3.構造を持つ義務

リコラージュにおいて、ある体系の断片から結び付けられる要素の集合(作品)は、意味ある構造を持つものでなければならない

ブリコラージュでは2つの体系間が要素の範列関係によって結ばれる。ここで、前提として体系間に範列関係を発見するためには、作品の体系において、要素の位置づけ(=構造)が必要となるはずである。

この義務に違反する、以下の禁止事項に抵触すると思われる作品の思考は、体系移行図部の異形をもって示される。

禁止事項

単体・サイン 禁止

資材が単一で複数の組み合わせでない制作物

作品を構成する要素が、単一かつ唯一の資材であり、組み合わせがされてないもの、単体の要素をサインなどの印によって意味を異化したものはブリコラージュ作品ではない。結びつけが行われる作品の構成要素が一つのとき、作品の意味は作品の内的構造ではなく、作品外のものへの依存度が大きくなっている。仮にこれを認めれば、日常のあらゆる対象において、単なる見方の変化でもブリコラージュにあたり、概念は霧散するだろう。

この禁止事項に抵触する事例は体系移行図において、唯一の要素のみ範列関係が結ばれる形で示される。

脈絡のない構造 禁止

目的とする構造(=概念=意味内容)に脈絡が認められない制作物

目的とする構造に脈絡が認められない要素の集合(作品)はブリコラージュ作品ではない。ブリコラージュ体系間に範列関係を発見することから始まる。そのため、双方の体系において要素位置づける脈絡を持った構造が必要となる。例えば、「手術台の上のミシンと蝙蝠傘」のようなデペイズマン(シュルレアリスムの手法の一つ)を用いた作品はこの禁止事項に抵触する。

この禁止事項に抵触する事例は体系移行図下部において、作品の体系にあたる構造で示される。