南三陸311メモリアルは、東日本大震災での地域住民の被災体験を後世に伝えるための施設であり、防災について共に学び、南三陸の復興への想いと支援者への感謝を伝える場として作られました。施設では3つのミッション、「ラーニング、アーカイブ、フィールドワーク」が行われています。
これらのミッションを達成するために、ラーニングでは、住民の証言映像を見ながら「自分ならどう行動するか」を考え、話し合いを行います。アーカイブでは、震災関連の証言や資料を収集・保存し、新しい学びや展示に活用します。フィールドワークでは、アートを通じて震災の記憶に向き合い、自然や命について考える場を設置しています。また、震災の記憶を巡るツアーや体験型ワークショップも提供されています。
館内見学の様子
南三陸311メモリアルのエントランスには、南三陸の東日本大震災の被害がひと目でわかる地図がありました。ガイドの方のお話から、この地図が先人たちが残した震災の経験を後世に伝えてくれることを知ることができました。展示ギャラリーでは、「死」がもたらす深い悲しみや痛み、命の尊厳について考えさせられる空間が広がっていました。被災された方の実際の声や映像を見ることで、メディアでは分からなかった彼らの深い悲しみを知ることができました。アートゾーンでは、フランスの彫刻家であるクリスチャン・ボルタンスキー氏が手掛けた作品が展示されており、震災によって失われた命の尊さや重さを考えることができました。
ラーニングプログラムの様子
ラーニングプログラムでは、南三陸の地域住民たちの証言映像を見ながら、「もし自分だったらどう行動するか」を周りの人と語り合いながら考えました。Chapter 1では、海岸近くの小学校の映像を観ました。震災当時は被害の規模を予測することが難しく、現場での素早い判断が非常に重要だということが分かりました。また、状況に応じた避難経路を事前に確認する必要があると感じました。Chapter 2では、住民が公立志津川病院の会議室で津波から耐えしのぐ話を聞きました。このエピソードから、もし極限の状況で孤立してしまった時、孤立した人にどのように励ます言葉をかければよいのかを考えさせられました。また、生きることを諦めず、支え合うことの大切さを学びました。Chapter 3では震災当時の住民による災害対策の話を聞きました。住民の方たちは日頃から避難訓練を重ね、災害に備えていましたが、それでも大きな被害を受けたことを知り、私たちの災害に対する備えが十分ではないことを痛感しました。そのため、私たちの地域でどのような防災を考えているのか、今からでもできることとして何があるのかを強く考えさせられました。
南三陸311メモリアルのラーニングプログラムから、震災当時の状況判断や生きることを諦めてはいけないこと、地域住民同士の信頼関係を育むことの重要性を学びました。
南三陸311メモリアルでの体験を通して、防災について改めて考える機会となりました。震災を経験した地域住民の方々の映像を観て、もし自分だったらこの場面でどのような行動をとるのか、それについて周りの人と話し合うことで、自分とは違う考え方を知ることができました。また、自然の前での人間の無力さや、色を失った街並みが少しずつ再生していく様子、立ち上がる人々の力強さを肌で感じることができました。
防災の知識を身につけ、今後起こり得るさまざまな災害にどのように対応するのかを考え続けることが、命を守る力につながることを学び、自分自身を見つめ直すきっかけとなりました。災害のことを風化させないためにも、ここで体験し学んだことを伝え続けていきたいです。