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[0092]sin²ψ法からcosα法へ、そしてMSCRへ
当社のX線残留応力測定は、sin²ψ法からcosα法へ、さらに複数方向の測定値から応力状態を再構成するMSCRへと展開してきました。
sin²ψ法とcosα法は、回折X線から応力を求める測定方法です。MSCRは、複数方向で得られた応力測定値を結び付け、応力状態と測定値の整合性を評価する技術です。
■ 1.sin²ψ法 ― 傾斜角による回折角の変化から応力を求める
sin²ψ法では、試料面法線と回折面法線とのなす角ψを変えながら、回折角を測定します。
測定方向の応力は、回折角とsin²ψとの関係の傾きから求めます。一つの方向の応力を求めるために、複数のψ角で測定する方法です。
当社では、このsin²ψ法を用いて残留応力測定に取り組んできました。
■ 2.cosα法 ― 回折環に沿ったひずみ変化から応力を求める
その後、当社は二次元検出器を用いるcosα法へ移行しました。
cosα法では、X線を試料面法線から傾けて照射し、二次元検出器で回折環を取得します。回折環に沿って得られるひずみ変化を用い、測定方向の垂直応力とせん断応力を求めます。
sin²ψ法が複数のψ角で回折角を測定するのに対し、cosα法は一つの入射条件で取得した回折環に含まれる情報を利用します。
この測定方法の変化により、当社では、方向ごとの垂直応力とせん断応力を組として扱えるようになりました。
■ 3.方向別の応力値を、一つの応力状態として見る
応力は、測定する方向によって値が変わります。
一方向の応力値が得られても、その方向が主応力方向とは限りません。また、方向ごとの測定値には、応力以外の成分や測定上の変動が含まれることがあります。
そこで当社は、各方向の応力値を個別に示すだけでなく、複数方向の測定値を一つの応力状態として説明できるか、という点に着目しました。
cosα法で得られる垂直応力とせん断応力の組を、測定方向ごとに並べる。この関係をモールの応力円と結び付けたものが、MSCRです。
■ 4.MSCR ― 複数方向の測定値から応力状態を再構成する
通常、モールの応力円は、既知の応力状態から任意方向の垂直応力とせん断応力を求めるために用いられます。
MSCRでは、この関係を逆に使います。複数方向で測定した垂直応力とせん断応力から、もとの応力状態を再構成します。
各方向の測定値をσ–τ平面にプロットし、方向順に結んだものが、三島の測定多角形(MSP)です。MSCRでは、測定点群からモール円を再構成し、最大主応力、最小主応力、主応力方向、平均応力、試料面内の最大せん断応力を求めます。
さらに、測定点群と再構成結果を重ねることで、各方向の測定値が同一の応力状態としてどの程度整合しているかを確認します。
■ 5.測定値を得ることから、その関係を確かめることへ
sin²ψ法からcosα法への移行は、回折情報の取得方法と応力の算出方法の変化です。
cosα法からMSCRへの展開は、得られた測定値の使い方の拡張です。
当社は、方向別の応力値を取得し、それらを結び付けて応力状態を再構成し、測定値との整合性まで確認する測定・評価に取り組んでいます。
■ 関連ページ
[0245]MSCR技術体系
https://www.stress.co.jp/0245
[0255]仕組み
https://www.stress.co.jp/0255
[0256]数理背景
https://www.stress.co.jp/0256
[0254]出力
https://www.stress.co.jp/0254
測定範囲 ψ
sin2Ψ法
cos α法