思考とは
日常生活における行動において私たちは過去の経験を通して得られた記憶を下に行動しています。例えば料理をする際は過去の経験を通して得られた記憶を通じて様々な操作を行っています。その過程にいて行動の前段として前章で述べた知覚などをとおして得られた記憶を活かし思考を行っています。
そういった事から思考はその人がどう理解しているかやどう行動をしているかの指標となります。行動を起こす前に事前にその場面を想定し過去の知覚や記憶経験をもとにして結論を導き出すことを推論と言います。
しかしそのようにして行われる推論は論理的にいつも必ず正しいとは限りません。推論の過程自体は正しくても結論は必ずしも正しくないことがあります。
推論の誤りとしては例えば「ギャンブラーの誤り」という話が有名です。
例えばコインの裏表を当てるために予測を立てたとします。それが今まで裏、裏、裏、表、裏という結果だったとすれば、次のコインの裏表をあなたならどう推論するでしょうか。今度こそは「表だ」と推論するのではないのでしょうか。
しかし現実にはコインの表が出る確率は、コインを何度投げたとしても「確立50%でつねにランダム」であり常に2分の1であるといえます。
つまり主観的な確率の推論と、客観的に計算される確率の推論は必ずしも一致しないということです。
これが確率の推定における主観的推論と客観的な推論の差異(基準値の無視という事もできる)であり「ギャンブラーの誤り」と呼ばれている現象です。
このように主観的な予想に基づいた推論をヒューリスティックと呼びます。ヒューリスティックは厳密な手順をとらない推論のことをいいます。
これに対し厳密な手順で行われるアルゴリズムという推論があります。
ヒューリスティックとアルゴリズム
ヒューリスティックはひとが予想を立てる特徴的な手段であり直感的に直線的に推論を行うことです。ある程度の目星をつけこうだろうという主観的なものです。これに対してアルゴリズムは客観的に1~10まで厳密に調べた上で結果を出すことです。
この2つの概念を理解するには「ギャンブラーの誤り」のほかに例えば電話番号を調べる際の手順について考えるとよいでしょう。
住所、などから大体の予測をつけ、そのページの周辺を調べるこれがヒューリスティックです。
これに対し電話帳の1ページから最後まで調べていく手順。これがアルゴリズムという概念です。
瞬時に大量の検索を行うコンピュータはアルゴリズムに向いているといえます。
そういった事から仮に人はヒューリスティックの手段で物事を推論し結論づけることが多いと言われていますがヒューリスティックの手段は手間、時間はかからずてっとり早いのですが確実性に欠けるといった欠点があります。アルゴリズムの手段をとれば確実性はありますが手間と時間がかかるでしょう。
私たちが直面する問題とは上述したように何も試験のような記述における問題のみではありません。料理をどう行うか、電話番号をどう調べるか、どうやって家に帰るか、など様々な問題に直面しそれを解いています。問題解決とは目標に到るまでの過程を問題解決といいその過程では過去の知覚や記憶経験をもとにして試行錯誤し推論し結論を導き出しその手順(プロトコル)によって具体的な行動をとり問題を解決します。
心理学の研究によれば人間の脳は複雑な情報を処理する為に必要最低限のものだけで意思決定をし多くの情報から組織立てを行い素早く処理する事ができると言われています。そういった事もあり人は推論においていわば「非合理的」にヒューリスティックに結論を導き出している事が多いとされています。