1.ありあわせの義務

ブリコラージュの前提として、組み合わされる要素には有限かつ偶然的に存することが求められる。つまり、ブリコラージュにおいて要素は「ありあわせのもの」でなければならない

これはブリコラージュが「出来事から構造へ」、あくまで手近な要素がもつ具体的性質によって創発されるものだからである。

組み合わされる要素のうち、2つ以上の複数要素においてこれが満たされない場合、その作品をブリコラージュ作品とは認めらない。

この義務に違反する、以下の禁止事項に抵触すると思われる作品の思考は、体系移行図上段の異形をもって示される。

禁止事項

目的が先行した資材収集 禁止

目的に沿って資材を寄せ集められた制作物

目的(作るもの)が先行し、その実現のために「ありあわせ」の外から資材収集がされたものはブリコラージュ作品ではない。この行為はブリコラージュの原義である「出来事から構造へ」とは真逆の、「構造から出来事へ」という科学的発想である。

この禁止事項に抵触する事例は体系移行図上部において、要素群が所属する元の体系(ありあわせの集合)の欠如で示される。

※ただし、「部屋」や「庭の資材置き場」など、制作以前に資材が集合していた場(緩い資材集合)が存在し、その集合内から要素となる資材が用いられたとき、それは「ありあわせ」を満たしているといえる。よって、制作がそのような過程行われた場合、この限りではない。

過度な加工 禁止

加工を施され資材の特徴や形質が捨象された制作物

目的(作るもの)のために、要素に対して「元の形質が捨象されるほどの加工」が施されたものはブリコラージュ作品ではない。このとき、目的が先行し、要素がもともと持っていた具体的性質は軽視されているのであるこの行為はブリコラージュの原義である「出来事から構造へ」とは真逆の、「構造から出来事へ」という科学的発想である。

この禁止事項に抵触する事例は体系移行図上部において、初期体系に位置する要素の加工過程の表記で示される。

ピクセル利用 禁止

同一の特徴や形質を持つ要素の反復によって構成された制作物

同一の特徴や形質をもった資材の反復によって構成されたものはブリコラージュ作品ではない。この行為では形状や大きさといった要素の具体的な性質は軽視され、単に全体を構成する部位未満の粒(ピクセル)として要素を扱っている。このときブリコラージュの原義である「出来事から構造へ」が満たされているとは言い難い。

この禁止事項に抵触する事例は体系移行図上部において、同一要素の羅列と越境で示される。

※これに抵触するものは「目的が先行した資材収集」や「過度の加工」といった他の資材性に関する禁止事項にも抵触する場合が多いため、注意が必要である。