相談無料 連絡先 045-883-3460 mishima@stress.co.jp
応力p、垂直応力σとせん断応力τ ― 面の向きによって変わる力の分かれ方
材料内部のある面には、その面を介して力が作用しています。その力を単位面積当たりで表したものが、その面に作用する応力pです。
応力pは、面に垂直な成分と、面に沿う成分に分けられます。面に垂直な成分が垂直応力σ、面に沿う成分がせん断応力τです。
応力の測定面垂直成分が垂直応力σ、面内成分はせん断応力τ。 応力の解析は、垂直応力σとせん断応力τを両方使うべきである。
測定関係の論文で応力と言われているのは、垂直応力の場合が多い。
しかしながら、応力=せん断応力となるのは、主応力方向を測定した特別な場合である。つまり、せん断応力=0(ゼロ)の場合
cosα法がせん断応力が測定できる。つまり、応力が測定できるのは、cosα法。 sin2ψ法が測定できるのは、垂直応力のみ
cosα法では、x線回折環のゆがみにより、垂直応力とせん断応力が計算される。
■ 1.応力を考えるには、面の向きを決める
材料内部に、仮想的な切断面を考えます。実際に材料を切る必要はありません。その面を境に、両側の材料が互いに及ぼす力を考えるためです。
この面に作用する単位面積当たりの力が、応力pです。pは、大きさと向きを持つベクトルとして扱います。
同じ場所でも、考える面の向きが変われば、その面に作用する応力pも変わります。したがって、材料内部の応力状態を表すには、一つの面の情報だけでなく、面の向きと応力との関係が必要です。
■ 2.垂直応力σ ― 面を引き離す、または押し付ける成分
応力pのうち、考えている面に垂直な成分を垂直応力σと呼びます。
面を引き離す向きが引張応力、押し付ける向きが圧縮応力です。引張を正、圧縮を負として表します。
ここでいう「垂直」は、試料表面に対して垂直という意味ではありません。応力を評価するために考えた面に対して垂直、という意味です。
■ 3.せん断応力τ ― 面に沿ってずらす成分
応力pのうち、考えている面に沿う成分をせん断応力τと呼びます。面の両側を、互いに滑らせるように作用する成分です。
三次元では、面に沿う方向は二つの独立した方向に分けられます。平面応力の説明では、対象とする平面内のせん断応力を一つの成分τとして扱います。
せん断応力を示すときは、どの面に、どの向きに作用する成分かを対応させることが必要です。
■ 4.面の向きを変えると、σとτが変わる
同じ応力状態でも、考える面の向きを変えると、その面に作用する垂直応力σとせん断応力τは変化します。
これは、応力状態そのものが変化したためではありません。同じ状態を、異なる向きの面について見ているためです。
例えば、一方向に引っ張られた材料では、その引張方向に垂直な面には垂直応力が作用します。斜めの面を考えると、垂直応力に加えてせん断応力も現れます。
■ 5.測定方向と、考える面との関係
試料面内のある方向の垂直応力を考える場合、その方向を法線とする仮想的な面を考えます。
その面に対して、測定方向に作用する成分が垂直応力です。面に沿い、試料面内で測定方向と直交する成分が、面内のせん断応力です。
つまり、「試料面内の垂直応力」という表現は矛盾しません。力の向きは試料面内にあり、仮想的な面に対して垂直になっています。
■ 6.σとτを組にすると、モールの応力円につながる
各方向の垂直応力σとせん断応力τを、横軸σ、縦軸τの平面に一つの点として描きます。
理想的な平面応力状態では、方向を変えたときの点は、一つの円の上に並びます。これがモールの応力円です。
円上の点は、別々の応力状態を示しているのではありません。一つの応力状態を、異なる向きの面で見た結果を示しています。
■ 7.X線応力測定とMSCRへのつながり
cosα法では、回折環に沿ったひずみ変化から、測定方向に対応する垂直応力とせん断応力を求めます。
MSCRでは、同一箇所を複数方向から測定し、得られたσとτの組から応力状態を再構成します。さらに、各方向の実測値と再構成結果を比較し、整合性を確認します。
方向ごとのσとτは、応力状態を見るための一組の情報です。MSCRは、その組を複数方向で結び付け、測定箇所の応力状態を推定します。
■ 関連ページ
[0030]X線応力測定の原理と仕組み
https://www.stress.co.jp/0030
[0199]モールの応力円
https://www.stress.co.jp/0199
[0245]MSCR技術体系