・特徴:専門書・辞書的
・著者:上淵 寿
・発行年:2012年11月30日
・出版社:金子書房
・動機づけ心理学の基礎、様々な動機づけ理論の解説、そして動機づけの周辺領域まで、動機づけに関する数多くの事柄をコンパクトにまとめています。動機づけ心理学に興味のある方は、辞書の様な感覚でこの本を手元に置いておいてはいかがでしょうか。私は、レポートを書くときの引用文献として、とても重宝しました。
■「感情的動機づけ理論の展開」
・特徴:読み易い・新しい視点
・著者:速水 敏彦
・発行年:2012年3月20日
・出版社:ナカニシヤ出版
・近年の動機づけ理論は、認知の果たす役割に注目したものが主流ですが(期待×価値理論など)、この本では、感情が動機づけに果たす役割に着目し、新たな研究領域として提案しています。従来と異なる視点を求めている方には、参考になるかもしれません。また、著者自身の生活や、身の回りの事物を観察、分析するくだりは、妙に親近感を感じて、読み物としても楽しめました。
■「欲望を知る」
・特徴:専門書・新しい視点
・著者:福田 正治
・発行年:2013年2月28日
・出版社:晃洋書房
・本書では、動機や欲求等の心的機能を幅広く「欲望」として捉えています。そして、過去から現在までの欲望研究の歴史を、哲学や心理学、脳科学のそれぞれの分野で振り返ります。最後に、脳科学の視点から、脳の階層性と欲望の階層性の関係について、仮説を提起しています。心理学と脳科学の知見を結び付けていくアプローチに興味がある方にお勧めです。一方で、情動や欲求等の研究について「それらの研究は心理学から脳科学に移行したきらいがある」と記述するなど、時代は脳科学、と言ったニュアンスの文章が散見されます。私は、心理学と脳科学はソフトとハードの研究であり、車の両輪だと考えているので、この様なスタンスは個人的には好みませんが、本自体は納得できる内容でした。