交通事故解決ガイド

平成20年度、新潟県内で発生した交通事故は15724件で全国ワースト7位です。

1事故の関係者(加害者・被害者合計)は、通常少なくとも2人で、合計すると3万人を超すことになります。新潟県の人口237万人比較で1.26%となり、毎年100人のうち1.26人が事故に遭遇することになります。私たちは、事故の軽重、加害者・被害者の別はともかくとして、平均すると79年間に1回の割合(ほぼ一生に1回)で交通事故に遭遇することになります。

誰もが自分は事故に会わないと信じているのですか、悲劇は突然やってきて、ときにはあなたの人生を狂わせてしまいます。

〔チョッと待って下さい〕

突然の事故で、仕事もできなくなり、生活に困り、相談する人も無く、相手方あるいは保険会社の提示するままに示談をしてしまったという方は沢山おられます。

保険会社は、通常保険会社独自の基準に基づき損害査定をおこない、被害者に提案しています。ところがこの査定金額は、裁判所の判決や和解できめられる賠償額とはかなり離れているのです。

本来、保険会社の提案額は、客観的な合理的基準に基づきなされ、どこでだれと交渉しても同じ金額になるべきなのです。

ところが現実は、

① 当初本人に示された金額

② 弁護士が代理人となって交渉した段階での金額

③ 弁護士会の示談斡旋や裁判に移行した場合の金額

には、大きな違いがあるのです。これは不合理なことですが、現実は、弁護士に相談や依頼した場合の方が示談金額が多くなっているのです。

弁護士は、裁判所の判決などを基にして作成した「損害算定基準」(日弁連交通事故相談センター作成)をもとに、さらに個別事情を加味して損害額を計算し相手方と交渉しているのです。

そもそも保険会社側と被害者側の弁護士では、損害額計算のもとになる物差しが違っているのです。勿論日弁連の損害算定基準にも裁量の余地があり、個別事情が大きく影響する場合もありますが、①から②③と移行するにしたがって、日弁連基準に近づいた和解金額となることが多いのです。なお③で判決となった場合は、損害金(年5%)と弁護士費用(通常10%)が加算されます。

〔こんな場合には弁護士に相談を〕

交通事故については、様々な相談機関がありますが、こんな場合には迷わず弁護士に相談して下さい。

・交通事故で怪我をしたが、どのように対応したら良いか全く判らない。

・交通事故の過失割合が良く分からない。

・治療費負担について自分の保険を使用した方が良いかどうか判らない。

・生活費が足りないので内金請求をしたいが保険会社が協力してくれない。

・加害者に賠償請求をしたいが損害額の計算ができない。

・相手方(保険会社)が賠償額の提示をしてきたが、提示額が妥当かどうか判らないまた提示額に納得できない部分がある。

・被害者側の過失が大きく、自賠責が満額支払われるかどうかわからない。

・後遺症認定が微妙(認定の可否及び認定級)であり、症状及び日常生活について、医師の診断書の追加や報告書を提出した方が良い場合

・全体の示談が長引きそうで生活に不安があるので、自賠責保険だけを先に請求したい(被害者請求)。

・後遺症認定が納得できないので異議申立をしたい。

・修理費が車両価格を大幅に上回ったため車両価格以上の賠償をしてくれない。

・賠償額の見込みと弁護士に依頼した場合の費用が判らない。

〔相談と委任〕

弁護士に委任したいが「費用が心配だ」「費用対効果はどうか」などの疑問が湧いてきますが、相談した際にあわてて委任する必要は全くありません。

⑴ 委任する場合は、次の点に注意して下さい。

① 相談をしても委任するかどうかは全く貴方の自由です

② 相談の際に示談の見込みなどについて充分説明を受けて下さい。

③ 相談の際に、弁護士費用について充分説明を受けてください。必要な場合は弁護士費用の見積書の作成を求めることかできます。

委任する場合は、原則として委任契約書(費用についても記載があります)を作成しますので、内容を良く確認した上で契約書を作成してください。

⑵ 委任の方法

委任すると弁護士は、相手方(保険会社)と交渉し、示談をします。話し合いで示談ができない場合は、弁護士会の示談斡旋や調停・裁判に持ち込まれることになります。

弁護士に委任する場合は、最初に着手金そして解決したときに報酬を支払います。ところが交通事故のように、被害者が経済的に困り、他方で示談した場合に確実に保険会社から支払われる場合は、着手金を少額にして、解決した段階で着手金・報酬の一括清算をする方法もあります。

後遺症発生や死亡事案で、解決が延びて困っている場合は、全体の示談をする前に自賠責分だけを請求することもできます(被害者請求)。相手方との示談がなかなかできない場合にも、まとまった賠償金(死亡で最高額3000万円)を先に受取ることができます。

弁護士 足立定夫