日時
2016年3月20日(日) 13~17時
会場
東洋大学8号館7階 125記念ホール
開催趣旨
東洋大学の建学の精神を表す標語は、「諸学の基礎は哲学にあり」「独立自活」「知徳兼全」である。このうち「諸学の基礎は哲学にあり」とは、文字通り、あらゆる学問の基礎に哲学があるということだが、井上円了の事績を思えば、これは「哲学はあらゆる学問や生活の基礎として活かされなければならない」という意味を含むはずである。
井上円了の晩年の著作『奮闘哲学』には、哲学をこの日本で、とりわけ一般市民の日常生活において、どのようにして活かしうるかをめぐる奮闘が描かれている。円了は、哲学を二門に分け、物心相対の境遇から絶対の真域へと至る道を「哲学の向上門」、そこからふたたび相対の世界へと戻る道を「向下門」と名づける。「向上門が宇宙絶対の学ならば、向下門は人類社会の学である。向上門が絶対を考定する学ならば、向下門は人生を改善する学である。」と円了は書いている。
井上円了は、哲学を日本に根づかせるために哲学館を開設した。その後3度の世界旅行の経験から、広い世界に視野を広げうる人財の育成を目指した。哲学館は東洋大学と改められ、総合大学として発展している。とは言え、本学は建学の精神を忘れたわけではない。哲学を学ぶとは、たんに哲学史や哲学概念を学ぶだけではなく、それを現代に活かすことを含意する。本学は、2012年に創立125周年を記念した際、『哲学をしよう! 考えるヒント30』(大成出版社)という著書を編集・発行し、その英文タイトルである Living Philosophy! を提唱した。
一昨年、法人立の井上円了記念学術センターから教学組織の一環としての井上円了研究センターに組織替えした際、センターの役割として、井上円了研究の国際的展開とともに、研究の成果を教学に活かすことをとくに強調した。本シンポジウムはその方針実現の第一歩である。
プログラム
シンポジウム
‐趣旨説明‐
柴田 隆行 「井上円了の哲学と実学」
(井上円了研究センター長、社会学部教授)
‐パネリスト‐
吉田 善一 「現代に活かせる円了の科学的方法」
(理工学部教授)
山本 美香 「互助の精神でコミュニティを紡ぐ(仮)」
(ライフデザイン学部准教授)
清水 高志 「情報化社会における知とモノ(仮)」
(総合情報学部准教授)
特別講演
加藤 尚武 「死生観の東西」
(ホモ・コントリビューエンス研究所所長、人間総合科学大学教授)