折られた腕の前に
折られた腕の前に
M・デュシャン
Category:美術作品
図の上段:〇工業製品のシャベルを資材として選んでいる
図の中段:○シャベル道具から観賞用に読み替えられている
図の下段:✕単体である上に、脈絡のある構造をつくっていない
「美術館にシャベル?折られた腕に見立てられた作品。しかし単体禁止を破ってしまっている。」
この作品はブリコラージュではない。
一見するとただのシャベルであるが美術館に展示することにより、シャベルの棒の部分を腕、金属のすくう部分を手に見立てているかのような作品。要素がシャベルのみとなっていて、「単体・サイン禁止」にあたる。加えて、これを見た人に腕の構造を想像させるのは無理があり、どちらかといえば、この構造の脈絡のなさを作品性としている。これは「脈絡のない構造」禁止にあたる。これら二重の違反によって、この作品はブリコラージュと評価できない。
例えば、〈納屋にあるもの〉など同じ資材集合の中の他の資材と組み合わせ、今よりもっと腕っぽくみせることができたらブリコラージュ成功となるかもしれない。
しかし置く場所を変えるだけでシャベルを道具から観賞用に読み替えていること(レディメイドのやり方)はブリコラージュの一側面として評価できる。