表題・その音の主・演奏曲目・コメントを演奏順にご紹介します。
なお、音の主はハンドルネームで表記されています。
ダ・ヴィンチの肖像●ジョン・レオン
演奏曲目/自作自演 「レオナルドのため息」
絵画の巨匠で万能科学者として知られる「レオナルド・ダ・ヴィンチ」。芸術・科学・数学・天文学・建築など、極めて広い分野に足跡を残した彼は、音楽の演奏や作曲もおこなっていた恐れ多い人物だった。まさに天才の代名詞とされる彼も、未完成の絵画が多数あったり、計画が頓挫したり、科学は教会から異端扱いされるなど、苦労は多かったはず。そんな彼の人間的な部分を想像しながら作曲しました。どうぞお手柔らかに。
ポップアート的入門●ティンカーベル
演奏曲目/自作自演 「トロール・アンド・ロックンロール」 作品2
ポップアート(Pop Art)は、1960年代に全盛期を迎えた大衆向け・大量生産のアートジャンルです。その代表格“アンディ・ウォーホル”は「僕を知りたければ作品の表面だけを見て下さい。」と徹底して芸術家の内面をなくし、表面的であろうと努めていました。私はこの言葉に色々と思うところがあり、実際にアプローチしようと考えました。アニメでお馴染みのメロディと、ロックンロールをフュージョンする方向で現在構想中です。自由に我流に音の図画工作を楽しみたいと思っています。…(続く)2008/5/30
ピカソクラシック●黒猫
演奏曲目/エリック・サティ作曲 「ジムノペディ 第2番」 「官僚的なソナチネ」
突撃インタビュー:カフェ”黒猫”ご主人 サティを語る @パリ、1918年
『・・・サティとピカソ? あぁ、よく連れ立ってウチの店に来てるよ。2人を引き合わせたっていう詩人のジャン・コクトーと一緒にね。なんてったって、ウチはモンマルトル界隈で1番の芸術家の社交場だからね!いいかい、他の店と違ってまず、ウチは・・・・(省略)・・・・なんでも、一緒にバレエの舞台を作るらしいよ。美術と音楽、世界は違えど型破りな2人だから、どんな作品になるか想像もつかないね。ただ俺の見当じゃ、サティは相当ピカソに惹かれてるね。ピカソはすでに有名人。サティは、はっきり言って変わり者だし、ちょっと個性派過ぎると思われてる。俺も変わり者だけど、根はいいって・・・・(削除)・・・だがね、サティだって負けちゃいないよ。知ってるかい、あいつ30年前、20歳ちょっとの頃には神秘主義を崇拝して、不思議な曲を作ってたんだよ。「ジムノペディ2番」なんて、楽譜に「ゆっくり、哀しい」って書いたらしいぜ。ま、雰囲気は強烈だよ。若い時から頑固な奴だったんだな。それが最近じゃどうだい。楽しげな曲をずいぶん出してるよ。特に俺は「官僚的なソナチネ」が好みだね。ストーリーがあるんだよ、勤め人の1日ってな。第1楽章ではルンルン出勤して、第2楽章でふと、給料アップと買いたい物のことぼんやり考えて。第3楽章ではクレメンティのソナチネの音色に、思い出したように感性が出てきて、勤め辞めちゃうんだってな!!俺は一生縁がないが、勤め人も楽じゃないな(笑)。・・・できたら、昔と今を聴き比べてみてほしいね。ほらこうやって、サティは俺を楽しませてる。斬新な方法で、クラシック界に風穴を開けてるんだ。サティは、俺にしちゃもうピカソだよ。奴は”音楽のピカソ”なんだ!!』
ロココの灯影●音のペテン師
演奏曲目/モーツァルト作曲 「幻想曲 作品475」
え~ご覧いただいておりますこちらの作品は、油彩で描かれたロココ時代の肖像画でございます。不気味に彩られた背景の中から、優美で鮮やかな光と共に人物が浮かび上がっている様子がお分かりいただけると思います。このように光と影のコントラストによって人物を神々しく表現する手法は、宮廷や貴族のサロン文化の流行だったようです。それでは、ゆっくりとご鑑賞下さい。
シャガールのステンドグラス●すなこ
演奏曲目/ドビュッシー作曲 「アラベスク 第1番」
聖書に出てくる「天地創造」。フランスの近代画家マルク・シャガールは、【天地創造の7日間】というステンドグラスの作品を制作した。これは『シャガール・ブルー』と呼ばれる神秘的かつ幻想的なキラキラした美しいブルーによって描かれている。私はドビュッシーの【アラベスク】の曲中に、このシャガールの作品のイメージが浮かんでくる。アラベスクとは唐草模様の事で、それが転じて装飾的、幻想的な内容の楽曲を指すようになった。この曲は、音が絡まり合って宙を舞いながら、なめらかなリズムを作り出していて、正に唐草模様だ。私はシャガールのステンドグラスに思いを寄せながら、アラベスクしたい。
だまし絵「ダ・ヴィンチの★」●からくり囃子
演奏曲目/スティーヴ・ライヒ作曲 「Piano Phase」/連弾
『ダ・ヴィンチの星』とは、レオナルド・ダ・ヴィンチが発見した図形のことである。正多角形の各面に正多角錘を貼りつけた星型の立体であるこの図形は、モロッコの伝統的な照明デザイン(ランプシェード)などにも見られる。我々のステージでは、「連弾の、極めて正確な規則の中で起こる不規則な音のズレを聴くことによって、あたかも2つの『星』がそれぞれに回転しているような聴覚的錯覚を起こす」ということをネライとしている。映像という視覚的なものが浮かんでこなくても良い。つまりは「音のズレと一致の反復」をみなさんにお楽しみいただくだけで充分なのだ。演奏者2人のフェイズ・シフティング(位相変異プロセス)は、演奏者にとって緊張の渦の連続である。
風景画「夜と海と月と…」●エリー
演奏曲目/スクリャービン作曲 「幻想ソナタ 作品19」
スクリャービンは、作曲する中で、音符の符尾を下に伸ばすか、上に伸ばすか、比較的どうでもよい事についても、熟慮していたそうです。厳格で神経過敏だったスクリャービン。そんな彼の心を休めさせる風景、それが大きくてあたたかい海だったのかもしれません。さぁ、あなたも、月の光が優しく差し込む海の風景画の前に立ってみてください。南国の夜の風があなたをそっと包み込むでしょう。
絵本「おどる12人のおひめさま」●ベベ
演奏曲目/クープラン作曲 「恋のうぐいす」/シューベルト=リスト作曲 「ウィーンの夜会 第7番」
――むかし、ある王国に、素晴らしくきれいな12人のお姫様がおりました。毎晩、お姫様たちは、ひとつの部屋に12のベッドをずらりと並べて休みます。ドアには王様が鍵をかけます。ところが、朝になると、お姫様たちの靴は、まるで一晩中踊り明かしたみたいに、ぼろぼろになっているのでした。――
「おどる12人のおひめさま」の世界へようこそ。美しい12人のお姫様達は、夜毎こっそりベッドから抜け出しては、秘密の森で恋の舞踏会を繰り広げます。イギリス人作家エロール・ル・カインの絵本にインスピレーションを受けた、音と絵の幻想空間。クープラン×リスト×ル・カインが織り成すコケティッシュな世界をお楽しみください。
浮世絵●Anzu
演奏曲目/自作自演 「浮世に歌舞く華」
――浮世の、歌と舞と華と伎。豪華絢爛な扮装と舞台演出の醍醐味。日本の美が醸し出す、気迫と色気に酔うがごとく、ピアノの華となる。それは、花魁。――
江戸時代に発達した浮世絵。その世界には、当時人気のあった花魁や歌舞伎役者、風景などの様々な風俗が描かれている。海外にも影響を与え、ヨーロッパの画家達(ゴッホ、モネ、ドガ、ブラックモン)や音楽家ドビュッシーも、その表現豊かな線や簡潔な色使い、自由な発想の図柄など日本独特の表現方法に強い影響を受けたようだ。
サンバする水彩●ジョン・レオン
演奏曲目/カプースチン作曲 「アリー・バロッソの『ブラジルの水彩画』によるパラフレーズ」
ああ、ブラジル。ブラジル色のブラジル。。。
版画~Bali,Spain,France●モナリザ
演奏曲目/ドビュッシー作曲 「版画」より「塔」「グラナダの夕べ」「雨の庭」
『自前で旅行をするすべがない時は想像で埋め合わせをするしかありません』。ドビュッシーが残した言葉です。「版画」を彼に書かせたのは印象ではなく創造的な想像からです。夢想からたちのぼる心象の歌(マラルメ)を心の内で聴き、その歌を聴き手の心の内に呼び起こす為に、音を選び絶妙な暗示にとんだ音で曲をつくりあげました。ぜひ、皆さんの心の内に、その風景、心象の歌が呼び起こされますように!
詩と音楽が紡ぐ風景画●コーリャ
演奏曲目/チャイコフスキー作曲 「ドゥムカ 作品59~ロシアの農村風景~」
19世紀ロシアの芸術家たちの関心を惹きつけた「ロシアの農村」。それは人々の辛い生活を象徴する場であると同時に、郷愁を誘う美しい安寧の場でもあり、芸術家たちは深い慈しみの心をもって農村を描いてきた。その中からまずプーシキンの詩「農村」の一部をロシア語で朗読しよう(下の拙訳参照)。この詩は後半で当時の専制政治への痛烈な批判が展開されるのだが、今回は農村への愛を謳い上げた冒頭部分のみ。それを引き継いでチャイコフスキーの「ドゥムカ(ロシアの農村風景)」を演奏する。哀愁を帯びた旋律で農村風景を静かに描き出しながら、途中から躍動感あふれる農民の踊りへと移行していく。芸術家たちが愛した「ロシアの農村風景」を朗読とピアノによって少しでも鮮やかに描き出せればと思う。
~プーシキン「農村」より(演奏者本人:訳)~
やあ、人けない片田舎よ、安らぎと勤労と昂揚の場よ。私の日常が目に見えない奔流となり幸福と忘却の懐に抱かれながら流れていく場だ。私はお前のもの。私は魔女どもの罪深い宮殿、豪華な宴会や娯楽、放蕩を捨て、そのかわりに樫の木々の平和な葉ずれの音、野のしじま、思索の友たる自由な暢気さを選んだのだから。私はお前のもの。この花咲く涼しげな暗い庭を愛し、芳しい干草が積まれ、きらめく小川が茂みの中でざわめくこの草地を愛しているのだから。いたるところ眼前の光景は変化する。二つの湖の紺青の水面が見え、ときおり漁師の舟の帆が白く光る。湖の向こうには連なる丘、縞模様の畑地。そして遠くには点在する百姓家、湿った岸辺にさまよう家畜の群、煙をなびかす穀物干し場、そして羽の回る風車小屋。いたるところに豊かさと勤労の印が見える……。
ナスカの地上絵●Tiara Tierra
演奏曲目/ファジル・サイ作曲 「黒い大地」/ストラヴィンスキー作曲 「火の鳥」より/連弾
大地の鼓動に耳をすませることを 忘れてしまってはいないか
人間に元来備わった柔らかな知性と流転する感情 それらをしっかり噛みしめているか
声なき声を感じること・・・それはいつか必ず煌びやかな紅となって、昇華の時を迎える
聖画●ゴッホ
演奏曲目/J.S.バッハ作曲 「ゴールドベルク変奏曲より」
「聖律」というべきでしょう。バッハは、音楽は神の為に、そして人の心を喜びで満たす為に鳴り響く、と考えていました。その信念の基で生まれたバッハの音楽は、今日までルターとルーテル教会の福音信仰を音楽によって証したものとして、大切に継承されています。そして、人の心まで伝わっているのです。「バッハの放つ信仰の力は、私をより一層謙虚にさせ、より一層幸せにする。(指揮者カール・シュトラウベの言葉)」。
影絵のように●阿波おどらー
演奏曲目/加藤麗子作曲 「阿波魂 今宵の月と 夏祭り その道中の 陽気なこと~」作品1/2台ピアノ
やっとさ~ やっとやっと~!
一かけ二かけ三かけて 四(仕)掛けた踊りはやめられない
五かけ六かけ七かけて 八(や)っぱり踊りはやめられない
ロックンロールの兄ちゃんも たまには半被でお囃子だ
夜の墓場に鳴り響きゃ 妖怪参上踊りだす
世界は平和だ 夏は愉快だ よいさ~ あ~やっとさ~♪
Tear Art●amico di amica
演奏曲目/スクリャービン作曲 「FANTASIE 遺作」/2台ピアノ
パッと見ると暗くて重々しい感じなのに、近づいて見てみるとキラキラしたものがあっちにも、こっちにも!それに左から見るのと右から見るのとでは角度によって色が変わって見える・・・何とも不思議な絵だね―それがこのスクリャービンの「FANTASIE」の世界なのだ。「Tear Art」のTearには”涙・水滴”(美)と、”猛烈、すさまじい”(暗)の相反する意味がある。その2面が織り交ざった「FANTASIE」の魅力を、我々amico di amica が案内人となってご紹介しよう。さぁ、絵の前に立ってごらん。
キャンバスの空白●マトリョーシカ
演奏曲目/ローゼンブラット作曲 「宮城ファンタジー」/2台ピアノ
もしも塗り残しみたいな、しかし未完成ということではない「空白」が、「間」という音楽を感じさせる要素の一つだとしたら、その「空白」もまた‘目で観る音楽’といえよう。さて、今回演奏する曲目は、2台のピアノセッションのためにアレクサンドル・ペトローヴィチ・ローゼンブラット氏(1956~)が2006年に作曲した作品だ。実は2004年に彼が作曲した【(通称)ジャパニーズ・ファンタジー】の素材選びの際、我々の一人が彼に邦楽十数曲を提案した。その中には滝廉太郎作曲の【荒城の月】も含まれていたが起用されず、それから2年後に作曲されたこの【宮城ファンタジー】の中で、宮城県民謡【斉太郎節(さいたらぶし)】と共に登場することとなった。これらの邦楽メロディが引用でおさまるわけもなく、相変わらず彼の魔法にかかって新しいオリジナル作品として生まれ変わっているが、いつものジャジーな趣は少ない。聴いてからのお楽しみ♪ということにしよう。以前から日本の伝統文化に特別な興味を抱いていた彼が2005年3月に初来日して以来、日本に対する好奇心が更に増したことは言うまでもない。次回はぜひ「(仮称)日本ゆかりのメロディによる子供のための小品集」でも作曲してほしいものだ。ところで最近、日本女性の間でブームになっているロシアのマトリョーシカ (Матрёшка)という入れ子細工の置物だが、実はこのマトリョーシカのルーツをたどればそこは日本。今回演奏される作品も、日本とロシアの間の国際文化交流の中で正にそれと同じルーツを経た作品である。6分ほどの僅かな演奏時間の中で、二人の奏者による呼応から色んな「間」をお楽しみいただければ幸いである。
6つのデッサン●エリー/ゴッホ
演奏曲目(曲順不同!)/ショパン作曲 「エチュード集 作品10-1,4, 作品25-2,3,5,12」/二人リレー
ショパンの習作(エチュード)を6曲集めた、二人のリレー演奏によるステージ。どれも一つの完成作品であり、弾きこなすには高度な技術と芸術的センスが必要である。ショパン自身はこれらの作品に曲名を付けていないが、本公演では演奏順に、1曲目【乗馬】、2曲目【第九の怒涛】、3曲目【天の邪鬼】、4曲目【憂鬱】、5曲目【飛翔】、6曲目【緊迫】とそれぞれに題名をつけて、演奏者自身による具体的なイメージの中で演奏される。
最後の晩餐●有志13人によるパフォーマンス・ショー!
演出・編曲/加藤麗子 ●オリジナルタイトル 「もしも 今 レオナルド・ダ・ヴィンチが生きてたら・・・」
怪演にして快演!13のオーラが絵となり音となる。観客の皆さんから「あぁ、来てよかったッ!」と、出演者達も「この舞台で演奏できて最高だったね!」と、感極まる声で溢れかえる――そんな舞台にしちゃうぞ!