激と主体の両者の関数と考える
主体の内的要因(動機、期待)などを重視
認知心理学
新行動主義心理学の限界
多くの心的過程が研究対象からもれる
行動の背後にある内的過程に着目
情報科学コンピュータ科学のように心的過程を情報処理過程と考える
認知過程の解明、研究
主体の能動性、意味を重視
心的過程のモデル化と研究