タイムライン

Meta、AI半導体を独自開発 第1世代チップ「MTIA」(5/20)


Metaは、AIの学習を高速化する自社開発の特化型ASIC「Meta Training and Inference Accelerator (MTIA)」及び、映像処理用ASIC「Meta Scalable Video Processor (MSVP)」を発表した。


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MTIAは、Metaが開発した第一世代のAI推論アクセラレータ。TSMCの7nmプロセスで開発され、動作周波数は800MHz。低消費電力なもの特徴で、TDPは25W。MTIAのソフトウェアスタックはPyTorchと統合され、効率的な演算やデータの管理をサポートする。


実際のパフォーマンスでは、低複雑性から高複雑性のワークフローとして5つの異なるDLRMを実行。MTIAとNMPIアクセラレータ、GPUにおけるパフォーマンスを比較したデータでは、複雑さの低いモデルの場合、MTIAはより効率的に処理が可能。対して、中および高複雑度のモデルでは、GPUのほうが効率的に処理が可能であることがわかったという。現時点ではMTIAのソフトウェアスタックは最適化の最中であり、将来的にはGPUと同等の効率レベルを達成できるとしている。


「MSVP」は、Metaが初めて社内開発したASIC。Metaが運営する数億人向けのサービスでは、将来的に専用のハードウェアが必要であることから開発された。VODやライブストリーミングの処理ニーズに合わせて設計されており、VODに必要な高品質のトランスコーディングと、ライブストリーミングに必要な低遅延、高速処理の両方を効率的にサポートする。


将来的には、AI生成コンテンツやメタバース内のARおよびVRコンテンツなど、新しい形式のビデオコンテンツの提供にも寄与するとしている。


その他、AIに最適化した次世代データセンターの設計についても発表。次世代のAIハードウェアのトレーニングと推論の両方を可能にするもので、液冷AIハードウェアと数千のAIチップを接続する高性能AIネットワークを備える。 


飲み込んだ超小型カプセルから「健康診断」できる時代がやってくる(5/20)


ヒトの腸は、長さ30フィート(約9m)のブラックボックスだ(実際はボックスというより「チューブ」だが)。医師はこの数十年、暗くぬるぬるした消化管の内部という未踏の地を調査するため、両方の端からカメラやスコープを送り込み、何リットルもの造影剤を飲ませてきた。

しかしそんな暗黒時代も、まもなく終わりを告げるかもしれない。カプセルサイズの電子機器を飲み込むと、体内のデータを採取してスマートフォンに送信する「経口摂取型のセンサー」の製品化が始まっているのだ。

いまのところ、できることは多くない。測定できるものといえば、pH、温度、内圧、それに患者が服薬を忘れていないかどうかくらいのものだ。しかし研究者は現在、医療にかかわる多種多様な分子を検出できる、まったく新しいセンサー技術の開発にあたっている。

例えば、遺伝子操作で光を発するようにした無数の細菌を単4電池サイズのカプセルに詰め込み、消化管出血を診断するセンサーだ。マサチューセッツ工科大学(MIT)のティモシー・ルーが率いるこの研究は、2018年5月25日付で『Science』誌に掲載された。

いまは飲み込むのに「勇気が必要」だが…

細菌は、顕微鏡でしか見えないサイズのセンサーだ。一般的な乳酸菌で、牛乳をチーズに変える人類の友である「乳酸連鎖球菌(ラクトコッカス・ラクティス)」を例にとってみよう。

この乳酸菌の周囲にヘムがあることで、牛乳をチーズに変える「凝乳」の形成が促進される。ヘムは鉄を含む分子で、血中に酸素を運搬する役割を担う。大豆と遺伝子組み換え酵母から作成される合成肉の「[インポッシブル・バーガー](< /2018/01/11/the-impossible-burger/>)[日本語版記事]」の隠し味でもある。

一方で、多すぎるヘムは体にとって毒になる。 このためヘムの量を検知し、それに合わせて代謝のペースを切り替える遺伝的なスイッチが備わっている。

ルーのチームは、乳酸連鎖球菌の電源スイッチに相当するDNA配列に注目し、そこに生物を発光させる配列を付け足した。そして、できあがった遺伝的回路を、善玉菌として一般的に販売されている大腸菌の無害な株に組み込んだ。それからこの遺伝子組み換え細菌を、人体にとって無害なカプセルに詰めた。

カプセルの一部は半透過性の膜でできており、そこから内部に消化液を取り入れる構造になっている。内部には、極小電池で作動するワイヤレスの半導体も入っており、細菌とは透明な仕切りで隔てられている。

ルーのチームは、消化管出血を誘発させたマウスと、胃に血液を注入したブタを使って、試作品のカプセルをテストした。遺伝子組み換えの細菌は、ヘムに接触すると発光した。強烈な光ではないが、光トランジスターが反応するには十分だ。そして光トランジスターは、この情報をマイクロプロセッサーに送る。そこからシグナルはAndroidアプリに送信される。ちなみに、このアプリを開発したのは工学部の学生だ。

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臨床試験に進む前に、ルーのチームは「装置を現在の3分の1のサイズまで小型化したい」と考えている。試作品は1.5インチ(約3.8cm)で、「飲み込むにはかなりの勇気が必要です」とルーは言う。

胃酸での発電が可能に

小型化のために、検出・処理・送信を担う電子部品をすべてひとつのチップに集約する予定だ。こうすれば、電池も小型化できるか、あるいはなくすことさえできる。現在のヴァージョンでは、13マイクロワットの電力が必要だ。これは論文の共著者のひとりであるフィリップ・ナドーが開発した、胃酸で発電する電池によって供給できる見込みという。

PHOTOGRAPH COURTESY OF MELANIE GONICK/MIT

このようなイノヴェイションは、センシングテクノロジーの実現の鍵になるものだ。今回の研究には参加していないが、磁気駆動の結腸内視鏡検査ロボットを開発中である、リーズ大学のロボット工学者のピエトロ・ヴァルダストリは「この分野の最大のボトルネックは電力供給です」と語る。

「しかし、電池技術は急速に進化しています。生理指標を測定し、生体組織と相互作用させる医療用のワイヤレスカプセルロボットが、今後5年から10年のうちに登場する可能性があります」

とはいえ、当然ながらほかにもハードルはある。規制当局のお墨付きを得て、超小型の医療用ロボットへの保険適用を保険会社に認めさせることもそのひとつだ。

国のメディケア・メディケイド・サーヴィスセンター(CMS)は18年、デジタルヘルスデータ(飲み込んだセンサーから送信されるデータはまさにその一例だ)を利用して、患者が来院せず診断する場合の医療費請求を医師に認めたばかりだ。しかし、こういった医療行為はまだ保険適用外のことが多いため、医師は患者を怒らせることを恐れて利用を躊躇しがちだ。

FDAを変える業界の動向

この問題にいままさに取り組んでいるのが、カリフォルニアに拠点を置くヘルステクノロジー企業のProteus Digital Healthだ。同社は最近、服薬チェックアプリを販売するために米食品医薬品局(FDA)の認可を取得した。これは、統合失調症患者に抗精神病薬をきちんと服薬させるためのものだ。近い将来は、がんやHIV、肝炎の患者にも対象を拡大しようとしている。

同社がデヴァイスの臨床試験を開始したのは08年のことだが(当時はBlackberry端末にデータを送っていた!)、薬とセンサーという組み合わせはまったく前例のないものだった。このため何年にもわたって認可を得るために、どんなデータを提出すべきかをFDAと取り決め、すり合わせを重ねなければならなかった。

Proteusの共同創業者で、最高医療責任者でもあるジョージ・サヴェッジは「医療用デヴァイスは、状態の医学的な診断または治療という機能によって定義されます」と語る。「単に生体組織に接触して数値を送るだけのものを、FDAはどう扱っていいかわからなかったのです」

FDAはそれから大きく変わった。デジタルヘルス専門の部署が創設[日本語版記事]され、ソフトウェアや通信デヴァイスに向けて、より柔軟な規制の枠組みの策定を行っている。これにより、「経口摂取型センサー」の時代の到来が現実味を帯びてきた。

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[がん細胞由来のDNAを検出](< /2018/06/11/crispr-to-diagnose/>)[日本語版記事]したり、腸内細菌が生み出すガスからマイクロバイオームの構成を分析したりといったさまざまなことが、ヴィタミン剤の摂取と同じくらい日常化するかもしれない。

「まだ信じられない」と言うなら、ひとつ教えよう。FDAは先日、Proteusに最初の製品のサンプルの送付を依頼した。これは審査のためではなく、FDA博物館への展示用だったのだ。




理研とIntel、AIや量子コンピュータ開発で協業(5/19)


5/19(金) 11:18配信

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写真:Impress Watch

 理化学研究所と米Intelは、次世代コンピューティング分野の共同研究を加速させる連携や協力に関する覚書を18日に締結した。Intelが提供するファウンドリサービス「Intel Foundry Service」との連携で新しいソリューションの試作も行なうという。


 今回、連携や協力する内容は具体的に、(1)スーパーコンピュータやAIに関わるコンピュータ技術、(2)シリコンをベースとした量子コンピュータおよび量子シミュレーション技術、(3)Intel Foundry Serviceとの連携による試作、となっている。理研とIntelが双方の研究能力や技術を活かし、ゼタスケールに向けた飛躍的性能向上の可能性を追求し、グローバルに広く展開することを目的としている。


 理研は、次期中長期計画(2025年度~2031年年度)に向けた先行的な取り組みとして、理研内の横断的なプロジェクトである「Transformative Research Innovation Platform of RIKEN platforms(TRIP)」を2023年度から開始している。


 TRIPは理研のスパコンや大型放射光施設、バイオリソース事業といった最先端研究プラットフォームをつなぎ、研究のデジタルトランスフォーメーションを加速させ、社会変革のエンジンを提供することを目指すプロジェクトとなっている。その推進にはスパコンや量子コンピュータの性能向上といった次世代コンピューティング分野の研究の加速が必要で、Intelとの協業を通じて実現していくとしている。

PC Watch,劉 尭



メタ、AI半導体を独自開発 Googleなどに追随(5/19)


北米

2023年5月19日 8:01 [有料会員限定]

多様な観点からニュースを考える

佐藤一郎さんの投稿

【シリコンバレー=奥平和行】米メタは18日、人工知能(AI)を利用したサービスに使う半導体を独自開発すると明らかにした。自社のソフトに最適な半導体を作り、処理能力の向上や消費電力の低減につなげる。AI半導体の開発は米グーグルなども強化しており、テクノロジー大手の間で競争が激しくなっている。

18日にデータセンターなどのIT(情報技術)基盤に関する説明会をオンライン配信し、半導体の独自開発について...

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首相、半導体投資を要請 米台韓の大手幹部と会談(5/18)


https://www.nikkei.com/video/6327717327112/



「もしこの技術が悪用されたら大変なことになる」──チャットGPT開発のアルトマン氏が自ら警告(5/18)


5/17(水) 21:33配信

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<チャットGTPの生みの親サム・アルトマンをはじめ、米議会で証言したAI の権威たちはAI の暴走を警告>

米議会の公聴会でAIの規制を支持したチャットGPT開発者のサム・アルトマン(5月16日)  Elizabeth Frantz-REUTERS

対話型AI(人工知能)サービス「チャットGPT」を開発したオープンAI のサム・アルトマンCEOは5月16日、人工知能(AI)の将来について懸念を表明し、意図しない結果が起きる可能性があるため、規制が必要だと警告した。


米議会上院司法委員会で証言したアルトマンは警戒を促す口調で、誤情報の増加、選挙妨害、コンピュータが人間の従業員にとって代わり、人工の存在が人間そのものよりも賢くなる、といった苦境に陥る可能性を秘めた暗い未来像を描き出した。


金融情報サイト「ナードウォレット」によれば、AIに対する懸念はこれまで常に存在してきたが、最近は、アルトマンの会社を含むテック企業が未開拓分野の先取りをめざして何十億ドルもの投資を行っていることから、特にその懸念が深刻化しているという。


ニューヨーク・タイムズ紙によると、AI分野の基礎研究の第一人者でAIの「ゴッドファーザー」と呼ばれるジェフリー・ヒントンは「悪意のある人間が(AIを)悪いことに使うのを防ぐ」ためにグーグルを退職し、AIの能力について警告している。


チャットGPTを開発したアルトマンも、米議会で証言する初めての機会に、同じような意見を述べた。


「もしこの技術が悪用されたら、かなりまずいことになると思う」と、アルトマンは議員たちに語った。「そのことを声を大にして訴えていきたい。そんなことが起こらないように、政府と協力したい」。


緊急に規制が必要

司法委員会の議長を務めるリチャード・ブルメンタール上院議員は、「人工知能は、その計り知れない将来性と落とし穴に対処するためのルールとセーフガードを緊急に必要としている」と述べた。


民主党のエイミー・クロブシャー上院議員から、今後の選挙にAIが与えるかもしれない影響について、アルトマンは「かなり懸念している」と述べた。


「AIはソーシャルメディアではない。まったく違う」と彼は答えた。「だから、必要とされる対応も違う。AIは、ユーザーがより効率的にコンテンツを生成するために使うツールだ。ユーザーはこのツールを変えることができるし、正確さをテストすることもできる。気に入らなければ、別のバージョンを使うこともできる」


AIについて声をあげているノースウェスタン大学法学部のジョン・マクギニス教授は、本誌の電話取材に対し、テック業界の第一人者たちの懸念を共有することにためらいを感じていると語った。彼は、悪意のある人の手に渡ったツールは問題につながる可能性があるというヒントンの意見に同意したが、AIそのものが暴走して悪意に満ちたものになるとは考えていないようだ。

次ページは:進化を妨げるデメリット

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IBMとグーグル、日米量子コンピューティング研究に資金提供(5/18)


By Peter Landers

2023 年 5 月 17 日 22:42 JST

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 【東京】米IBMとグーグルは、シカゴ大学と東京大学の量子コンピューティング研究に1億5000万ドル(約200億円)を提供する。日米は、この分野で急成長を遂げる中国に対する優位性の維持に努めている。

 両国のパートナーシップは国家安全保障と経済成長に影響を及ぼす科学研究を巡り、米国と日本や西欧諸国など同盟国の陣営と、中国との分断が進んでいることを示す一例だ。

 ラーム・エマニュエル駐日米国大使は「基礎研究で同盟国をさらに頼りにする必要がある」と語った。

 IBMは量子ビット(キュービット)を10万個搭載する量子コンピューターの構築を目指す東大とシカゴ大学の取り組みに1億ドルを拠出する。同社は昨年11月に433量子ビットのプロセッサーを披露している。...

ウォール・ストリート・ジャーナル日本版

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グーグル、対話AI搭載の検索エンジン ついに披露(5/17)

 米グーグルは、このほど開いた年次開発者会議「Google I/O」で、これまで一部地域で提供していた生成人工知能(AI)「Bard(バード)」を一般公開したと明らかにした。加えて、対話AI機能を搭載した検索エンジン「Search Generative Experience(SGE)」を発表した。


■ 生成AI「Bard」、日本語版開始


 高度な言語能力を持つ生成AIは、米マイクロソフトが出資する米オープンAIが2022年11月に「ChatGPT」を公開して以降一気に利用が広がった。こうした中、検索をはじめとするネットサービスで高いシェアを持つグーグルはこの分野での競争力を維持するべく開発を急いでいる。


 開発者会議でグーグルは、同社の大規模言語モデル(LLMs)「PaLM(Pathways Language Model)」を改良した「PaLM 2」も発表した。同社によると、PaLM 2は、Bardや検索エンジン、Gmail、Googleドキュメントなど、25以上のサービスに活用されるという。


 Bardは23年3月に米国と英国で一般公開を始めていたが、今後は英語版の提供地域を180カ国・地域に広げる。加えて、Bardを40超の言語に対応させる計画も明らかにした。第1弾として日本語と韓国語での提供を始めた。


■ 新検索エンジンは社内で試験中


 一方、対話AI機能を搭載した検索エンジン(SGE)は現在グーグル社内で試験中だ。今後数週間以内に米国の利用者を対象に「サーチラボ」と呼ぶ新しい実験ブログラムで待機リストへの登録を受け付ける。


 グーグルのスンダー・ピチャイCEO(最高経営責任者)は「AIをすべての人に役立つようにすることが、私たちの使命を達成するうえで最も重要だ」と説明した。

 グーグルは「Perspectives(パースペクティブス)」と呼ぶ新しい検索機能も明らかにした。これは、検索結果ページに表示されるフィルターの1つ。SNS(交流サイト)の投稿や「TikTok」などの短尺動画を表示できるというものだ。米ウォール・ストリート・ジャーナルによると、グーグルは、「よりビジュアル、スナッカブル(短くて分かりやすい)、個人的、人間的な検索エンジン」を目指しているという。


■ 従来検索とAIを融合


 こうした変更によりグーグル検索は数十年にわたり続いてきたリスト形式から大きく変わることになるとウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。


 ロイター通信によると、新たなグーグル検索のホームページの外観は従来と変わりがない。違いは検索結果ページに現れるという。


 利用者が入力した検索語に対し、生成AIが用いられた場合、上部にAIによる回答を表示し、下部に従来通りのリンクを表示する。ロイターが試したところ、「天気 サンフランシスコ」と入力すると、従来通り8日間の予報が表示される。しかし、「カリフォルニアの街では何を着ればよいか」と入力した場合、AIによる文章が表示される。「日中は半袖のシャツと、薄手のセーターやジャケットなど、重ね着したほうが良いでしょう」といった具合だ。情報源となったウェブサイトへのリンクも表示されたという。また、BardやChatGPTに似た新しい「会話モード」を利用できる。この場合、AIが前の質問を覚えているため、自然な会話形式で次の質問が行えるという。


 グーグル検索チームの副社長、リズ・リード氏は、「検索の将来は、検索と生成AIのそれぞれ最高の部分を融合することだ。どちらか一方ではない」と説明した。


 一方で、検索広告は今後も表示される。グーグル検索は、年間1620億ドル(約21兆8300億円)超の収益を上げる広告事業を支える同社の主力事業だ。「AIに重点を置いた検索エコシステムの進化にともない、検索広告は引き続き重要な役割を果たす」と同社は述べている。


 (参考・関連記事)「生成AIに危機感、Googleが検索エンジン大幅刷新へ | JBpress (ジェイビープレス)」

小久保 重信


浜矩子「AIに翻弄される21世紀の我らは、アシモフのロボット作品に学べ」(5/17)

 経済学者で同志社大学大学院教授の浜矩子さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、経済学的視点で切り込みます。

*  *  *

 アイザック・アシモフをご存じの方は多いだろう。SFの生みの親の一人だ。特にロボットものの名品を数多く生み出した。ロボットという言葉自体は、チェコ人劇作家カレル・チャペックの造語だが、この言葉を世界的に普及させたのは、アシモフ先生だ。いまやロボット工学は確立した研究分野だが、これもアシモフ先生が発明したroboticsの邦訳である。

 アシモフ先生の数あるロボット物語の一つの中に、次のくだりがある。ある登場人物の発言だ。「有能な人間たちは現代社会でも珍重されていますよね。今でも、我々は発すべき質問を発するに足る知性の持ち主たちを必要としています」(翻訳筆者)。超大型スーパーコンピューターが、地球上の万事を管理するようになっているという時代設定だ。そのような環境の中で、もはや人間は無用の長物ではないのか、という会話の流れの中で、この考察が出てくる。

 また別の作品には、スーパーコンピューターに対して質問を発する能力に長けた「グランドマスター」人間が登場する。彼の優れものの質問があってこそ、初めてスパコンも名回答を出せるのである。

 この話を久々に読んでびっくりした。なぜなら、ほんの数日前に、近頃一世を風靡している生成AIから間抜けではない回答を引き出すには、良い質問をしなければいけないというので、人間の質問力アップが問われている、という記事を読んだばかりだったからである。

 上記二つのアシモフ作品は、いずれも1950年代に書かれたものだ。今、生成AIをどう扱ったらいいのか、その設計や使用方法をどう規制したらいいのかという難問と格闘している政策責任者や教育者たちは、アシモフ先生の全ロボット作品を徹底学習する必要がありそうだ。

 ここで改めて思う。AIはいずれ質問力を持つようになるのだろうか。疑問を抱くようになるのだろうか。常々考えてきたことではある。だが、チャットGPTなどが話題を席捲するようになって、この思いが一段と強まった。AIが名質問で人間から名回答を引き出す日はくるのか。その時、有能だとして珍重されるのはどんな人間だろう。

浜矩子(はま・のりこ)/1952年東京都生まれ。一橋大学経済学部卒業。前職は三菱総合研究所主席研究員。1990年から98年まで同社初代英国駐在員事務所長としてロンドン勤務。現在は同志社大学大学院教授で、経済動向に関するコメンテイターとして内外メディアに執筆や出演

AERA 2023年5月22日号

浜矩子

浜矩子(はま・のりこ)/1952年東京都生まれ。一橋大学経済学部卒業。前職は三菱総合研究所主席研究員。1990年から98年まで同社初代英国駐在員事務所長としてロンドン勤務。現在は同志社大学大学院教授で、経済動向に関するコメンテイターとして内外メディアに執筆や出演

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ソニー過去最高の売上高11兆円超、勝因は「半導体への集中投資」だ(5/16)


5/16(火) 6:01配信

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Photo:123RF

 ソニーの収益力アップが顕著だ。2023年3月期決算は売上高が過去最高の11兆円を超えた。快進撃の勝因は、直近10年間でリストラを断行し、世界トップシェアを誇る画像処理半導体(イメージセンサ)の研究開発や製造に集中したからだ。対してパナソニックやシャープ、東芝は構造改革の遅れが業績にも響いている。ソニーは今後3年間で半導体分野での設備投資が1兆円を超える見通し。「ウォークマン」で世界を変えた往年のソニーの真の実力が戻ってきたようだ。 (多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫


● 過去最高の売上高11兆円超のソニー


 2023年3月期のソニーグループの連結業績は、売上高が11兆5398億円(前期比1兆6183億円増)と過去最高だった。営業利益は1兆2082億円(前期比59 億円増)、経常利益は1兆1803億円(前期比628億円増)、純利益は9371億円(前期比549億円増)。前期比で大幅な増収増益が目立った。今回の決算を見ると、半導体などのハードウエア、ゲームや音楽などのソフトウエア(コンテンツ)の両面で、ソニーの収益力が高まっていることが分かる。


 ソニーはハード面のモノづくりの力を磨き、それをソフト面にコンテンツの領域に持ち込むことで、世界市場への影響力を強化している。同社の事業運営は、他の国内家電メーカーと対照的だ。多くの家電メーカーは、23年3月期の第3四半期の決算発表時点で、業績の下振れ警戒感を示した。対して、ソニーはその強さを示すことに成功しつつある。


 今後、ソニーは画像処理などに用いられる半導体の製造技術をさらに高め、新しい最終製品の創造を成し遂げるかもしれない。目下、世界全体でスマートホンの需要減少が鮮明だ。それは裏を返せば、ソニーがかつてのウォークマンなどのようなヒット商品を実現するチャンスともいえる。これからのソニーは、過去30年以上にわたって低成長に陥ったわが国の家電メーカーにとって、大きな刺激となることを期待したいものだ。

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シリコンアイランド九州、復活へ TSMC進出が起爆剤(5/15)


かつて「シリコンアイランド」と呼ばれた九州の半導体産業が復活に向けて動き出している。半導体の受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)の熊本県進出が起爆剤となり、九州各地で半導体関連の設備投資が急速に活発化している。産学官で半導体産業を支える人材育成を進める動きも広がってきた。

熊本駅から電車で約30分、原水駅からほど近い熊本県菊陽町の工業団地でTSMC、ソニーグループデンソーの合弁会...

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ChatGPTで「タイパ」改善 口コミや議事録、AIが要約(5/15)


ChatGPT

2023年5月15日 2:00 [有料会員限定]

米オープンAIの「Chat(チャット)GPT」をはじめとする生成人工知能(AI)が得意とするのが長文の要約だ。口コミサイトの投稿から要点を抜き出したり、会議の議事録をまとめたりする機能については新興企業による商業利用が始まった。時間効率を重視する「タイムパフォーマンス(タイパ)」意識の高まりを追い風に、企業や消費者のニーズをつかんでいる。

2600社分の口コミ、数日で要約

「人間が1人でやると1...

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イーロン・マスクがTwitterの新CEOに元NBCユニバーサルのリンダ・ヤッカリーノ氏を任命(5/13)



Twitterを買収してCEOに就任したイーロン・マスク氏は、当初Twitterの運営に関する重要な決定をアンケート形式でユーザーに委ねており、「自身がTwitterのCEOを辞めるべきか否か」のアンケートまで実施。マスク氏のCEO退任を求める票が過半数を超えたものの、「投票はボットによるもの」などの声を受け、「TwitterのCEOを引き受ける愚かな人がいればすぐ辞任する」と表明し、当面は自身がCEOを続けると表明していました。そんなマスク氏がとある女性をTwitterの新しいCEOに任命したとツイートしていたのですが、それがNBCユニバーサルの広報担当責任者であるリンダ・ヤッカリーノ氏であることが明らかになっています。

Elon Musk appoints new Twitter CEO, NBCU’s Linda Yaccarino | TechCrunch
https://techcrunch.com/2023/05/12/elon-musk-appoints-new-twitter-ceo-nbcus-linda-yaccarino/


2023年5月12日、マスク氏は「Twitter(X)の新しいCEOを雇ったと発表できることに興奮しています。彼女は6週間後に入社する予定です。私の役割はプロダクト、ソフトウェア、そしてシステムオペレーターを監督する執行委員長兼CTOに移行するでしょう」とツイートし、自身に代わる新しいCEOが女性であることを明かしていました。



その後、複数のメディアがNBCユニバーサルの広報担当責任者であるリンダ・ヤッカリーノ氏がTwitterの次期CEOであると報道。ヤッカリーノ氏はTwitterの次期CEOになるのではという報道に対して否定も肯定もしていなかったものの、同社の広報担当責任者の職を辞任すると発表していました。

そして2023年5月13日、マスク氏は自身のTwitterアカウントで、「リンダ・ヤッカリーノ氏をTwitterの新CEOに迎えることができて興奮しています!リンダ・ヤッカリーノ氏は主にTwitterの事業運営に焦点を当て、私は製品設計および新技術に焦点を当てます。リンダ氏と協力し、Twitterをすべてのアプリが含まれるXに変えることを楽しみにしています」とツイートし、リンダ・ヤッカリーノ氏をTwitterの新CEOに任命したことを明かしました。




ソフトバンク、LINEと和製GPT立ち上げへ 「やらなければ今後の参加権がなくなる」 (5/12)


 ソフトバンクは5月10日の決算会見で、LINEと共同で和製GPTの立ち上げを進めていることを明らかにした。グループのLINEが開発を進めてきたLINE AiCallなどのHyperCLOVA技術をベースに、OpenAIに追いつくことを狙う。

 「GPTの基礎ベースを持っている会社は日本ではわが社しかない。これはもうやらざるを得ない。米国勢や中国勢に勝てるかどうかではなく、やらなければ今後の参加権がなくなる」(宮川潤一社長)

ソフトバンクの宮川潤一社長

 3月に組織を立ち上げ、合弁会社も用意した。グループ内からAI開発人材として1000人を選抜し、異動または兼務を検討している。「1000人から5000人規模の“GPT祭り”をやらなければ、日本の中でのGPTの立ち上がりはない」(宮川氏)

 LINEが開発してきた独自の大規模言語モデルHyperCLOVAは、LINE子会社のワークスモバイルジャパンに移管されている。ZホールディングスのGCPO(Group Chief Product Officer)を務める慎ジュンホ氏は「CLOVAは膨大な国内データを持っており、国内向けに優れたサービスの提供を目指している」と、決算会見で話していた。


Google、生成AIを日本語含め40言語で 折り畳みスマホも発表(5/12)


https://www.nikkei.com/video/6327182150112/?playlist=4654649186001


グーグル、AI搭載した新たな検索エンジン「SGE」を発表(5/12)

 Microsoftは、最新のAI技術で強化した検索エンジンによって、Googleを出し抜いている。Googleは米国時間5月10日、ユーザーの質問に対して詳細な回答を提供する人工知能(AI)技術を発表し、これに対抗する姿勢を見せた。


 Googleは年次開発者会議「Google I/O」で、同社が圧倒的なシェアを誇る検索エンジンのAI強化版のテストを「Chrome」のブラウザーまたはモバイルアプリで開始するとして、米国のユーザーを対象にウェイトリストを公開した。この技術は、「Search Generative Experience」(SGE)と名付けられている。


 Googleは、検索クエリーの理解や最も関連性の高い結果の評価など、多くの検索機能で既にAI技術を活用している。しかし、大規模言語モデルや生成AIといった新たな能力の登場で、その場で情報をまとめてテキストとして記述するという機能によって実現できる範囲は劇的に拡大している。それこそがSGEの目指すところだ。


 「これらの新しい生成AI機能は、検索をよりスマートかつシンプルにする」と、Google検索を統括するバイスプレジデントのCathy Edwards氏は、同イベントで述べた。「それはウェブ検索結果を整理する新たな方法で、ユーザーは有益な出発点を得られる」(Edwards氏)


 これは、おそらくほとんどの人にとって何年も変化がないように感じられていた検索エンジン技術に、生成AIがもたらす新しい息吹きの中で、最も大きな例だ。Googleが単にウェブサイトへの「10個の青色リンク」を提供していた日々はとうに過ぎ去っているが、今回のAI強化は、ユーザーが求めているまさにその情報を提供するために、同社が大きな一歩を踏み出していることを意味する。


この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。 

GoogleがNVIDIA H100 GPU搭載のAI特化型スパコン「A3」を発表(5/12)


Googleが2023年5月11日の開発者向けイベント「Google I/O」で、AIのトレーニングと稼働に特化したスーパーコンピューター「A3」を発表しました。

Introducing A3 supercomputers with NVIDIA H100 GPUs | Google Cloud Blog
https://cloud.google.com/blog/products/compute/introducing-a3-supercomputers-with-nvidia-h100-gpus/?hl=en


Google Launches AI Supercomputer Powered by Nvidia H100 GPUs | Tom's Hardware
https://www.tomshardware.com/news/google-a3-supercomputer-h100-googleio


Googleは今回のカンファレンスで、同社のチャットAI・Bardを強化する大規模言語モデル「PaLM 2」を発表しました。これは、GoogleマップやGoogleフォト、GmailなどGoogleの製品全体にAIを取り入れた機能を追加する上での基礎となるものです。

Googleが大規模言語モデル「PaLM 2」を発表、すでに25のGoogleサービスに導入済み - GIGAZINE


こうした機能が普及するにつれて、無数のユーザーによる膨大なAIアプリケーションへのアクセスが発生するため、クラウドにはかなりの処理能力が求められます。そこで注目されるのが、Googleが新しく発表したスーパーコンピューターであるA3 GPU VMです。発表によると、A3スーパーコンピューターはNVIDIAのHopperアーキテクチャを採用したH100 GPUを8基搭載しており、スループットは従来の3倍に上るとのこと。

心臓部には2TBのDDR5-4800メモリとIntelの第4世代Xeonスケーラブル・プロセッサーを採用しており、8基の各GPUはNVIDIAのNVSwitchとNVLink 4.0による毎秒3.6TBの二分バンド幅で接続されています。



こうした機械学習に特化した専用設計により、A3は最大26EFLOPSのAIパフォーマンスを発揮し、大規模なモデルのトレーニングかかる時間とコストを大幅に削減します。


Googleによると、A3はホストCPUをバイパスして200Gbpsでデータを共有できるGPU間データインターフェースを実稼働レベルで導入した最初の製品になるとのこと。IPU(Infrastructure Processing Unit)と呼ばれるこのインターフェースにより、A3のVMが活用できるネットワーク帯域幅はA2の10倍に向上しています。

NVIDIAのハイパースケールおよびハイパフォーマンスコンピューティング担当ヴァイス・プレジデントであるイアン・バック氏は、「次世代のNVIDIA H100 GPUを搭載したGoogle CloudのA3 VMは、ジェネレーティブAIアプリケーションのトレーニングと展開を加速させます。当社が、Google Cloudが最近開始したG2インスタンスに続きGoogle Cloudと協力し、目的に応じたAIインフラで世界中の企業の変革を支援できることを誇りに思います」と話しました。

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