==認知==
・特徴:読み物・豊富な事例
・著者:越智 啓太
・発行年:2014年11月30日
・出版社:化学同人
・認知心理学における記憶研究では、記憶は変容するものであることが知られています。この本では、様々な実例を通して(目撃証言、体験しなかった出来事、生まれた瞬間の出来事、前世の記憶。エイリアンに誘拐された記憶など)、記憶変容のメカニズムを紐解いていきます。興味が惹かれる実例が豊富に使われていて、読み物としても楽しめました。
==感情==
■「感情心理学入門」
・特徴:専門書・読み易い
・著者:大平 英樹
・発行年:2010年12月15日
・出版社:有斐閣
・感情に関する研究成果を、生物学、感情の機能、進化、認知、発達 、言語、病理、健康といった観点でまとめた本です。進化心理学や発達心理学、臨床心理学といった切り口は一般的ですが、感情をキーにこれらの研究分野を横断する本は、なかなか無いと思います。感情心理学に興味のある方にはお勧めです。文章も平易で読み易かったです。
==心と遺伝==
■「心はどのように遺伝するか」
・特徴:専門書・新しい視点
・著者:安藤 寿康
・発行年:2000年10月20日
・出版社:講談社(ブルーバックス)
・心の遺伝について研究する行動遺伝学の研究成果をまとめた本です。行動遺伝学とは、一卵性双生児や二卵性双生児、その他の兄弟の行動を統計的に分析し、行動が遺伝子の影響をどの程度受けているかを研究する学問です。この研究から、知能のほか、外向性や職業興味といった性格も、ある程度遺伝子の影響を受けていることが分かってきました。一方で、表現される行動は当然ですが遺伝子で100%決まる訳ではなく、知能について言えば、子どもの特性に合わせた教育が有効であることが紹介されています。一般的な心理学研究とは異なる視点が興味深い一冊です。