ライフスタイルとは、その人が人生に与える意味(人生の目的)、追求する目標、課題へのアプローチの仕方、感情的な性質などを網羅した概念です。
例えば、人生は成長することだと感じていて、前向きに課題に取り組む人が居るかもしれません。あるいは、人生は他人に勝つことだと感じていて、攻撃的に振る舞う人が居るかもしれません。人生は自分にとって辛いことの連続だと感じていて、ただただ危険な出来事や人間を避けることを目標にしている人が居るかもしれません。こういった考え方や行動の特性がライフスタイルです。
ライフスタイルは、その人が受け継いだ性質と、環境から受け取った印象から形成され、4~5歳までには確立するとされます。
同様の環境で育ったとしても、その人が自分の経験をどう解釈するのか、人生にどういう意味を与えるのか、自身の身体や環境からどの様な印象を受け取るのか、によってライフスタイルは違ったものになるとされます。また、ライフスタイルは、その人が抱いている目標の結果として生じるものだとも言います(例えば、他人を打ち負かしてでも勝つという目標が、他者を蔑む、攻撃的なライフスタイルを作り出す)。
つまり、ライフスタイルは、因果論的に形成される側面もありますが、自分で選択したものでもあると言うことができます。このことから、①自身のライフスタイルの原因を環境のせいだけにはできない、②ライフスタイルは変えることが可能である、と言うことができます。
また、ライフスタイルは、その人の感情や行動、身体に影響を与えるとされます。従って、不適切な感情や行動を変えたいのなら、ライフスタイルを変える必要があります[ライフスタイル→感情・行動・身体]。
ある人のライフスタイルは、その人の環境に対する姿勢(見方、聞き方、何に注目するか)からうかがい知ることができます。他にも、早期回想(子供の頃の初期の記憶。その人のライフスタイルによって、その人が何を回想するか、また、回想に対する解釈が異なる)、夢、家族布置(何番目の子どもか)などが、その人のライフスタイルを理解する手掛かりになると言います。
例えば、自分の周囲の出来事には常に落とし穴があると感じている人は、早期回想として子供の頃の怖い体験を思い出すかもしれません。数多くある体験のある中から、不安を感じる体験を思い出すのです(この場合、本当にあった出来事かどうかは重要ではありません)。また、この人は、自分の失敗や他人の失敗にばかり注意が向くかもしれません。
また、ライフスタイルが変われば、環境に対する姿勢や早期回想なども変化するかもしれません。
心理学における、ライフスタイルに類似した概念としては、「人格(パーソナリティ)」や、認知療法における「認知」「信念」「スキーマ」などが挙げられるでしょう。
認知療法では、不適切な信念が不適切な思考を生み、その思考が不快な感情や身体反応、問題行動を引き起こすと考えます。この考え方は、アドラーのライフスタイルの考え方とよく似ていると感じます。