1890年代後半から1930年にかけにウィーンの精神科医フロイト、Ｓ Freud,Sigmund(1856～1939）によって創始・確立された
フロイトは神経症の患者を対象として様々な研究を行った。 その中で当時非科学的と考えられていた無意識を定式化し新たな理論体系を構築し人の心の中には意識 consciousnessの領域とその深層にある無意識 unconsciousnessの領域があると考えた 。
そして自分の心に受け入れ難い欲求・願望・感情は無意識の部分に抑圧されると考え、蓄積された欲求・願望・感情が神経症などの精神病理を引き起こすと考えた。
その後フロイトは最初に提唱した無意識・前意識・意識に加えてエス、自我、超自我と呼ばれる心的装置があると考え体系的に構築した。
エスは（リビドーを含む）本能的欲求、超自我は親の躾によって形成される道徳的規範である。
超自我は親の躾によって形成される道徳的規範の他、個人の良心や理想等の部分にも深く関与していると考えそして エスと超自我の調整役としての自我を位置づけた。
そのようにして位置づけられた自我の働きによって本能的欲求を含むエスはそのまま表出される事はなく現実原則に従う形で表出される このモデルではエスの欲求と超自我の良心・道徳の部分を自我が調整する過程（防衛機制）で葛藤が生じそれが過度になると精神病理を引き起こすと考えた。
その後フロイトはこのモデルの下での治療法として当時、精神医学的治療法として脚光を浴びていた催眠を用いた。
それは自由連想法と呼ばれる方法である自由連想法とは無意識に接近しそこへの介入を意識に定着化させる技法である。
具体的には患者をカウチと呼ばれるソファーに寝かせどのようなことでも心に思い浮かぶことを述べてもらう方法である。
それを1回40～50分行い 週に4，5回繰り返す 治療は長期に及ぶ場合もある。
それは時間的・経済的に患者にとって大きな負担を要するものである。
その治療過程では無意識を表面に表出させられない「抵抗」と呼ばれる現象や無意識にある欲求・願望・感情が第3者である治療者に向けられる「転移」と呼ばれる現象も見られた。
転移には治療者に対して肯定的である「陽性転移」とその反対の「陰性転移」が見られた。