ポーターの戦略論-5つの力+α

産業の競争を駆動する5つの力とは?第六番目のフォースとは?

マイケル・ポーター(Wikipedia)は、企業戦略におけるイノベーションの分析に、産業界の競争を駆動する5つの要因と技術、また、企業が行なわなければならない、幾つかの基本戦略からの選択と技術との明確な関係を示した。さらに、イノベーションの「リーダー」となるか「追随者」となるかの2種類の市場戦略の選択を示している。[1]

本ページは5つの力(要因)に関する。

産業界の競争を駆動する5つの力とは以下であり、それぞれが機会と脅威を作り出している。

    1. サプライヤー(原料・部品・設備)との関係
    2. 買い手との関係
    3. 新規参入者
    4. 代替製品
    5. 既存企業間の競争状況

このモデルは種々の書籍、サイトで下図のように示されている。(図は[2] p8 図表1.1 業界の収益性を決める5つの競争要因 を参考に作成)

5つの力と技術の関係についてティッドら(2004)([1],p94など)は以下のようにまとめている。

買い手に対するサプライヤーの交渉力

    買い手へのインプットに影響を与えるような基本的イノベーションは、サプライヤーの交渉力を増大させる。サプライヤーへの技術的依存度を低下させるようなイノベーションによって、買い手の交渉力が増大する。

潜在的な新規参入者および代替製品

    規模の経済の低下や代替製品の出現は、新規参入者の脅威を増大させる
    技術的な標準への“ロックイン(囲い込み)”や、特許などによって、新規参入者の脅威は減少する。

既存企業間の競争

    イノベーションによって独占的地位を確立することができる。また、模倣によって独占的地位を破壊することができる。

 

  • 第六番目のフォース

これら5つの力に加え、「補完的生産者」が第六番目のフォースであることも言われている。[3] 

補完的生産者とは、競争相手とは対極にあり、自社の製品の価値を高めてくれる企業や人を指す。例えば、ハードウェアにはソフトウェア、インターネットにはブロードバンド、自動車には自動車ローン、はたまた、ホットドッグとマスタード、などである。こういった概念は「コーペティション(Co-opetition)」と呼ばれ、「競争(Competition)」と「協調(Cooperation)」を同時に謳うコンセプトである。

  • この概念の参考には[3]の第一章、もしくは、B・J・ネイルパフ, A・M・ブランデンバーガー, 嶋津祐一, 東田啓作 訳『コーペティション経営―ゲーム論がビジネスを変える』日本経済新聞社, 1997.に詳しい。
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*ポーターの提示は、合理主義的な主張の典型であるが、示されたいくつかのフレームは極めて有効なもので、ポーターの理論に対する反論・弱点の議論は活発である。

 

 

 

<参考文献>
[1] ジョー ティッド他, 後藤晃,鈴木潤訳『イノベーションの経営学―技術・市場・組織の統合的マネジメント』, NTT出版,2004,pp92-95.
[2] M・E・ポーター, 土岐坤, 服部照夫, 中辻万治 訳『競争優位の戦略―いかに高業績を持続させるか』,ダイヤモンド社,1985.
[3] B・J・ネイルパフ, A・M・ブランデンバーガー, 嶋津 祐一 訳 『ゲーム理論で勝つ経営 競争と協調のコーペティション戦略 日経ビジネス人文庫 (日経ビジネス人文庫)』日経ビジネス文庫,2003.p6序文より。