マイクロ波を発生するマグネトロンは、現代の生活必需品と言っても良い電子レンジに使われています。マグネトロンは、1920年に米国General Electric社のA. Hullが発明しました。発明当初は、マグネトロンでマイクロ波の様な高周波を発生することは確認されておらず、外部からの磁力によって2極管のカソードーアノード間に流れる電流が変化する電子管として研究開発が進められていました。
マグネトロンで安定に高周波を発生出来たのは、東北帝国大学助教授だった岡部金治郎が1927年に発表した陽極2分割型マグネトロンが世界で最初でした。その後、日本独自の研究開発により、マグネトロンは急速に進化し始めました。第2次世界大戦開戦前の1940年には、現代の高性能マグネトロンに近い空洞共振陽極マグネトロンの開発、実用化に成功しました。
東大電気系では、Hullがマグネトロンを発明して間もない1920年代前半から、マグネトロンの応用研究を行っていました。
東大電気系で保管してきたマグネトロンの詳細については、不明な部分が多く、調査を進めているところです。現在までの調査で、その殆どが第2次大戦が終了されるまでに日本国内で研究開発されたマグネトロンであることが分かりました。HASEKO-KUMA HALL で、その中で代表的なマグネトロンを展示しております。現存する日本製最古と思われるマグネトロンから、現代のマグネトロンに近い構造の空洞共振陽極マグネトロンに至るまでの、戦前の日本におけるマグネトロン技術開発の過程を垣間見ることが出来る、極めて貴重な資料群であると考えています。
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