従来の心理学は、現象を低次元で表現可能な部分に解体し、その機能や性質を調べ、再統合することによって理解しようとしてきました。それに対して、近年「高次元科学」と呼ぶべき新たなアプローチが提案されています (丸山, 2023)。そこでは、深層学習などを通じて高次元データを直接的に扱い、作用機序の従来的な理解よりも、予測・制御に重点を置くことで、現象の複雑性の全体的把握が目指されます。心理学が扱う知覚・行動・神経なども、本来は高次元であるため、今後心理学においても高次元科学が可能なのか、検討する時期が来ていると思われます。そこで本シンポジウムでは、心理・生命現象一般に共通する高次元性の問題と、それに対して現在どのようなアプローチが提案されているのかを概観し、今後心理学が高次元科学になるためには、どのような基礎理論と研究手法が必要となるのかについて、特に深層学習を軸として、議論をしたいと思います。(本シンポジウムは、昨年本学会で行われた公募シンポジウム「深層学習と心理学:その可能性を探る」の続編的な企画です。)
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2024年 9 月8日 (日) 11:30~13:10
熊本城ホール 第4会場 (3F A3)
心理学における一般化可能性と高次元性 スライド
生命現象から心の高次元性を考える スライド
私たちの立っている足元の "地形" を問う
指定討論
企画代表者:山田祐樹 (九州大学)
企画者:平石界 (慶應義塾大学)、池田功毅 (明治学院大学)、齋藤慈子 (上智大学)
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本企画の実施にあたって慶應義塾大学学事振興基金の助成を受けています。