「三条御池」という地名を御存知だろうか。
京都にある程度慣れ親しんだ方ならば「おや?」と違和感を覚える筈だ。
京都市民ではない方のために軽く講釈させていただくと、京都では交差点の名前を南北方向の通りと東西方向の通りの名前を組み合わせて表す。例えば河原町と四条の交差点は四条河原町といったように。
そして、本来ならば三条通も御池通も東西方向の通りであるので「三条御池」などという地名は笑止千万、そんなものは有り得ないよ、と宣う京都市民を嘲笑うかのように「三条御池」は確実に存在する。
実は三条通りは西大路を越えたあたりから、緩やかに北へとカーブを描き始め嵐電天神川駅の近辺で御池と交わるのだ。ワオ。
法とは犯すもの、秩序は破るもの。
交差点命名法が創り出した秩序があってこそ、なんでもない交差点にすぎない「三条御池」は輝き出す。
決して交わらないはずの2つの平行線が交わる場所は、1つの幻を、夢を、可能性を、私たちに示唆する。
そんな「三条御池」のような場所はラーメン界にも存在していた。
その名も「一三〇」
一三〇と書いてイサオと読む。場所は例の如く一乗寺エリア。白川通北大路ヤヤ下ル
近くに造形芸大があるが、美大生からのウケも良さそうなお洒落な内装。
ラーメンならぬ「小麦そば」というコンセプトで営業されている。
さて、この店のどこが三条御池的なのかと云えば
何と「鯛だし×ラーメン」 が味わえるのだ。
(その他にも昆布×ラーメン、いりこ×ラーメンなど出汁のバラエティに富んでいる。)
通常ラーメンは鶏ガラでダシを取るのが一般的。魚介でとるなら昆布や鰹節。
そのうえ「ラーメンではなく小麦そば」などとレトリックこねくり回している。ラーメンの街京都を舐めるなよ。と一通り明石家さんま流のフラグを立てたあとに、いざ実食。
美味すぎワロタ(感想が凡)
小麦、山ワサビの山の幸と鯛だしの海の幸。口腔内で山と海が出会う。
互いに喧嘩することなくきちんと1つの味わいになっている。
スープも非常に繊細。ガサツに啜るのではなくアンリ・シャルパンティエのロイヤルミルクティーを飲むようにしっかりと口の中で転がしてほしい。鯛の豊かな香りが広がる筈だ。
小麦そばと自称するだけあって、ラーメンとは別ジャンルの何かを確立するという偉業をものの見事にやり遂げている。
またサイドメニューの炙り豚トロご飯。(300円)もこれまた絶品。(というか個人的にはこちらが本命だったりします)
これだけのクオリティにもかかわらず、余り世間に知られていないこともあり店内は基本的に空いている。
百聞は一食に如かず。ぜひご賞味あれ。
月曜定休
(文責:ごとー)
P.S.
今回平行線うんちゃらの話だったんで消失点貼っときます。ボーノ最高!