製品ライフサイクル

製品ライフサイクルの概念

プロダクトやプロセスにはライフサイクルが存在し、登場後、成長、成熟を経ていく。このライフサイクルのにはいくつかのステージが存在し、イノベーションにおいても各ステージは、重視される。
*以下の段落は[1]を参考。

    例えば、初期のフェーズにて多数の異なった製品をもたらす、プロダクト・イノベーションが急速に頻繁に発生する。それらはいくつかに収斂され(淘汰され)、後期のステージでは、製品コンセプトは安定し、変化の変動は小さくなり、イノベーションの焦点はプロダクトからプロセスへ移行する。

製品ライフサイクルに関して、下の図は代表的なものであり、各ステージの売上、収益(利益)の推移を示している(参考は[2])。

消費者は、イノベーションをどの時期で採用するのだろうか?その区分はおおよそ以下である。([2],p213)

    導入期での採用者は、イノベーター(Innovators)と呼ばれる(割合は2.5%)、成長期入ると、初期採用者(Early Adopters:13.5%)、成熟期には前期、後期追随者(Early,Late Majorities:各34%)、衰退期には、遅滞者(Laggrds;16%)である。

ただ、ライフサイクルのパターンや消費者の選好は取り扱う製品やサービスにより異なるが、その把握は重要である。

    例えば、「人と異なる」製品を好むファッション業界や成長期に入る段階で多くの企業が淘汰されるハイテク業界、電化製品など広く普及を望む電機業界など、ライフサイクルのパターンや利益最大点は大きく異なる。

 

  • ライフサイクルの概念への批判

その批判としては、概念的なものであるため、実際には、種々のパターンの形や期間は把握しにくいことに収斂される。このため、一意的に捉えるのではなく(企業のマーケティング・プログラムを適合させる独立変数として取り扱うなど)、製品志向の実態として捉え、企業は、市場の発展の推移を具体的に把握する必要がある。(文中のハイライトは原文にルビ)[3]

企業は、製品が各段階を経るに従い、製品/価格/流通/広告/販売促進の各戦略を立案し、実施しなければならない。この理由は、上記の消費者の区分のように、各段階での消費者は「別の顔」をしているからである。

 

  • 導入期から成長期での「キャズム」

特に、消費者の区分においては、イノベーターからアーリーアダプターなど、各区分間が連続的には普及しないことがある。そこには断絶された「溝」があり、特にハイテク産業では市場で言えば、導入期の初期市場から、成長期へ移行する際に出現する。ムーア(2002)*はそれを「キャズム」と呼び、ハイテク産業を中心に研究し、これを超えることを最重要課題としている。[4]

*原著『Crossing the Chasm』は1991年に初版の出版。
用語の解説はこちら(Wikipedia)

 

  • イノベーションのジレンマ

ライフサイクルを経ていく過程で、時にイノベーションのジレンマに悩むことがある。技術の変化によって、当該企業周辺の環境をどれだけ変化させているかは、常に監視しなければならない。

また、製品、サービスは必ずコモディティ化(Wikipadia)する。ライフサイクルでは成熟期にあたる。このとき重要なのは、利益の源泉がどこに移ったかである。特に、多くの研究開発者はコモディティ化の様相が見え始めた時には、脱コモディティ化、もしくは技術の次なるSカーブ(産学連携キーワード辞典)を意識した研究を始めている。

 

企業にとって重要なことは、イノベーションを製品ライフサイクルの観点からマネージする際に、イノベーションは特定の人ものではなく、企業全体のこととして捉えることである。それは、ポーターのバリューチェーン(Wikipedia)で言えば、ライフサイクルを経るにつれ、バリューを高める主力活動部門が異なるためである(研究開発者が成熟期に主役でないように)。

 

<参考文献>
[1] ジョー ティッド他, 後藤晃,鈴木潤訳『イノベーションの経営学―技術・市場・組織の統合的マネジメント』, NTT出版,2004, pp14-15.
[2] フィリップ・コトラー, 恩藏直人監修,月谷真紀 訳,『コトラーのマーケティング・マネジメント 基本編』, ピアソン・エデュケーション,2002, p212,図9-4 売上と収益のライフサイクル より。
[3] フィリップ・コトラー, ケビン・レーン ケラー, 恩藏直人監修,月谷真紀 訳,『コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント 第12版』, ピアソン・エデュケーション, 2008, pp415-416."製品ライフサイクルの概念に対する批判"より。
[4] ジェフリー・ムーア, 川又政治 訳, 『キャズム』, 翔泳社, 2002.