東京電気製 「逓信省型プリオトロン」
オーディオンの実用化に成功した電気試験所では、無線用送信管の実用化研究に着手しました。1917年に、鳥潟右一が電気学会で「無線電話の同時送話について」と題して、Pliotron型3極管を試作して無線送信器を製作し、無線電話実験に成功したことを発表しました。
このPliotron型3極管による無線電話実験の成功により、逓信省からPliotronの製造を委託された東京電気は、1919年にPliotronを商品名「プリオトロン」と称して製品化しました。当時の東京電気では、送信管を「プリオトロン」と称していましたが、製造委託元によって「逓信省型」、「海軍型」のように区別していました。保管しているPliotronは、「逓信省型プリオトロン」に該当します。
また、1919年には、高真空の3極管である「仏国型オーヂオン・バルブ」も製品化していますので、「米国型オーヂオン・バルブ」を製品化した当初と比べて、真空技術が飛躍的に向上したものと思います。真空技術が向上したことで、1920年に、東京電気は高真空高電圧整流用2極管のKenotronを製品化しました。
尚、オリジナルは米国General Electric社のPliotronですが、東京電気がPliotronを製造開始した1919年に製造を終了しています。