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[0199]モールの応力円 ― 方向によって変わる応力を、一つの円で表す
同じ場所の同じ応力状態でも、見る方向を変えると、垂直応力とせん断応力の値は変わります。
モールの応力円は、この方向による変化を一つの円で表したものです。方向ごとの応力を別々の値として扱うのではなく、一つの応力状態として結び付けます。
ここでは、試料面内の平面応力を対象として説明します。
■ 1.方向を変えると、応力の見え方が変わる
材料内部のある面に作用する力は、その面に垂直な成分と、面に沿う成分に分けられます。
面に垂直な成分が「垂直応力」、面に沿う成分が「せん断応力」です。
考える面の向きを変えると、この二つへの分かれ方が変わります。応力状態そのものが変化したのではなく、同じ応力状態を異なる向きの面で見ているためです。
モールの応力円は、この関係を図で示します。
■ 2.垂直応力とせん断応力を組にして描く
横軸を垂直応力、縦軸をせん断応力とし、ある方向の垂直応力とせん断応力を一つの点としてプロットします。
方向を変えながら同じ操作を行うと、理想的な平面応力状態では、点は一つの円の上に並びます。これがモールの応力円です。
円上の一つの点は、一つの方向に対応する垂直応力とせん断応力の組を表します。
実際の方向がある角度だけ変わると、円上ではその2倍の角度だけ位置が変わります。したがって、互いに90°異なる方向は、円上では直径の両端に対応します。
■ 3.円から何が分かるか
・最大主応力と最小主応力
円と横軸との二つの交点は、せん断応力がゼロとなる方向の垂直応力を表します。
右側の交点が最大主応力、左側の交点が最小主応力です。引張を正、圧縮を負とする場合、圧縮応力同士では、絶対値が小さい側が最大主応力になります。
・主応力方向
せん断応力がゼロとなり、最大主応力または最小主応力が作用する方向です。
円上の位置と実際の測定方向を対応させることで、主応力方向を求められます。円の形だけでは、試料に対する主応力方向は決まりません。
・平均応力
最大主応力と最小主応力の平均値です。モール円の中心の横軸位置に対応します。
・最大せん断応力
試料面内の最大せん断応力は、モール円の半径に対応します。最大主応力と最小主応力の差の半分です。
この最大せん断応力が現れる方向は、主応力方向から45°傾いています。
■ 4.円の中心と大きさを読む
円の中心位置は、平均応力を示します。中心が引張側にあるか、圧縮側にあるかによって、応力状態の平均的な位置が分かります。
円の半径は、方向による応力の違いを示します。半径が大きいほど、最大主応力と最小主応力の差が大きくなります。
最大主応力と最小主応力が等しい場合、円の半径はゼロとなり、一つの点になります。この場合、試料面内の垂直応力は方向によらず等しく、主応力方向を一意に定めることはできません。
■ 5.従来の使い方 ― 応力状態から、各方向の応力を求める
モールの応力円は、既知の応力状態から、向きの異なる面に作用する垂直応力とせん断応力を求めるために使われます。
例えば、ある二つの直交方向の垂直応力とせん断応力が分かれば、円を描き、主応力や最大せん断応力、任意方向の応力を求められます。
これは、「分かっている応力状態から、方向ごとの応力を求める」という使い方です。
■ 6.MSCRの使い方 ― 各方向の測定値から、応力状態を再構成する
MSCRでは、モールの応力円の関係を逆に使います。
cosα法で複数方向の垂直応力とせん断応力を測定し、その測定点群から応力状態を再構成します。
測定点を方向順に結んだものが、三島の測定多角形(MSP)です。理想的な平面応力の測定では、各点は方向に対応するモール円上の位置に並びます。
実際には、測定点に偏りやばらつきが生じます。MSCRでは、複数方向の測定値からモール円を再構成するとともに、各測定点と再構成結果とのずれを確認します。
モールの応力円が持つ「方向別の応力を一つの応力状態として結び付ける関係」を、測定値からの応力状態の推定と、整合性の確認に利用しています。
■ 関連ページ
[0245]MSCR技術体系
https://www.stress.co.jp/0245
[0255]仕組み
https://www.stress.co.jp/0255
[0256]数理背景
https://www.stress.co.jp/0256
[0254]出力
https://www.stress.co.jp/0254
モールの応力円 理論編
モールの応力円を応力1が0−180度方向に加わる場合で考えましょう。
単純に1の力を角度を変えて測定すると結果は、単位円になります。ところが、モールの応力円では、中心(1/2,0) 半径1/2の円になります。
違いは、cosθがかかっているかどうか
モールの応力円1軸の例
なぜcosθがかかっているかどうかというと。測定面が回転すると測定面が(1/cosθ)大きくなって、それで応力にcosθがかかっています。
一般化された平面応力場のモールの応力円は、以下のようになります。
モールの応力円
円は、1点の360度の応力とせん断応力をグラフィカルに示します。ただし、釣り合いの条件により0度と180度、90度と270度等の180度差の応力は同じになるはずです。したがって180度差同じ角度に表示されます。
モールの応力円で溶接部近傍の応力を表現します。
cosα法で測定したX,Y方向の結果をプロットして円を描く
図のような溶接部の場合は、概ね右側の測定点が溶接線直交方向で最大主応力。左側が溶接線直交方向で最小主応力となります。
モール応力円 左側が溶接線平行方向
モール応力円 右側が溶接線直交方向
3D造形レーザー45度解析結果 モールの応力円
概ねレーザー走査の方向とその直交方向に主応力が観測されます。
変換
⇨
1-1-4 Mohrの応力円 P8-10 改著 X線応力測定法 日本材料学会編 養賢堂
1.1.4 モールの応力円 P8 残留応力のX線評価 -基礎と応力- 田中啓介他
以下モールの応力円と実測のせん断応力を用いた応力状態推定技術
モールの応力円は、計算に用いられた例はあっても、解析に用いられることはありませんでした。せん断応力が実測できなかったためです。
2012年にせん断応力が測定できる測定器が販売されて、それが普及したために実測のせん断応力を使用した当社の解析方法が開発されました。
モールの応力円リバースは、応力場の応力状態が推定できます。
これまでの測定で応力状況がわからない場合にお試しください。
平面応力場が図示できる。つまり360度の応力が推定できます。
つまり、主応力の図示ができる。つまり、測定できない方向の応力が推定できる。
①平面応力場、②応力が重畳している場合、③ 三軸応力発生している場合で2~8方向の測定が必要です。2点まで送料のみでお試し解析します。
測定データは公開を原則とします。会社名、用途、部品形状等は非公開で応力とせん断応力のデータと材質のみ公開とします。
モールの応力円を使った当社の特許解析技術 モールの応力円リバース解析はこちら
詳しくは、お問合せフォーム または メール mishima@stress.co.jp にてお願いします。
応力は、垂直応力σとせん断応力τで構成されるので、両方使うのが応力解析 詳しくは、
従来のモールの応力円との違い
通常のモールの応力円:主応力が既知の場合に、各方向の応力を推定するために使用します。
モールの応力円リバース:複数方向の実測値(応力とせん断応力)から、主応力や応力状態を推定・再構築します。
仕組みと利点
多方向からのデータ測定:2〜8方向から応力とせん断応力を測定します。
円フィッティング:測定したデータがモールの応力円になることを利用し、これらの点を円にフィットさせます。
誤差の相殺:異なる測定方向からのデータを平均化することで、測定値の誤差を相殺し、精度を向上させます。
3次元応力場の把握:この手法により、表面近傍における複雑な三軸応力状態や、物理的制約で主応力方向が測定できない場合でも、応力状態を正確に把握できます。
応力状態の直感的理解:モールの応力円という図形で結果を表現するため、主応力の方向、変化の傾向、誤差の広がりなどが直感的に理解できます。
適用例
複雑な形状の部品や、複雑な残留応力が発生する熱処理後の部品。
疲労試験前後での応力状態の変化追跡。
加工後の部品における応力状態の評価。
1. 360度全方向のグラフィカル応力解析 モールの応力円リバースは、特許技術(特許第7513234号)であり、360度...
✅ モールの応力円リバースは「誤差を前提とした視覚的・統計的手法」 モールの応力円リバースは、誤差を含んだ複数方向の実測...
「モールの応力円リバース(Mohr’s Stress Circle Reverse)」は、通常のモールの応力円とは逆の使い方をする独自の解析手法であり、視覚的・直感的に高精度な応力評価を可能にするグラフィックツールとしての特徴を以下のようにまとめることができます。
1. 視覚的・直感的に応力状態が把握できる
応力とせん断応力をXY座標上にプロットし、円として視覚的に描くことで、主応力やその方向が一目でわかる。
実測値(複数方向のσとτ)をそのまま利用して応力状態を「描く」アプローチ。
数式よりも感覚的な理解が優先されるため、教育ツールや現場でのコミュニケーションにも最適。
2. 180度回転対称性を活用した高精度化
0度と180度、45度と225度といった180度対の測定結果の平均化により、z軸方向のせん断応力(τxz, τyz)を相殺。
測定方向が増えるほど、誤差の平均化によって精度が向上(=GPSの精度向上と同じ原理)。
3. せん断応力を活用する唯一の2次元ツール
従来のsin²ψ法ではせん断応力は使われなかったが、cosα法の2次元センサーにより得られるせん断応力を最大限に活用。
全方向の応力情報を直交座標系にプロットすることで、方向依存性を明確に視覚化できる。
4. 簡便なツールとしての優位性
方眼紙とコンパスで描けるほどシンプル。特別な解析ソフト不要。
例えば、測定点が8方向であれば、コンパスで円を描いて応力を「見る」ことが可能。
5. 誤差に強い構造
通常の主応力計算(3方向法)と違い、2方向からでも主応力が推定可能。
測定方向を固定せず、方向に依存しない解析が可能。方向ごとの誤差が見える・補正できる構造。
微小な応力変化の検出(例:疲労試験前後の応力差が ±20MPa 程度でも検出可能)。
応力集中部、曲面部、三軸応力場など、従来法では困難だった形状の応力評価。
現場での即時判断が求められる場面(装置不要でグラフ化が可能)。
【A. 基礎レベル(従来理論ゾーン)】
├─ [0197] ロゼットゲージによる主応力解析(旧来手法)このページ
└─ [0219] モールの応力円の扱い(教科書レベルの基礎)
↓ 基礎を理解後、次の段階
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【B. 準基礎レベル(リバース解析の概念導入)】
├─ [0167] 主応力解析 by モールの応力円リバース
├─ [0173] 測定できない方向の応力を推定する(応用の入口)
└─ [0212] 次元の違う応力解析手法(従来とリバースの比較)
↓ ここで“リバースの基本概念”を理解
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【C. 中核レベル(モールの応力円リバースの中心ページ)】
▶ **【中心】 [0245] モールの応力円リバース解析 総括(総本山)**
※ 全ページは最終的にここへ収束する構造
↓ この総括から下位の技術的ページへ展開
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【D. 分解レベル(難易度別に三層構造)】
【初心者向け】
・概念の図示
・σとτの違い
・なぜ“リバース”と呼ぶのか
【中級者向け】
└─ [0255] モールの応力円リバースの“技術的仕組み”
・σ+τの活用
・多方向測定
・誤差相殺
・円フィッティング
【上級者向け】
・座標変換
・円の最適フィッティング
・誤差分布
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【E. 実務・応用レベル(現場で役立つページ群)】
├─ [0233] 測定〜解析例(実測例:8方向・疲労・溶接)