マラウィ湖産アフリカンシクリッドの魅力

マラウィ湖産のアフリカンシクリッドの魅力は、とても興味深い。

通常、熱帯魚を買う場合は、若魚(大人と同じ形質で、若くて、小さいサイズのもの)を購入して、飼育・鑑賞する。

自分は、大型以外の大衆熱帯魚は大抵、購入してきましたが、ショップでどのような魚を買おうかな?と思い、眺めつつ、考えて、気に入ったものがあれば、購入していくというスタイルで、飼育魚の種類を増やしてきました。

それゆえ、買ってからネットで調べて、その魚のことを理解するという感じでしたので、買ってからが結構大変だったりしています。その大変さや調べているのが楽しい時なのかもしれませんが。

少なくとも、ショップ水槽の色彩、形を見て、この魚欲しい!と思えるものを買っていましたので、水槽の前で構想を練るわけです。

しかし、飼育する魚を見て決めているので、予想と違うというのはありません。見た目の面においては、飼育する熱帯魚は見た目が重要です。

しかし、幼魚の時と成魚の時では魚の色彩が大きく異なるグループがいるのを知りました。

それが、アフリカンシクリッドです。

例え、ディスカスやアロワナがどういう色になるか、楽しみですねーなんて、幼魚が売られていても、普通に購入するサイズだと、既に色、柄は現れていて、こくなることはあっても、大きくは変わらないのが普通である。

テトラなどのカラシン類については、全くと言っていいほど、変わらない。

ほぼ、完成品を購入して鑑賞するという感じだ。

しかし、アフリカンシクリッド、とくに、マラウィ湖産のアフリカンシクリッドは、大きく異なる。

オスの繁殖活動の一環ではあるのだが、成長に伴う色彩の変化が激しい。

全く激しい。特に地味な幼魚から派手なブルーメタリックの成魚という変化は激しすぎる変化である。

このような変化をするのは他にはあまりない。グッピーなどはオスの派手さでかなり鑑賞価値が決まるが、購入するときに雌雄が判別できないというのはまれである。

しかし、このマラウィ湖産のアフリカンシクリッドの場合、購入時には、ショップで安いものをさがすと、ブリード物の幼魚ということになり、とても地味な色合いで、雌雄の区別もつかない。

さらに、名前には、ワケの分からない、長いー、学名がそのまま使われていて、どれがどれやらそれさえ分からない。初心者にとっては、この魚は大人になったら色が変わるのか、雌雄で違いはあるのか?

そんなことは知らないのである。今目の前にある魚が、綺麗か綺麗じゃないか?って、それだけである。

成魚も売っているが、大抵の場合、大衆熱帯魚ショップでは、売れ残りが大きくなってそのまま売られているもので、アーリーなんかがヒレをボロボロにして、いかつい顔で、追いかけまわしている。こんなのにお金を払えるかという状態のものが、幼魚より何倍もの値段で売られている。売れ残りでも、維持費にかかった経費を上乗せしているということだが、普通に考えればおかしい!

しかし、返品という概念がないんだろう。この流通には。仕方がない。

どっちみち、初心者にしては、いくらであってもいきなり、アーリーの成魚を買おうとは思わない。あんな凶暴で大きい魚をかえるか?という心配でいっぱいである。

また、地味な幼魚が、アフリカンシクリッドの美しさを出すなんて到底想像できない。

さらに、ショップに置いて、売れ残った成魚がいても、綺麗に発色していない!美しく見える環境じゃない。ベアタンクで、ぎゅうぎゅうづめじゃ、無理な話だが。

ネットで調べた賢い、アフシクビギナーは、おそらく、その大きさと性格にたじろぐだろう。

あんな30cmとかいるし、性格は殺しあうことは普通だし。

普通に考えたら、30cmで殺し合いをされたら、どんな巨大水槽でもかなわない。

いくらでかくても、かわないだろう。普通は。

おそらく、アフシクを始めるきっかけは、意図しない出来事によって、偶然はじめてしまうとかじゃないだろうか。

しかし、Mixアフシクはそういう偶然を呼び寄せる。幼魚から綺麗で、赤、青、黄色と、綺麗に色が揃っている。とりあえず、3色くらい泳がせるか!

大きさも10cm程度ですということで、60cm水槽が1つ空いてるし、やってみるか!と始めてしまうだろう。

イエローストライプは、オトナになると色が変わってしまいますよ!と言われ、やめ、ほんとうに、赤、青、黄色の改良品種のアフシクを買う。

この場合、自分は早くメタリックにならないかな?と、青いやつに期待をしつつも、全く光らない、じみーな青い色がキープされているままである。

しかも、ムブナという分類、これは草食で小型だし、大丈夫ですよと店員は言う。必ず。

いいわけがないはずだが。日々、鋭い歯でかみ付き合い、弱いものから消えていく。最後に残るのは1匹だけ、途中で、新入りを追加しようものなら、全員から噛み付かれ、翌日には消えている。

結局、最後には1匹のムブナが水槽を占拠して、こんなやっかいなものはもうゴメンだと思う。

アフリカンシクリッドの魅力とは逆に、悪いところを書いてしまったが、最大の魅力は、その気性の荒さも含めた、色彩の変化や、雌雄差、名前のややこしさなどである。

といえる。

名前がややこしいのは、学名がそのまま使われることが多いからで、それはつまり、ちゃんと、野生種の遺伝子を引き継いでブリードして系統維持しているからである。普通は、犬を見ればわかるように、ペット化された生き物は、野生にはいない品種である。全ては、改良品種である。それゆえ、多彩なバリエーションがあるが、所詮、数種類の野生種から別れたものだ。

しかし、アフリカという国はすごい。自然の環境下で、数えきれないくらいの種類の魚が1つの湖に生存している。それゆえ、改良せずに、野生下のそのままの姿を楽しむだけでも、気の遠くなるような品種がある。

卵生メダカもその1つ。これもアフリカがゆえか、派手な色彩、地域ごとの品種をかたくなにブリードして、まもりつつある。

これはある意味、本来の自然のものを手元に置くということで、金魚や、グッピー、プラティー、ブリードディスカスとは違うところだ。

この野生の魅力というものが楽しめるというのが、すごいところ。しかも、安い、ブリード物でも、自然と同じ遺伝子を受け継いだ品種がたくさんある。

熱帯魚でも、改良品種でない、熱帯魚はいったい、どれくらいあるのだろうか?

売られている、熱帯魚では、数少ないであろう。

もちろん、アフシクにも改良品種はたくさんある。しかし、それはMixアフシクくらいで、基本的には、野生種のブリード物が多い。それが、名前がややこしい、学名にこだわる理由である。

また、気性が荒い、殺し合い、と言っても、小さいムブナ類のほうが危険であったりする。大きいので気性があらいのもあるが、歯はない。歯があって、かみ突きまくりというのは、カラシンでいえば、ピラニアだ。それレベルのものが、Mixあふしくと言って初心者に安く売られているのは、疑問だが、そいういった、ムブナ類ではない、ハプロクロミス類であれば、歯は基本的にない。しかし、魚食性だという。つまり、魚を食べるということは、ムブナより立ちがわるそうにおもえる。だが、実際、野生下で育った個体じゃなければ、人工フードを食べている。

つまり、小魚に手を出した経験はないのである。それは、一度味を締めてしまうと、わからないが、魚は餌ではないという記憶がうえこまれている。

また、口に入るサイズの魚を入れない限り、食べてしまうということはないだろう。

他の魚種だって、小さい魚は食べられてしまうので、その辺は普通の魚と一緒だと考えられる。

また、大型になる!ということは、飼育者次第である。

飼育者が餌を与えるから大きくなる。それは与えざる得ない事情があっても、飼育者があたえて、大型にしているから、大型になっているということである。

実際、1mクラスの魚を購入したわけではないので、20cmとあっても、実際に20cmに到達するのは、フルに餌を与えて大きくした場合である。さすがに30cmと書いてあると、結構でかい感じはあるが。

その辺の大きさの感覚がわかるまでは、結構手が出せない。

アフシクで大型、小型たかどっちつかずの場合、小さくないとだめみたいな感じで、大きくなったことに怒りをぶつけてくる客がいるから、最大サイズを書いているかもしれない。そのサイズをそのまま鵜呑みにして、考えると、どう考えても、まともに買えるサイズじゃないと思ってしまうが、しかし、1種飼育してみるとわかるが、成長スピードはそれほど激しいという感じではない。

それに、20cmの魚と30cmの魚では、長さは10cmの差だが重さでは10倍くらい違うことがある。10cmからだともっとだろう。つまり、それだけ、餌を与えていないと大きくならない。

だから、逆に大きくなって困って、水槽を大きくしたらまたさらに大きくなって、また大きくして、また、水槽を大きくして、数を増やしたくなって、あいた水槽で大きくして、また数多く混泳させて、また狭くなり、また大きく水槽を買い替え、狭い日本の住居では部屋が水槽になってしまうという例が非常に多い。

そういう、飼い方も楽しみだと思うし、大きくすることや、水量が多いことに自慢を感じるのだろう。それは性格なのだろうと思う。

自分もそれほどの魚種を飼っているわけでないので、大きな事は言えないが、大きくなる度合いとしては、オスカーを例にあげると分かりやすいと思う。

オスカーはとにかく、食い意地がはっている。吐き出しても餌を食べる。どんどん食べる。

しまいに、同居魚に喰らいつく。喉につっかかっているのに、食べようとする。

ストレーナの水流が魚の動きだと勘違いし、噛み付いてくる。

これはブラックバスや、マスと同じ域だと言える。

マスも、ブラックバスもものすごい勢いで成長する。そして、ものすごい勢いで、餌を食らう。

これが大きくなる魚の特徴であり、大きくなるスピード=餌の食べる量といえる。

アフリカンシクリッドの魅力を楽しむためには、大きさにひるむ必要は余り無いのではないかと思います。

そして、アフリカンシクリッドの魅力はなといっても、色彩の出現でしょう。オスの個体はとてもきれいな色を発色していきます。これがまた、同じような色の組み合わせなんですが、魚種により、その組み合わせパターン、形がことなっていて、その違いに見入ることは間違いありません。

また、あのじみーな幼魚をかい込んでいて、一部でも色合いが見え始めた時の喜びは、雌でなく、雄であったという喜びも、あわせて、なんともいえないものがあります。

そういう私も、そのアフリカンシクリッドの色彩の美しさというのは、写真やショップの水槽では見られない、分からない、と思いました。

自分でかってみないと、見えない部分ってあるわけです。

動いていて、光の角度によって、ひろがかわって見える、色はいくつもの色彩が複雑にからみあっていて、決して単色ではない。写真にとると、その瞬間、角度の色合いは再現できますが、実際、魚にはいろいろな色素が混じり合って、魚体の凹凸によって、微妙に変化していたりして、生体を目の前でみるのとは大きくことなります。

全然違うと思っていいくらいです。それくらいきれいです。

これでアフリカンシクリッドの魅力は言い尽くせたでしょうか?

いや、まだまだです。アフリカはブームになるかもしれませんね。これからの時代。シクリッドに限らず。

ある意味、最先端のホビーですよ。きっと。